ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2005.04.10]

●フランソワーズ&ドミニク・デュピュイの夕べ

 半世紀以上にわたって活動してきた、フランス・ダンス界の重鎮、フランソワーズ&ドミニク・デュピュイ夫妻が、 <W.M.D.>という振付家の名字のイニシャルをタイトルにとった夕べを企画。デュピュイ夫妻の振付による新作のほか、二人がかつて踊った英独の振付家の作品が上演された(3月9日から13日シャイヨ劇場)。

新作は、今村昌平の映画『楢山節考』に想を得たもので、タイトルは、『L’ESTRAN(前浜)』。ここでは、姥捨山ではなく、海辺が舞台となっている。 老母役のフランソワーズと息子役のウー・ツェンの二人きりで演じられる約50分の舞台は、緊迫感に満ち、毅然とした母の姿と迷う息子の姿が克明に浮き彫りにされていた。

これに先立って、紹介されたのは、イギリスの振付家デリク・メンデルによる『EPITHALAME(祝婚歌)』(1957年)とドイツ人のヤン・ウェイド振付『年老いた者たち、古い鉄』(29年)の2作品。 前者は、結婚の儀式を描いたもので、団扇を手にしたアンサンブルの動きが日本的であった。後者は、大戦の後遺症を扱ったものだそうだが、 仮面をつけてうごめくダンサーたちのイメージからは、マリー・ヴィグマンやクルト・ヨースの作品が思い浮かぶ。時代の異なる英独仏の振付家による作品を並べたユニークな夕べであった。