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斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2006.10.10]

MALANDAIN: L'ENVOL D'ICARE マランダン, 新作への意気込みを語る

10月9~28日、オペラ座に多大な影響を与えた功労者セルジュ・リファールへのオマージュ・プログラムとして リファール作品から『白の組曲』『ミラージュ』、そして気鋭の振付家でビアリッツ・バレエ団を率いるティエリー・マランダンがオペラ座で初めて自作『イカ ロスの飛翔』を世界初演する(ガルニエ宮)。これに先立ち9月21日、一般聴衆参加の会見に臨んだマランダンは新作への思いを熱く語った。

まずリファールの経歴をオペラ座の歴史に照らして紹介すると、1905年キエフに生まれ、ディアギレフの下バレエ・リュスの洗礼を受けたリファールは 1929年、オペラ座のために振付けた『プロメテウスの創造物』を発表。1930年~44年、オペラ座のプルミエ・ダンサー兼バレエマスターを務める。モ ンテカルロに数年滞在した後、47~58年、再びオペラ座でバレエマスターおよびダンサー(56年まで)を兼任。86年、ローザンヌで死去。

マランダン曰く「リファールの功績で最も大きいのは、貴族のお楽しみとして位置づけられていたフランスのバレエ界に新風を吹き込んだこと。バレエを芸術と してとらえ、真剣なアプローチを関係者にも観客にも訴えたことです」。さらに、古き皮袋に新しき酒の精神を忘れることがなかった、という。そのひとつがバ レエの基本ステップ「パ」だった。1番から5番までの古典的パに、両足を平行にそろえる6番、さらに6番から上下に足をずらした7番、の概念を取り入れた というのである。
会見にはオペラ座バレエ芸術監督ブリジット・ル・フェーブルと、バレエ・マスター補助パトリス・バールも同席。バールは「6番、7番はリファールの前から 存在していた」と反論すると、「それをパとして位置づけたのはリファールが最初だった」とマランダン。「きちんと系統立てた秩序を重んじるオペラ座の伝統 も、リファールの築いた礎から始まったと言えます。エトワールの称号もリファールが持ち込んだものでした」

ダンサーにエトワールの階級を与えることで、「ソリストの力を認め、一人ひとりのダンサーの個性を引き出したかったんだと思います」。新作についての具体 的な説明はなかったが、マランダンは「私が創作する上で尊ぶのがリファールの精神」と強調する。それは決して奇をてらわず、あくまでもクラシックの形式を ベースにした上での「自然体」「改革」を追及することなのだという。

ギリシャ神話に出てくるイカロスの物語から、何が学べるのか。そんなことを観客に問いかけ、さらにリファールの精神をバレエ創作の手法に組み込んだ作品に仕上げたい、と熱っぽく語っていた。

演奏はオペラ座管、指揮ヴェロ・パーン。初日9日のプレミア公演以外のチケット料金は、80~6ユーロ。公演時間やチケット入手については、サイトwww.operadeparis.frを参照のこと。