ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Paris <パリ>: 最新の記事

From Paris <パリ>: 月別アーカイブ

大村真理子(マダム・フィガロ・ジャポン パリ支局長)
Text by Mariko OMURA 
[2016.02.10]

「Etolies ニコラ・ル・リッシュとクレールマリ・オスタ」展、
パリのエレファント・パナムで5月29日まで開催中

かつてオペラ座のダンサー(スジェ)だったファニー・フィアットが、19世紀の美しい建築物の中に創りあげたダンスのためのスペース。ダンス・レッスンの教室だけでなく、素晴らしい展覧会場も擁している。建物内の3フロアーを使って、現在、ニコラ・ル・リッシュとクレールマリ・オスタというエトワール・カップルをテーマにした「Etoiles」展が開催中だ。

pari1602b_0025.jpg photos Mariko OMURA(すべて)

一階、それぞれのコスチュームを展示するステージ上の中央に、巨大なスクリーンが設けられている。開館時間中 、ニコラやクレールマリのバレエ公演、学校時代、インタビューなど様々なビデオがここで流されているので、椅子に腰掛けてじっくりと楽しめる仕掛けだ。昔からのバレエファンには懐かしく、最近のバレエファンには珍しい映像の数々。例えば、世界バレエフェスティバルでニコラがシルヴィ・ギエムと踊る『椿姫』の黒のパ・ド・ドゥ、『白鳥の湖』、ニコラのエトワール任命時の映像・・もちろんクレールマリがニコラをパートナーに踊った引退公演『マノン』も最後の沼地のパ・ド・ドゥを見ることができる。
コスチュームの展示は、ケースに覆われることもなく、目の前に。展示スペースの床は、オペラ座を始め世界中のダンス・スタジオで使用されているHarlequin製。ダンサーたちがリハーサル時に足裏に得る感触を体感する、良い機会である。

 2つ目のフロアーは彼らのオペラ座での時代を再構築。小部屋ではこれまであまり彼らが世に出さなかったプライヴェート写真も、学校時代から子供と一緒の今に至るまで多数展示されている。
このフロアーのメイン会場の両端は、それぞれの代表作のスペース。ニコラのスペースではベッドを置いてプティの『若者と死』のセットを再現し、クレールマリのスペースにはインク瓶と羽ペンを配した小さい机を置いて『マノン』のセットが再現されている。壁を飾るのは、彼女のアデュー公演の夕べにダンサー仲間たちが寄せ書きをしたポスターだ。その2つのスペースに挟まれた中央の部屋は二人の楽屋をイメージした空間。ニコラのソファやトランクなどが置かれ、ヴェールをかけてプライヴェートな雰囲気をつくりあげたクレールマリの楽屋の再現には、『ドン・キホーテ』のカスタネット、『アポロン』のマスク・・・・。

pari1602b_0002.jpg pari1602b_0007.jpg
pari1602b_0066.jpg pari1602b_0084.jpg
pari1602b_0099.jpg pari1602b_0107.jpg pari1602b_0121.jpg

3つ目のスペースは、ダンサーとして現役で活動を続ける二人の「今」を主に写真で紹介するフロアーである。
ニコラとクレールマリは昨年、シャンゼリゼ劇場内で 振付芸術のためのアトリエであるLAAC  ( http://lelaac.fr/en/actualite/)を立ち上げた。アマチュア、プロへのレッスンを開催し、フランスの地方へも遠征する。ダンスの指導に二人三脚で情熱を傾けている。会場では指導中の二人のモノクロ写真も展示されている。
また、二人は3月10、11、12日にシャンゼリゼ劇場で行われる公演『Para-II-Elès (パラレル)』を目下準備中で、その公演のために写真家リザ・ローズが撮影したポラロイド写真も公演にさきがけて展示。『パラレル』はニコラが振付ける10創作で構成される、1時間20分のポエティックな作品だという。彼がオペラ座で創作した『カリギュラ』のコスチュームを担当したオリヴィエ・ベリオが、今回も衣装デザイナーとして参加。ニコラと親しく、マチュー・シェディッドがこのバレエのために作曲をするという。シェディッドはフランスでは大変知名度の高いミュージシャンなので、この作品は音楽会でも話題となるだろう。

なお、エレファント・パナムでは「Etoiles」展の開催期間中、彼らがらみのイヴェント(有料)を複数用意。4月1日は、LAAC の生徒たちが彼らのクリエーションを踊る公演『Autour 2』が開催される。また、4月9日には1998年に数ヶ月間ニコラをおいかけた映画監督ジェローム・ラペルーザズによるフィルムの上映と、ラペルーザズ、ニコラとの討論会。5月にはアルヴォ・ペルトの音楽にニコラが振付けた『Odyssée』をニコラとクレールマリが踊る予定も。オペラ座を去った後もダンスの世界で精力的に活動する二人の仕事を、このように展示と平行して幅広く紹介している。

pari1602b_0088.jpg pari1602b_0093.jpg
pari1602b_0106.jpg pari1602b_0113.jpg
pari1602b_0115.jpg photos Mariko OMURA(すべて)

 

Elephant Paname
10, rue Volney
75002 Paris
開館/11時〜19時(休館日・月曜日)
入場料 9ユーロ