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大村真理子(マダム・フィガロ・ジャポン パリ支局長)
Text by Mariko OMURA 
[2014.11.10]

オペラ座ダンサー・インタビュー:ドロテ・ジルベール

Dorothée Gilbert  ドロテ・ジルベール(エトワール)
3月に長女を出産し、7月末から8月頭にかけて東京・名古屋・大阪で開催されたエトワール・ガラにて舞台復帰を果たしたドロテ。パリではオペラ座の今シーズン初のプログラム中、ハロルド・ランダーの『エチュード』が復帰初仕事となった。
この1年、ドロテも含めてオペラ座ではちょっとしたベビーブームがあった。復帰までにかかる日数はダンサーそれぞれ。ドロテはクラシック・バレエの基本を振り付けに取り込んだ『エチュード』の舞台で、1年のブランクがあったとは感じさせない、エトワールの肩書きに相応しい踊りを見せた。今は年末に向けて、『くるみ割り人形』のリハーサルに取り組む毎日だ。オペラ座の仕事と並行して、興味深い外部プロジェクトも進行中。

Q:自分で思い描いていた通りに、舞台復帰を果たせましたか。

A:日本でのエトワール・ガラは、テクニック面に必要な身体は取り戻せていたの。でも心理面で、とても大変だったのよ。「エトワール・ガラ」の最初の舞台、名古屋でしたね、ものすごいストレスがあって・・・。最後に舞台にたったのは昨年6月の『ラ・シルフィード』だったので、丸一年、舞台で踊ってなかったわけでしょう。すっかり怖じ気づいてしまったのよ。

pari1411b_03.jpg 「くるみ割り人形」
photo Sébastien Mathé/ Opéra national de Paris

Q:何か特別な原因があったのですか。

A:体の反射神経が完全に取り戻せていない、ということを自覚したからなの。以前なら、たとえ身体が少しばかり傾きすぎてしまっても、人目に気がつかないスピードですぐに正しい位置に戻せていた、というか、自分で何かを思う前に身体が自動的にそうしていたのね。ところが、こうした反射神経がまだ戻ってなかったの。それで、身体が斜めになってしまったときに、ああ戻さなければ、というように頭の中で考えないとだめで・・・。身体の中のことなので、傍目にはわからなくても、私にはとても強く感じられたのです。

Q:リハーサルでのことですね。

A:そう。舞台リハーサルでのストレス、それはそれは凄かったわ。そのストレスからたくさんのちょっとしたヘマを重ねることになって、それで精神的にすっかり不安定になってしまったの。二度目の公演からは、そうした状態から徐々に回復してゆけて、公演が終わるまでには大きく前進できました。観客の目にはどう映ったかはわからないけれど、自信が取り戻せて、舞台で踊る喜びが感じられところまで戻れたの。「エトワール・ガラ」の参加は、自信を取り戻すという点でとても有益な機会。不可欠なステップだったといえますね。

Q:復帰に向けて出産後はジル・イゾワールにプライヴェートレッスンを受けていましたね。精神面でも何か準備をしていましたか。


A:いいえ、まさか、こうしたストレスに見舞われるとは考えてなかったので。幸いなことにエトワール・ガラ期間中、パートナーのジェームズも一緒に日本に来ていたので、彼が大きな支えとなってくれて。それに何よりも舞台で踊ることが私の最大の喜びなのだから、最終的には上手く行きました。もちろん心理面でも何か準備をしていたら、名古屋の時のストレスは起きなかったかもしれないわね。

pari1411b_04.jpg 「エチュード」
photo Sébastien Mathé / Opéra national de Paris

Q:そして9月に『エチュード』でオペラ座の舞台復帰となったのですね。

A:はい。「エトワール・ガラで踊ったのはシンプルなものなのにストレスを感じてしまった。となると、『エチュード』ではいったいどうなるのだろう・・・」と日本から戻ったときに、とても不安になってしまって。それでバカンス中も、毎日、『エチュード』の音楽をかけて、踊って・・・たとえ、フェッテやソーなど上手くできないにしても身体が慣れてゆくだろうからって。頭の中がこれでいっぱい! という状態でした。

Q:『エチュード』はクラシック・バレエのテクニックのデモンストレーション的作品ですね。

A:正しく。だからリハーサルが始まった時、「バカンス中にこうした準備をしておいて良かった!」と、思ったの。公演に向けてのリハーサル期間中はテクニック面の仕事はもちろん欠かさず、さらに心理面にも気を使って、リラックスを心がけて・・・と。エトワール・ガラで自信を取り戻せ、身体はバカンス中に準備をしたのだから、本番の舞台上ではひたすら踊る喜びだけを追求しよう! と決めたのよ。毎回それに成功できて、ストレスなしに舞台を楽しめました。すごく嬉しかったわ。

Q:『エチュード』を踊ったのは今回が初めてですか。


A:まだスジェだった時代にエトワール役を1度だけ踊ったの。10年くらい前ね。今も覚えているのだけど、強烈な不安に襲われてしまって、舞台に出たくない !って涙がこぼれてしまったのよ。『エチュード』って、とにかく特殊な作品。この状態に再び陥ることは嫌だったので、それで精神面でも準備しておく必要があったの。最悪の場合、転んだら立ち上がればいいだけ、って思えるように。結果は上手くいったので、満足よ。この時もジェームズの大きな精神的サポートがありました。

Q:10年前と比べ、自分の進歩を踊りに感じられましたか。

A:ずっとリラックスして踊れました。たとえ10年も前のことで、ほとんど忘れているといっても、過去に一度踊ってる作品はすぐに戻ってきます。何よりも、この10年の間自分がたくさんの経験をしているのだ、というとが如実に感じられたわ。舞台恐怖を含めて自分の状態を管理することが出来るようになって・・・。

pari1411b_05.jpg 「エチュード」
photo Sébastien Mathé / Opéra national de Paris

Q:『エチュード』を踊る前にエトワール・ガラに参加、というのは、よく出来た復帰のプログラムだったといえますね。

A:そう、いきなり『エチュード』!いきなりオペラ座!なんて復帰はとても考えられないことよ。パーフェクトでした。

Q:年末は『くるみ割り人形』ですね。

A:そう、私はこの作品でエトワールに任命され、その後何度も踊ってます。といっても、私が一番好きなバレエというのじゃない・・・。でも、振付もきれいで、子供たちやクリスマス時期には最適なバレエだわ。それに私の復帰プログラムにも相応しい作品なのよ。実はリュドミラ(・パリエロ)が怪我をしたので、『パキータ』のカナダツアーに急遽参加を求められたのだけど、私、断ったの。『くるみ割り人形』は持久力を試す、という点で、『エチュード』のように30分程度の短い作品の後には、最適な2幕物。『パキータ』でフェッテとかグランジュテとかができるほどには、まだ身体的に準備できてなかったの。『くるみ割り人形』でも最後にグラン・パ・ド・ドゥがあるのは同じだけど、フェッテもないし、ありとあらゆるエネルギーを捻出させるというような振付じゃない。だから完全復帰に向けて徐々に進めるプログラムに最適なのよ。この作品が終われば、完璧に元のように踊れることになるわ。

pari1411b_01.jpg 「くるみ割り人形」photo Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

Q:そして来年は、いよいよ念願の『マノン』を踊れるのですね。

A:そうなの、たった一度だけど(笑)。前回の『マノン』の時に、私、配役されてたけど、怪我で降板したでしょ。来年の『マノン』はその時の配役をベースにバンジャマン(・ミルピエ)が決めたので、私は漏れてしまったの。それで、この作品はぜひとも踊りたいと彼に言いに行った結果、配役に加えられたけど、公演は一回というわけ。でも、最終的にどうなるか・・・・というのも今エレオノーラ(・アバニャート)も配役されているけど、彼女がいつ復帰するか、にもよるので。でもたった一度でも、私にとって大切なのは『マノン』を舞台で踊れることだわ。

Q:貴女もエレオノーラのように、二人目の出産を考えていますか。

A:おそらく二人目が欲しいと思うようになるでしょうけど、すぐにじゃないわね。
今リリー(注:長女)と、ものすごく上手くいってるのよ。本当に手がかからない子。よく眠るパーフェクトなベビーよ。夜7時に寝たら、翌朝8時までぐっすり。だから私たち二人の時間をゆっくりと過ごせるの。朝も目覚めたらミルクを飲んで、しばらくしたらまた眠りについてという感じだから、週末などはミルク係でない方は朝寝坊ができるの。

Q:ママとなったことで日々のプログラムが大きく変わりましたか。

A:朝は保育所に連れてゆき、夕方は引き取って、と。彼女が起きている間は他のことをする時間はゼロね。仕事の後彼女と一緒に遊んで、お風呂にいれて、食べさせて・・・。

Q:仕事から頭を切り離すことが母親になって可能になったといえますか。

A:そうね。でも、ダンサーではない男性と生活を共にするようになって、すでにそれは出来ていたことなの。家に帰ったら、ダンス以外のことを話せる今の暮らしは、自分に必要な良いバランスがとれているといえる。これは利点ね。ダンサーと一緒の暮らしだと、ずっとダンスのことばっかりとなってしまって終わりがないでしょ。今は、いいわ。ダンス以外のことを私は知りたいし、他のことを知って自分を豊かにすることはダンスにも役立つし・・・。それにジェームズは写真家なのでアートの世界の人間だから、私の疑問や悩みが理解できるし・・・。私は彼の仕事を崇拝していて、彼は私の仕事を・・・というように二人の間にはとても美しい交換があるのよ。

Q:現在、彼も関わっているダンスのプロジェクトが進行中だそうですね。

pari1411b_07.jpg 『トリスタンとイゾルデ 』photo James Bort

A:ええ、以前から知っていたイタリア人振付家のジョルジオ・マンチーニと創作バレエに取り組んでいます。彼とは仕事を通じてというわけではなく、友達的つきあいがあって、ある時彼が私にバレエを創作したい、と言ったのがきっかけとなって生まれたプロジェクトよ。彼はワーグナーの音楽で、すでに『トリスタンとイゾルデ』をテーマにパ・ド・ドゥを創っていて、それをもとにして1つの公演を作り上げたいということになって・・・。では、誰をパートナーに ? というので、私はマチュー(・ガニオ)と踊りたかったし、ジョルジオもマチューのことは気に入っていたので、パートナーもすぐに決まって・・・。これはテクニックよりエモーションに重点のある作品となるわ。というのも、『パキータ』や『くるみ割り人形』などより、もっと演じられる作品を踊りたいのだけど、オペラ座ではそうした作品が私にはあまりない、というようなことをジョルジョに話したので。

Q:『トリスタンとイゾルデ』の全幕ものということですか。

A:これで1つの公演を作り上げるといっても、パ・ド・ドゥは3つで、踊るのは私とマチューの二人だけ。だから、どこかで休憩が必要よね。そこでビデオ・プロジェクションをつなぎに使おう、というアイディアが生まれて、ジェームズがこのプロジェクトに参加することになったの。3つのパ・ド・ドゥを、2つのビデオがつなぐというわけね。撮影はこれからだけど、肌だとか、ダンサーに接近した映像で構成されるビデオが挿入されることで、観客がダンサーの感情面に接することができるようになるの。舞台装置も途中で変わるし・・・。コスチュームはイーチン・インにお願いしたの。パリベースの中国人クチュリエ。彼女のデザイン、流動的で素晴らしいでしょう。ジェームズが彼女のことを知っていたのがきっかけよ。

Q:大掛かりなプロジェクトのようなので、かなり準備時間が必要ですね。

pari1411b_02.jpg 「くるみ割り人形」
photo Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

A:オペラ座の仕事の合間を縫ってのクリエーション。だから、2015年7月に最初の公演ができることを目指して、この10月に創作を始めたのよ。ところが、このプロジェクトを耳にしたフィレンツェの劇場から、ぜひ『トリスタンとイゾルデ』を年末の公演に!と、声がかかって・・・まだ最終的な決定ではないけれど、12月末から1月の頭に3公演があるかもしれないの。決定となったら、コスチュームはとても間に合わないから、彼女がすでにデザインした作品の中から、作品にあう物を選ぶことになるでしょうね。舞台装置はイタリアにいるアーチストが担当なので、これは間に合うらしいわ。ダンスについていえば、突然早まったので、創作をいそいで終えることなって・・・今のところビデオも含めて58分の作品。もしフィレンツェの公演が実現した場合は、ジョルジオが過去に振付けた別の作品を第一幕に持ってくるようよ。その後、この作品だけで公演できるように、58分に何かしら追加をすることになるでしょうね。この作品だけで、世界各地で公演を行うのが目的なのよ。あまり例のないプロジェクトだけど、こうしたことに過去に関わったことがないので、すごくうれしいわ。ちょっとしたミニカンパニーがツアーをするという感じね。オペラ座での仕事が最優先なのはもちろんよ。でもブリジット(・ルフェーヴル前芸術監督)が許可をしてくれたプロジェクトで、バンジャマン(ミルピエ)の承認も得てあるし・・。彼になってからオペラ座での仕事の先の予定を早くにもらえるので、休みの時以外にも外部での仕事の予定がたてやすくなってるのよ。

Q:物語に沿った3つのパ・ド・ドゥなのですね。

A:そうです。創作が始まるまで、私はこの物語について何も知らなかったのだけど・・・。1つめは、トリスタンとイゾルデが互いを見いだすという出会いのパ・ド・ドゥ。2つめのパ・ド・ドゥは二人が誤って魔法の薬を飲んでしまった後に訪れる情熱。3つめはトリスタンが亡くなった後に、イゾルデがたどる過去の二人の思い出・・・イゾルデの記憶の中のことね。踊っていてとても快適な振付なのよ。

Q:ジェームズが撮影したリハーサルの映像で、情感あふれるあなたの表情を見ることができますね。



A:そうした作品でもあるのだけど、おそらく子どもを持ったことが、アーティスティックな面で私にもたらしたことが大きいのだと思うわ。人生における1つの大きな素晴らしい出来事があったのだもの、それが舞台に結果となって顕われるのだと思う。

Q:『くるみ割り人形』の後は、何を踊ることになっていますか。

A:ジョン・ノイマイヤーの『大地の歌』よ。レティシア(・プジョル)の第二キャストで。ジョンと再び仕事ができるのがとってもうれしいの。ましてや創作に参加できるのだから。とても満足よ。まだ音楽は聞いてないのだけど、ジョンのバレエだからメランコリックな面があって・・・などと想像しています。いずれにしても、現存のコレオグラファーと仕事ができるって、素晴らしいチャンス。来シーズンには、もしかするとフォーサイトの創作もあるようだし・・・。

Q:過去にはどんな振付家と仕事をしていますか。

A:『ジェニュス』でウエイン・マクレガー、そしてエドワード・ロックと『アンドレ・オーリア』。これは、ずっとずっと前、カドリーユの時代よ。あ、それからオーレリア・デュポンの第二キャストでトリシャ・ブラウンの『オーコンポジット』も。あまりたくさんではないのよ。

Q:それだけに『大地の歌』が待ち遠しいわけですね。

A:私、特にジョンのセンシビリティが好きなんだと思う。それに、彼がする役についての説明も。単にステップではなく、もっと別の重要性があることを語ってくれる。例えば『マーラー第三交響曲』の天使を踊ったとき、いかに地平線を眺めるか、といった感じにとても特殊だけど、こういった説明をしてくれて・・・ステップを正すにしても、スピリチュエルな感じなの。

Q:彼の『椿姫』のプリュダンス役の時はどんなでしたか。

A:この時は役柄上スピリチュエルという説明はなかったけれど、彼とは素晴らしい時間をともにできました。彼と最初に仕事をしたのは、バレエ学校時代に『ヨンダリング』で。第二ディヴィジョンだったから、まだ14〜15歳のとき。これが振付家と直に仕事をした初めてのことで、その翌年にはベジャールが『グレックダンス』のために学校に来て・・・。これも良い経験だった。ダンスの世界に足跡を残した振付家たちと少しでも多く仕事できる機会が持ちたいわ。

Q:例えばどんな振付家でしょうか。

A:まだ一度も踊ったことがないのだけど、マッツ・エック。それから、フォーサイス・・・キリアンの『雲』は踊っているけれど、一緒に仕事はしていないので、彼とぜひに、と思ってる。

Q:古典を踊ることについてはどうでしょうか。

A:以前は古典を踊るのが、とても楽しみだったわ。今は・・・。『パキータ』『くるみ割り人形』などより、『ジゼル』や『ロメオとジュリエット』などを踊るほうが喜びが多く感じられるという状態ね。こうしたバレエは、今よりテクニック的に上手く踊れない、ということが感じられるときが来るまで、まだもう少し踊ってゆくつもりよ。

Q:先日、キックボードに乗ってオペラ座に向かう姿を見かけしました。

A:私の自宅からオペラ座まで、一般交通機関が何もなく、とっても不便なの。それに帰宅時は坂を上がってゆくので、リハーサルの後、これはなかなか大変なの。私、12歳まで補助輪付きでしか乗れなかったくらい自転車が苦手。減速したときに、あっちこっちにふらついてしまうので、もしパリで私が自転車にのったら間違いなく公衆の危険となってしまう。とても怖いわ。このエレクトリック・キックボードは出産前に持ってたのだけど、使い始めたのはまだ最近のこと。人間の歩調でなら歩道もOK。時速30キロまででるので、あいにくと私の通勤コースにはないのだけど、自転車専用道なら快速で走ることができるの。このごろ、やっとどこの信号には赤でも青でも通行者がたくさんいる、とか、そういったことがわかってきたので、オペラ座の帰りに少しだけど車道も走れるようになったの。おかげで疲労が軽減されるのが何よりよ。たとえスピードを出して走らなくても。間違いなく時間の節約になるし、これは本当に快適。

Q:出産でやめていたジャイロトニックは再開しましたか。

A:今はジャイロトニックでなく、ピラテスよ。出産後の下腹部のリハビリという点、ピラティスのほうが効果的だから。リカヴァリーについては、相変わらずサウナを愛用。いずれオペラ座では公演の後に、マッサージが受けられるようになるのよ。これはうれしいわね。

Q:バンジャマン・ミルピエ新芸術監督がいろいろな変革をもたらすのですね。


A:11月1日からの就任なので、今日も彼はオペラ座にいますよ。それに週に一度のペースのようだけど朝のクラスレッスンも持ってるの。 ダンサーについて知ることができるので、彼にもいいことね。私は今のところ時間が合わないのだけど、大勢が彼のクラスをとってるみたい。彼はリハーサルもよく見に来るし、多くの時間をリハーサルスタジオで過ごしてるのよ。

pari1411b_06.jpg 「エチュード」
photo Sébastien Mathé / Opéra national de Paris

Q:何かあなたの仕事にも直接の変化がありましたか。

A:例えば今リハーサル中の『くるみ割り人形』。クロチルド・ヴァイエだけでなく、エトワールたちも役についたエトワールのコーチをしてるのよ。私とマチューのコーチは、バンジャマン・ペッシュなの。クララとドッセルマイヤーの他の配役には、オーレリー(・デュポン)とエルヴェ(・モロー)が。引退年齢の42歳に近づいたダンサーたちにとって、こうした機会があるのは良いことだと思うわ。本格的な変化が始まるのは来年1月以降ね。例えば私たちの仕事のスケジュールは、朝早く始まり、その分終わりも早くなるようで・・・。これは私たちが実感できる大きな変化でしょうね。大きな変革はメディカルチームの編成ね。超低温リカヴァリー室や、ピラティスやジャイロトニックの機械の導入・・これには場所も必要だし、時間がかかりますよね。

Q:その実現のために、オペラ座はかなりの費用が必要となりますね。


A:3月、4月にその資金集めのためのイヴェントがあるようなことを耳にしたわ。資金提供者に向けて私たちが踊るとか、ディナーなのかどのようにオーガナイズされるのか分からないけれど、バンジャマンはこうしたことにとても長けてるでしょ。彼がいたアメリカではこう機能するのだから、慣れてますよね。オペラ座内には、あまり活用されてないスペースや、たまにしか使われないエキストラのための楽屋などがけっこうあるので、場所についてはそうした部分を見直すことでわりと簡単に確保は出来るのだろうと思うわ。これは仕事の環境についての変化ね。アーティスティックな面については、彼による2015〜2016年度の初プログラムによって変化を感じることになると思うわ。2014〜2015年のプログラムはブリジットがつくったものだから。彼によるプログラムの発表によって、彼のオペラ座に対する芸術的視点を知ることになるので楽しみだわ。