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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2004.04.10]

<ローラン・プティ 創作の道を語る>のパリ郊外シュレーヌ公演

 去る1月13日に80歳の誕生日を迎えた鬼才ローラン・プティが、3月にフランス各地で<ローラン・プティ 創作の道を語る>と題した公演を行った。3 月3日のパリ郊外シュレーヌのジャン・ヴィラール劇場を皮切りにリヨン(3/10~13)、ヴィルヌーヴ・シュール・ロット(3/16)、ボル ドー(3/17)という日程で、7日のシュレーヌの公演を見る。

この企画は、プティが、自身の舞踊人生を振り返るという趣旨で、 踊りや映像を挟みながら、プティのデビュー作から最近作に至るまでの思い出や、出会った人々とのエピソードなどが語られていくもの。出演ダンサーは、ルシ ア・ラカッラをはじめ、ルイジ・ボニノ、ヤン・ブロエックス、リエンツ・チャン、ファビオ・アラガオ、菊地研の6人。コンパクトな編成だが、プティ・ファ ミリーのまとまりを感じさせ、プティの汲めども尽きない巧みな話術と相まって、プティのバレエの魅力を再確認する充実した3時間であった。

紅一点のラカッラは、冒頭の『ル・ランデヴー』から ラストの『デューク・エリントン・バレエ』まで5曲を踊って、プティのミューズとしての存在感を十分に示した。ピエトラガラの印象が強い『ル・ランデ ヴー』は、ラカッラの可憐なキャラクターではやや弱かったものの、名作の香りは失われていない。プティ自身『これは本当のパリなんだ。オペラ座でまたやっ てくれればいいのに』と語っていたが、全くその通り。ブロエックスとの『プルーストあるいは心のインテルメッツォ』やチャンとの『タイス』のパ・ド・ドゥ をロマンティックに踊ったかと思うと、『ピンク・フロイド・バレエ』と『デューク・エリントン・バレエ』では、粋で大胆な魅力をふりまき、圧巻だった。

今回、フランスの観客にとって新たな発見となったのは、菊地研だろう。プティが『16歳の時に見出して、今は19歳』と紹介。 新聞評でも、『まだ若いが、大きな才能』と注目された。最初に、『若者と死』の初めの部分を踊ったが、なかなか雰囲気が出ていてよかったし、『ピンク・フ ロイド・バレエ』のソロをはつらつと踊って、会場を沸かせた。

大ベテラン、ボニノの椅子やチュチュやポワントを使った『チャップリン』もユーモアがあって、プティならではの世界。 最後の『デューク・エリントン・バレエ』は、全員の出演で、プティも踊りの輪に加わり、スタンディング・オベイションの中、アンコールのサービスもあり、 大変盛り上がった。

客席には、ジジ・ジャンメールや草刈民代などと並んで、往年のスター、ドゥニ・ガニオの姿も見えた。映像で紹介されたジジとの『チーク・トゥ・チーク』の素晴らしかったこと。いつの日か愛息のマチュー・ガニオの出演でこの作品を見てみたいと思った。 なお、プティは、小さいころのマチュ-は知っているが、最近は知らないという気になる発言をしていたが、来年夏オペラ座で予定されているプティ特集で、マチュ-を放っておくはずがないと、ファンはやきもきしながら二人の再会を待っている。

なお公演の模様は、録画されたようなので、日本のファンの皆さんにもいずれご覧いただけることだろう。どうぞお楽しみに。
パリ郊外で行われ た「プティは語る」で踊られた『デューク・エリントン・バレエ』のアンコール。