ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.02.10]

トリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニーが来演

 フランスには何回も来演しているトリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニーだが、オペ ラ座に招かれたのはこれが初めてという。なおブラウンの作品は、オペラ座のレパートリーにも入っているし、2004年暮れには、オレリー・デュポンとマ ニュエル・ルグリとニコラ・ル・リッシュのために、『O zlozony/O composite』を創作したのが記憶に新しい。ガニルエに招聘したからには、それなりに見応えある作品を期待していたのだが、最近作にもかかわらず、 作風は全体にレトロで、刺激という点でいま一つだった。

 公演は1月6日から10日まで。2つのプログラムが上演された。
 第1プロは、2005年アリゾナ初演の『how long does the subject linger on the edge of the volume …』と2002年モンペリエ初演の『Geometry of Quiet』と2003年カンヌ初演の『PRESENT TENSE』という20分から27分の小品3本。最初の作品は紗幕に様々な模様が映写される中、赤またはブルーのタイツのダンサー7人がカニングハム風に 踊るもの。2番目は、イタリアの現代作曲家サルヴァトーレ・シアリーノの音響で、マリオ・カロリのフルート独奏と6人のダンサーとの掛け合い。3曲目は、 ケージ曲で、組み体操風なアクロバティックの動きを盛り込んだ作品。残念ながら、ダンサーによるのか、振付にあまりイマジネーションが感じられず、カーテ ンコールでは、ブラウンがブーイングを浴びてしまった。

 第2プロは、シューベルトの歌曲「冬の旅」全曲を、バリトンのサイモン・キーンリーサイドの独唱で上演するという企画。初演は、2002年ニューヨー ク。歌っている間、3人のダンサーが黒子のように舞台に登場したのだが、必ずしも必要だったかどうか。むしろ歌手のキーンリーサイド方が、オペラでも普段 からアクションのついた役をこなしているせいか、歌い手としては異例の機敏な身のこなしやムーヴメントを見せ、彼の独演会の趣があった。


<冬の旅>

<GEOMETRY OF QUIET>

<PRESENT TENSE>
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