ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2005.10.10]

●テアトル・ド・ラ・ヴィルのシーズン開幕に登場したプレルジョカージューの『四季…』


  テアトル・ド・ラ・ヴィルの今季の開幕はプレルジョカージュ振付の『四季…』。今夏のモンペリエ・フェスティヴァルで初演された最新作で、音楽は有名な ヴィヴァルディの『四季』である。ちょうど1年前シャイヨ劇場で上演された『N』が、国際的に止むことのない戦争にまつわる社会的テーマを扱い、重苦しい カラーだったのに対し、今回はその反動からか、極めて明るいディヴェルティスマンが生まれ、客席にほのぼのとした空気を送っていた。

“カオスグラフィー”と命名されたファブリス・イベール考案の太陽とか雲、ぶどう、椅子、縄、ぬいぐるみといったメルヘン的なオブジェが天井からぶら下 がっているメルヘン・タッチの舞台美術が、従来のプレルジョカージュの路線からみると、ちょっと意外。様々なオブジェが途中で落っこちてきたり、ハリネズ ミや青ガエルが登場するなど、しいていえばジョゼ・モンタルヴォの世界に通じる楽天的なムードが支配しているのがこの作品の特徴だ。


12人のダンサーは、皆選りすぐられたメンバーで、例えばマリ=アニエス・ジローを思わせ、黒のタイツ姿がよく似合う、長身のすらりとした女性ダンサー や日本人の白井沙と伊藤かおりなどが、ソロからアンサンブルまで、バロック音楽に乗って、非常に洗練された踊りを見せてくれた。プレルジョカージュが、今 最も脂が乗っている振付家の一人であることを再確認した舞台だった。