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斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2007.03.10]

ECOLE DE DANSE DE L'OPERA NATIONAL DE PARIS

パリ・オペラ座バレエ学校 特別内覧会と公演情報
 今年はオペラ座バレエ学校がパリ郊外ナンテールに建設された校舎に移って20年、恒例の学校公演がはじまって30年の節目にあたる。2月22日、プレス のために開かれた学校の特別内覧会には、エリザベット・プラテル校長、オペラ座バレエ部門のブリジット・ル・フェーブル芸術監督も同席して記者会見が行わ れた。
 2004年に就任したプラテル校長が強調したのは、バレエの基礎教育についてはクロード・ベッシー前校長の方針を受け継いでいること。入学試験の審査では「アーティストとしての天分が備わっているか否か」。エトワールとしての芽がのぞく子供を選抜している。

 最初はプレースメント(身体の位置関係)を身につけさせることに重点を置き、徐々に身体の基礎づくりと技術習得を平行して行う。また一番下の学年から受 講する音楽教育(音に反応して踊ったりミュージカルの真似事をしたりする)は、音によって興奮する身体感覚を育てるという意味合いのほか、ジャズやコンテ ンポラリーに向いているダンサーの発掘にもつながるという。
 オペラ座への入団に関しては、ル・フェーブル芸術監督から説明があった。第一次入団枠は従来どおり、最終学年から優先的に受け入れるというものだが、人 数はその年の空席状況によってまちまちだ。第二次の入団枠としても毎年1~2人を受け入れており、第一次で落ちた生徒の敗者復活チャンスになるほか、現在 スジェとして活躍している韓国国籍のヨン・ゲル・キムのように外部からの受験者も対象となっている。「今後は、第二次枠を拡張して、より幅広い才能の開拓 も必要だと思っています」と、ル・フェーブル芸術監督。
 世界のバレエ学校では、振付家の才能発掘につながるクラスも設けるのが潮流だが、それに関するオペラ座の方針を記者団から尋ねられた芸術監督は、「ジャ ン=ギヨーム・バールのように、自分でもどんどん作品をつくるダンサーは、教えられなくても才能を発揮します」とコメントしていた。

 なお、学校公演は3月5、6、10、11日、ガルニエ宮で上演される。出し物は、まったく趣向の異なるゲオルグ・スキビン振付『コーカサスの囚 人』(1951年)、オーギュスト・ブルノンビル振付『ナポリ』(1842年)、ジョン・ノイマイヤー振付『ヨンダーリング』(1996年)の三作品。 『コーカサスの囚人』は、アレクサンドル・プーシキンの小説を題材にした悲恋物語でスタイルはネオ・クラシック、学校でも力を入れている民族舞踊が見せ場 をつくる。『ナポリ』は、デンマークのブルノンビル・スタイルを味わえるロマンチック・バレエ。『ヨンダーリング』は19世紀のアイルランドと英国系アメ リカンの伝統的な音楽に触発されて、高度な技術とエネルギーを炸裂させる作品だ。
演奏は、パリ高等音楽院の卒業生たちで結成されたオーケストラ。学校公演らしい。