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大村真理子(在パリ・フリーエディター)Text by Mariko OMURA 
[2018.01.10]

オペラ座ダンサー・インタビュー:ジェルマン・ルーヴェ

Germain Louvet ジェルマン・ルーヴェ(エトワール)
1月11日から13日まで、東急シアターオーブで開催される「ル・グラン・ガラ」に参加するジェルマン・ルーヴェ。世界初演となるジョルジオ・マンチーニの創作『ヴィーゼンドンク歌曲集』を、オペラ座内の親しい仲間であるユーゴ・マルシャン、オニール 八菜と3人で踊る。

2016年12月28日、オペラ・バスチーユで『白鳥の湖』を踊り、エトワールに任命されてから、早くも1年が経過した。その前の月に開催された昇進コンクールの結果、2017年1月1日にプルミエ・ダンスールに上がることが決まっていたジェルマンだが、スジェからの飛び級任命となった。これは2004年のマチュー・ガニオ以来の快挙である。オレリー・デュポン芸術監督期の初エトワールとなったジェルマンの活躍は目覚しく、2017年の年末公演ではレオノール・ボーラックを相手に初役で『ドン・キホーテ』のバジル役に挑戦。前回のインタビューは任命直前だったが、オペラ座の最高峰にたった今でも、彼の礼儀正しさには変わりがない。話をしていて、とても気持ちのよい青年である。今回の来日で新しいダンスの一面を日本で披露する彼。舞台姿に加え、こうした彼の人柄ゆえに、大勢のバレエ・ファンを魅了することだろう。

Q:9月に始まったオペラ座のシーズン2017〜18年について話してください。

A:バランシンの『ジュエルズ』が今シーズンの開幕プログラムで、僕は「ダイヤモンド」に配役されました。パートナーはリュドミラ・パリエロです。でも、9月21日に開催されたシーズンのオープニング・ガラでは怪我をしたマチアス(・エイマン)に代わって、僕が「ダイヤモンド」を踊ることになり、こちらではミリアム・ウルド=ブラームがパートナーでした。リュドミラは『白鳥の湖』をすでに一緒に踊っていますけど、ミリアムと組むのはこれが初め。こうした機会が得られて、とてもうれしかったですね。この作品ではパートナーと舞台上で視線を交わし、感動をわかちあい、といった密度の濃い時間を過ごせました。さらに、この作品ではアニエス・ルテステュがコーチで、彼女の指導のおかげで「ダイヤモンド」を踊って、舞台上で大きな喜びを得ることができました。彼女との素晴らしい出会いで、僕の今シーズンが開幕したのです。

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「ダイアモンド」photos Julien Benhamou/Opéra national de Paris

Q:勅使川原三郎の創作『Grand Miroir』は、どのような体験でしたか。

pari1801c_08.jpg 「Grand Miroir」
photo Sébastien Mathé/ Opéra national de Paris

A:サブローとの創作、これも僕にとって大切な出来事といえます。スタジオでのクリエーションは2か月近くも続き、とても長かったけれど実に興味深いものでした。来る日も来る日も即興の繰り返し。こうして、彼は即興で踊ることを僕に教えてくれたのです。自分の体が語ることを聞く、そして驚かせる、ということを。簡単に説明すると、何か動きをするための動きというのを彼は期待しておらず、筋道の通った動きをせずに別方向へ行け、といったことなんです。例えば舞台上で倒れるにしても、倒れる寸前に別の方向へ向かって行く、というように。当然の流れといった動きではなく、驚き、リサーチ、バランスの乱れ・・・常にこうしたチャレンジが求められたのです。リハーサルルームで何時間も話し合い、繰り返して、ごく自然に即興の動きができるようになりました。公演中、毎回即興で踊る部分があり、舞台にたって、さあこれから何をしようか、というのは得難い体験ですよね。この作品で使われたエサ=ペカ・サロネンの音楽は素晴らしく、創作の二か月間なんども聞いていたので身体に染み込んでいました。舞台上で知っている曲にのせて即興で踊るというのは、自宅のリヴィングルームで音楽にあわせて身体を動かす、といった感じ。とてもエキサインティングでした。

Q:複数のダンサーと踊る部分には振付があったのですね。

A:はい明快な指示がありました。例えば、音楽のこの部分では、床近くに体を低くして踊り、エネルギーがクレッシェンドで、そして徐々に緩やかに・・・といったような。リハーサルの過程で、それでいいけれどもっと頭部を踊りに役立たせるのがいいとか、骨盤部分をもっと・・といったような指示が、このベースに徐々にプラスされていったのです。サブローは知的でとても寛大な人間です。彼との出会いも素晴らしいことでした。彼は視覚面におけるアイディアもとても豊富。この『Grand Miroir』の舞台装飾もビジュアル効果がとても高く、良かったですね。

Q:ダンサーの身体もカラフルでした。

A:リディ(・ヴァレイユ)だけは自然な肌な色のままで、あと9名は全員肌に彩色されていました。僕はグリーン。舞台で踊っている時は気にならず、色のことを忘れてしまうんです。だから公演後に鏡に映った自分を見て、ギョっとしたり(笑)

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「Grand Miroir」photos Sébastien Mathé/ Opéra national de Paris

Q:初役で踊った『ドン・キホーテ』について、話してください。

A:はい。パートナーはレオノール・ボーラックで公演は2回でしたが、それにカール(・パケット)とミリアムに代わって僕たちがアヴァン・プルミエール(28歳以下の観客が対象の有料ゲネプロ)も踊ったので、合計3公演ですね。実はこの作品に配役されたとき、少し怖かったんですよ。ヌレエフの振付は技術点にとてもハードだし、それに3時間という長い作品なので耐久力のコントロールも大変。おまけにバジルはいたずら好きで、遊び人で、お調子者で・・・。これまで僕が踊ったのは、多くがプリンス的な役でした。『白鳥の湖』はプリンス、『ラ・シルフィード』のジェームズだってノーブルですし、『ロメオとジュリエット』にしても少しおどけるところはあるけれど夢見がちな青年です。プリンス役なら僕は自然にできるけれど、キトリのお尻を触ったり、彼女のパパのお財布を盗んだり、女友達にキスしたり、それに最後のナイフのシーンなど、いろいろ思うと、いったい僕にこうした演技ができるのだろうか、という不安がありました。ところが稽古が始まったら、すっかりバジルの役作りが気に入ってしまったのです。メートル・ド・バレエのクロティルド・ヴァイエとキトリ役のレオノールと3人で仕事をして、バジルになることができたんです。舞台ではこのバレエの演劇的な部分を多いに楽しむことができました。コミックな面は、ぼくの中にあっても自分からうまく取り出せないでいた面といえます。ぼくをよく知る親しい友達はこうした面に驚かないのだけど、舞台ではこれまで見せたことがなかったので・・・。

pari1801c_01.jpg 「ドン・キホーテ」photo Svetlana Loboff/ Opéra national de Paris

Q:『白鳥の湖』を踊ってエトワールに任命されてから、1年が経過しました。

A:はい、任命は昨年の12月28日でした。実はオーレリーは、クリスマスの12月25日に僕の任命を考えていたようなのですが、それには裏話があって・・・・。リハーサル中にクロティルド・ヴァイエから聞かれて、僕の両親と弟は12月28日に見にくる、って答えたんです。それがオーレリーの耳に入ったのではないかと思います。でもクロティルドに両親のことを聞かれたといっても、任命ということはその時には僕の頭の中ではあまり確かなことには感じられませんでした。もし万が一任命があるとしたら、12月28日だろうな・・・というように思っただけです。

Q:エトワールとなって何が変わりましたか。

A:今は素晴らしい役しか踊らないということです。主役だけ。これが最大の変化です。それまでにも『ロメオとジュリエット』の主役や『ゴールドベルグ変奏曲』など良い配役を得ていたとはいっても、僕はスジェだったのでいつもいつものことではなかった。もちろんその時期を経験できたことには、とても満足しています。でも、とにかく今は新しいシーズンが来るたびに、素晴らしい役ばかりが待ってるんだ!と心が弾みます。内面についていえば、観客の視線に対して自分への信頼が持てるようになったことですね。任命の後、「彼はエトワールにふさわしくないのではないか」、と思うのではないかと、観客の視線が怖く感じられた時期があります。自分はエトワールなんだ!と胸をはって言うのは、まだ若い僕には簡単なことではないんです。でも、今は幸いにもこうした考えと共に前進できるようになりました。4月の『アン・ソル』の頃からでしょうか、観客たちが僕を見守る視線に応えられる自分のダンスのクオリティを感じられるようになったのです。この作品は踊るのがとても快適な作品で、「怖がる理由なんで何もない、今、僕はエトワールなんだから」と思えるようになりました。その後『ジュエルズ/ダイヤモンド』『アゴン』『Grand Miroir』そして『ドン・キホーテ』と、公演があるたびに、その気持ちを強めていっています。たとえ舞台上でストレスを感じても、自分のベストを観客に与えられるという確信、心の平静が、今、見出せるようになりました。

pari1801c_02.jpg 「ドン・キホーテ」photo Svetlana Loboff/ Opéra national de Paris

Q:精神的に解放されたといえますか。

A:エトワールに任命されると 、降格はないとわかってるので気持ちが楽になりますね。人間なのでテクニック的にパーフェクトではない晩もあります。ちょっとしたミスでもあったら僕は自分にすごく腹がたちますけど、テクニックだけではなく舞台上での存在感、芸術的表現も大切なこと。今は舞台で踊ることが嬉しく、物語を語れることがうれしいのです。

Q:プルミエ・ダンスール時代を経験していないことは、どう考えますか。

A:この時期ってあまり快適な時期ではないと、想像します。エトワールの役に配役されるけれど、でもエトワールではない、という。プルミエだけどエトワールの役を踊る高みにいなければならないというプレッシャーが常にあって、これでは踊っていて自由を感じられないでしょうね。それにエトワールを目指すからには、毎回舞台で踊るたびに傍目に「良い」と思える仕事をしなければならない・・。もちろんエトワールになったから舞台でミスがあっていい、という意味ではないですよ。精神的な解放という点なのです。

Q:「ル・グラン・ガラ」の『ヴィーゼンドンク歌曲集』では親しいダンサーと一緒に踊ります。あなたから見たオニール 八菜は、どのようなクオリティの持ち主ですか。

A:一番最初に頭に浮かぶのは、彼女の感受性ですね。それが彼女の生き方、視線に繊細さを与えていると思います。その裏側に自分を律する力、自分に対する厳しさを持っています。こうしたことが彼女を例外的な存在にしていると言えるでしょう。友達として彼女から常に感じることは、優しさ、忠実さですね。そして自宅は趣味よく飾られていて、服装にも洗練が感じられます。言葉も知らない国に一人でやってきたという強さも持っていますね。男性的ともいえる強さと同時にしなやかさもあり、両者が良いバランスを保っていると思います。ダンサーとしての彼女は、感受性をテクニックに役立てているといえます。しっかりとしたテクニックの持ち主で危な気がなく、彼女の舞台は安心して見ていられますね。視線や空を舞うような手の動きといった彼女ならではのものをテクニックにプラスして踊っていると思います。

Q:一緒に踊るもう一人のダンサー、ユーゴ・マルシャンについてはどう見ていますか。

A:気遣いができ、とても温かい。彼もまた自分に対する厳しさの持ち主です。心がまっすぐな人といえますね。何かを断言したら、それを必ず実行するので信頼に値します。人の意見には耳を貸すし、親切で優しい人。彼がイラついたところを僕は見たことがありません。もし万が一、彼がイラつくことがあったら、それは正しい理由があるときです。ダンスについていえば、彼はとても仕事熱心。自分のすることに確信があり、いつも驚くべきステージを作り上げています。彼は肩背の筋肉がしっかりとあるので、身体的にも舞台での存在感が大きいですね。

Q:3人はどのような関係ですか。

A:仲のよい友達です。2011年、僕たちほぼ同時にオペラ座に入団しています。僕とユーゴはカドリーユで、八菜は外部からの契約団員でした。僕とユーゴは最初の年は研修期間中だったのでコンクールに参加できず、2012年のコンクールではマチュー・コンタとジェレミー=ルー・ケールが上がり、僕もユーゴも上がれませんでした。そして2013年のコンクールで、ユーゴと僕、そして団員になった八菜の3人ともが一緒にコリフェに上がったのです。レオノール・ボーラックもいたから、4人一緒に、ですね。その翌年にスジェに上がったのも4人一緒。その次の年は、僕以外の3人がプルミエに・・・。エトワールに任命されたのは僕が先で、それからレオノール、ユーゴという順でした。今、八菜が任命されるのを心待ちしてるんですよ。相手より上に行こうといった競争意識は、僕とユーゴの間にはありません。同じ方向を向いて仕事をしているという関係です。相手の存在にやる気をかきたてられ、励まされ、という関係ですね。

Q:ジョルジオ・マンチーニとの『ヴィーゼンドンク歌曲集』の創作はどのように進みましたか。

A:創作をスタートした段階で、どこにソロを、どこにトリオをといった構成がすでに彼の頭にありました。だから流れるように、すべてスムーズに進みました。最初と最後は3人が一緒に踊ります。あるところで、一人が出て行き、もう一人が入り、といったような作りです。初めて彼の作品を踊るのですが、彼の振付の動きの抒情性は素晴らしいですね。彼はダンサーのパーソナリティ、身体言語に応じる柔軟さがあり、創作期間中、僕たちダンサーに何かを強いることはなく、自分の欲しいものをすぐに見つけ出して創り上げてゆくので、ダンサーにとって彼と仕事をするのはとても快適なことです。

Q:この作品のティーザーで見られるのは、創作の一部でしょうか。

A:これは横広がりの舞台ではなくティーザー用に3人がとても接近した状態で撮影されていますが、バレエのエッセンスが感じとれるものとなっています。八菜の顔に僕とユーゴが手を当てる、というポーズは振付の中からのものですね。ヴィーゼンドンクとワーグナー、つまりユーゴと僕は、八菜が踊るヴィーゼンドンクの妻マチルデという女性を共に愛するという三角関係。ヴィーゼンドンクとワーグナーは一人の女性を巡るライヴァルなのだけど、二人の間には同時に一種の結びつきがあります。二人は別の人格ゆえに互いに相手が持っていないものを送りあう、といった関係。これって実生活に似ていますね。僕とユーゴはダンサーとしてタイプが異なります。学校時代からの友達ですから相手のことはよく知っていて、相手をよくみて、相手が持っていないクオリティを送り合う、ということをしてます。この関係を『ヴィーゼンドンク歌曲集』の舞台で活用できると思います。

Q:『ヴィーゼンドンク歌曲集』の物語は、知っていましたか。

A:いえ。あまり知られていない話ですね。このヴィーゼンドンク夫妻と作曲家ワーグナーの三角関係の物語は19世紀の半ばのモラルという点に照らすと、とてもリベラル。現代的ですね。このバレエでは愛の三角関係を語りますが、それだけではなくマチルデという一人の女性に引きつけられて彼女の周りを回っている二人の男性についても語ります。この二人もある時点で出会いがあり、だから、バレエでは男性二人のデュオもあるんです。この曖昧な3人の関係は、とても興味深い。恋愛感情はないけれど、八菜、ユーゴ、僕の3人の関係に通じるところがあります。僕たち3人の結びつきがこの作品で上手く作用することになるでしょうね。パ・ド・トロワではマチルデ役の八菜を僕とユーゴが挟みます。『ラ・シルフィード』でジェームスが地に足のついたエフィーと空気の精のシルフィードという二人の相反する女性の間で戸惑いましたけど、今度は八菜が夫ヴィーゼンドンクとワーグナーの間で混乱する番なんです(笑)。

pari1801c_03.jpg 「アゴン」photo Agathe Poupeney/ Opéra national de Paris

Q:2018年の最初は、オペラ座で『オネーギン』に配役されていますね。

A:はい。レンスキー役を踊ります。『オネーギン』は過去にコール・ド・バレエも踊ったことがないので、まったく初めての作品なんです。この作品ではオネーギン役とレンスキー役という2つのまったく異なる役があって、2年後か5年後かあるいは10年後かわかりませんけど、いつか必ずオネーギン役を踊りたいと強く願います。でも今はレンスキー役を踊れることにすごく満足しています。というのも、今の僕は、オネーギンよりレンスキーのほうにふさわしいと思うから。それに一度オネーギン役を踊ったら、レンスキー役は踊れないので、この配役は僕にとって有利といってもいいかもしれません。ユーゴはオネーギンに配されています。視線やその存在に成熟した大人が感じられるユーゴは、若くてもオネーギン役にふさわしいですね。

Q:その次の作品は何でしょうか。

A:ミルピエの『ダフニスとクロエ』です。昨年3月のオペラ座来日ツアーでは、エルヴェ・モローに代わってオーレリー(・デュポン)と踊りましたけど、パリではまだ誰がパートナーかはわかりません。その次には、サッシャ・ヴァルツの『ロメオとジュリエット』に配役されていて、これはとてもうれしいです。5年前のカドリーユ時代にコール・ド・バレエで踊り、とても良い思い出がある作品なんです。サッシャ・ヴァルツの振付は流動的で素晴らしいもの。そして何よりもベルリオーズの音楽、これが素晴らしい。舞台上に一緒に立つ歌い手の声に身を委ね、踊っていて大きな喜びが感じられます。彼らの歌声が床を震わせるとはいわないまでも、周囲を歌い手に囲まれて、僕たち踊り手は目に見える声といった要素になる感じですね。パートナーはリュドミラ・パリエロの予定です。

Q:バレエ作品で音楽は大切な存在のようですね。

A:はい。日本で踊る『ヴィーゼンドンク歌曲集』のワーグナーも好きな作曲家のうちの1人です。
今回の公演では音楽は録音ですが、歌っているのはジェシー・ノーマン。僕は彼女の大ファンなので、うれしいです。ワーグナーの仕事の中では、『トリスタンとイゾルデ』の< 愛の死 > がとりわけ好きなんです。『ヴィーゼンドンク歌曲集』には、『トリスタンとイゾルデ』と同じフレーズや和音を聞くことができますね。クラシックでいえば、一番好きな作曲家はラヴェルです。オペラ座のバレエでは、『アン・ソル』『ダフニスとクロエ』・・・今年3月に踊られる『ボレロ』もそうです。この作品は踊りたいとは願ったのもの、配役されませんでした。同時にプログラムされている『ダフニスとクロエ』が僕にはあるので・・・。

Q:日常生活において、どういったことに興味を持っていますか。

A:今興味をもって見ているのは、今日の社会です。積極的に参加していなくても、政治的なことには興味をもつのは大切だと思うのです。なぜ、こうしたことが起きるのか、なぜこの人が選ばれたのか、なぜこの大統領はこの選択をしたのか・・といったことを理解するために、世の中で起きていることに興味を持たなくては、と思っています。

Q:何か具体的な行動をするつもりはありますか。

A:まだ具体的にはみつけていないのですが、何か非営利の協会の活動に参加したいとは考えています。参加するにはアクティブでなければ意味がないので、慎重に選択しようと思います。エコロジーや環境問題といった方面より、難民の子供や虐待されている子供たちのための活動ですね。あるいはLGBTのようなマイノリティの人々のための団体でしょうか。チェチェン共和国で今起きてることなどを思うと、これは今の時代の大きなテーマです。心を揺さぶられるテーマといえます。

pari1801c_04.jpg 「アゴン」photo Agathe Poupeney/ Opéra national de Paris

Q:アーティストとしては、どういったことにオペラ座外で興味がありますか。

A:僕はあらゆる芸術に興味があります。コンテンポラリーのダンス、バレエ、音楽、アートなどに目を向けています。オペラ座ではコンテンポラリー作品の創作があり、これはとっても幸運なことですけど、世の中ではもっと実験的なことが行われているということを忘れてはいけないと思うのです。オペラ座で起きていることを理解するためにも、周囲に目を向けることが大切だと思うのです。そうすることによって、総合的なヴィジョンを得られることになりますからね。読書も好きです。文を書くことも好きなのですけど、ここのところ怠慢ゆえに・・・。書くというのはダンスと同じく毎日の作業だと思います。書くための時間をみつけないといけませんね。以前にもお話ししたように、映画をとてもよく見ます。『アゴン』と『Grand Miroir』が同時にあった時期はまったく時間がなかったけれど、映画館やDVDなどで週に3〜4本は見ているでしょうか。ジャンルはさまざまで、『スターウォーズ』だって見ていますよ。映画館でみて最近気に入ったのは『The Square』。『わたしは、ダニエル・ブレイク』や『ありがとう、トニ・エルドマン』といった映画館で見損なった名作は、DVDで追っかけ見るようにしています。昔のモノクロ映画なども、いいですね。


「ル・グラン・ガラ」
日時:2018年1月11日(18:30〜)、12日(18:30〜)、13日(13:00〜、17:00〜)
会場:東急シアターオーブ(渋谷)
プログラム
『トリスタンとイゾルデ』(全幕日本初演)
振付:ジョルジオ・マンチーニ
音楽:リヒャルト・ワーグナー
出演:ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ
『ヴェーゼンドンク歌曲集』(世界初演)
振付:ジョルジオ・マンチーニ
音楽:リヒャルト・ワーグナー
出演:ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、オニール 八菜
『スペシャル・フィナーレ』
料金:S席¥14,000、A席¥10,000、B席¥7,000
http://theatre-orb.com/lineup/18_legrand/