すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2016.08.10]
[ 沖縄 ]

沖縄、ガンガラーの谷を背景に、バレエと観音舞のコラボレーション『ボレロ』他、祈りを感じる舞台

「トコイリヤ」vol.3 緑間玲貴、前田奈美甫
『Lumiéres de l'Est』『I suz U』緑間玲貴;振付、『RE BORN「再生」〜Boléro〜』緑間玲貴、柳元美香;振付、『samsara』上杉真由;振付 他

自然を感じる屋外の舞台は、決して劇場ほど踊りやすいわけではないと思うけれど、緑や風、自然の音といったものが不思議な気持ちに誘ってくれる魅力がある。沖縄、ガンガラーの谷という洞窟で行われた「トコイリヤ」は、洞窟の入り口、外の沖縄独特の樹々が見える場所につくられた舞台で、自然に溶けあうような幻想的な公演に仕上がっていた。
演出・振付・構成を沖縄のバレエ・アーティスト、緑間玲貴。彼と、大阪出身のバレリーナ、前田奈美甫が中心となって舞台が繰り広げられた。半年前、1月に、同じ場所で「トコイリヤ」vol.2を観たのだが、その時と同じ演目も深みを増し、新作も加わって、回を重ねて充実してきているのが感じられたのが喜ばしい。

okinawa1608_01.jpg 『ラ・シルフィード』第2幕より
撮影:仲程長治(すべて)

今回の幕開けは『ラ・シルフィード』第2幕より森の景。前田は以前から妖精が似合うバレリーナだと感じていたが、自然の樹々をバックに踊ると本当に夢見心地にさせてくれる。そこに女らしい妖艶な雰囲気が加わっているのにドキッとした。パートナーの緑間はどこか中性的で少年の様な魅力。集中度の高い踊りが続くのだが、演劇きかく「満福中枢」の犬養憲子と琉球舞の平敷勇也のコントのようなトークで繋ぐことで、観客がちょっと力を抜くことができる良い流れで舞台が進んだ。
その平敷勇也も踊りに加わって、緑間、前田と3人による『Lumiéres de l'Est』、イザナギとイザナミを描いた『I suz U』、それに柳元美香の『観音舞』など、“祈り”を感じる作品の数々。大阪の上杉真由の『Samsara』は輪廻転生を描いた作品だというが、静と動のメリハリがさすがで、目が釘づけになった。
そして最後が新作、モーリス・ラヴェルの『ボレロ』に乗せて緑間と観音舞の柳元美香がともに振付けた『RE BORN「再生」〜Boléro〜』。観音舞の女性たちが静かな祈りを捧げるようにやわらかに踊る中心で、緑間が踊る。それは、この曲調に沿うように、静かな舞から、徐々に激しく雄々しく、たくましくなっていく。さまざまな自然災害、人間の愚かさ……自然を敬い、謙虚になって、そして前向きに力強く、RE BORN「再生」を。そんな祈るような想いが伝わってきた。
(2016年6月26日 沖縄、ガンガラーの谷 ケイブカフェ)

okinawa1608_02.jpg 『観音舞』 okinawa1608_03.jpg 『samsara』
okinawa1608_05.jpg 『Lumiéres de l'Est』より「百十踏揚」 okinawa1608_12.jpg 『Lumiéres de l'Est』より「Solo con te」
okinawa1608_07.jpg 『I suz U』 okinawa1608_10.jpg トーク
okinawa1608_08.jpg 『RE BORN「再生」〜Boléro〜』 okinawa1608_09.jpg 『RE BORN「再生」〜Boléro〜』
okinawa1608_13.jpg 『RE BORN「再生」〜Boléro〜』 撮影:仲程長治(すべて)