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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.01.10]

パトリス・バール振付『ドガの踊り子』の再演、パリ・オペラ座バレエ団

 2003年4月に初演されたパトリス・バール振付『ドガの踊り子』が年末の12月8日から30日までガルニエで再演された。
オルセー美術館に展示されているドガの踊り子のブロンズ像のモデルは誰かという探索から生まれた、プロローグとエピローグ付き2幕のバレエ。音楽ドゥニ・ルヴァイヤン、装置エツィオ・トッフォルッツィ。
舞台には、ドガの時代、つまり19世紀末のパリ・オペラ座の舞台裏の様子が再現され、ドガのモデルとなった少女に、その母親、少女が憧れるエトワール舞 踊手、メートル・ド・バレエ、定期会員、そしてドガ(黒衣の男)という主要登場人物を中心に舞台は展開する。ソリストにはそれぞれ、踊りの見せ場が設けら れているが、例えば、エトワールとメートル・ド・バレエのカップルは、終始舞台に登場するので、最も目立つ存在となり、肝心の主役である踊り子の陰が薄く なってしまった感がある。従って、どちらかと言うと『”ドガの踊り子”を巡って』といったタイトルの方が当てはまりそうな内容である。題材としては非常に 面白いものの、ドラマトゥルギーがいま一つ。

マチュー・ガニオ


 それでも、エトワールたちの踊りの饗宴は、やはり見応えがある。初日は、可憐な少女の役にぴったりのレティシア・プジョルと、ドガをミステリアスに演じ たウィルフリード・ロモリ、支配的な少女の母親を好演したエリザベト・モランなど、初演の時と同じ顔ぶれが中心を務め、それぞれの人物像を的確に表出して いた。今回注目されたのは、初演時のジャン=ギヨーム・バールに替わってメートル・ド・バレエに扮したマチュー・ガニオ。つけひげで舞台に現れると、父親 のドゥニ・ガニオにそっくりなのがほほえましい。実際、マチューの名前をドゥニと書き間違える批評家も時々いるのである。相手役のエトワール舞踊手を演じ たイザベル・シアラヴォラとの組み合わせもよく、19世紀的なロマンティックな雰囲気を十二分に出していた。またヴァイオリニスト役のジル・イゾアールの 目の覚めるような機敏なパが印象に残る。


マチュー・ガニオ

プジョル&ロモリ

シアラヴォラ&ガニオ