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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.09.11]

平野亮一や西野麻衣子、橋本清香、木本全優など世界で活躍する日本人ダンサーが多数出演、第2回『アーティスティック・バレエ・ガラ』

アーティスティック・バレエ・ガラ 2017
BALLET OFFICE JAPAN
「Artistic Ballet Gara」矢倉鈴奈:企画・構成・演出

ルーマニアのブカレスト国立バレエ団で活躍した矢倉鈴奈が手掛けて、昨年、初めての公演を開催した『アーティスティック・バレエ・ガラ』。昨年は1公演だったが、今年は、大阪と兵庫で1公演ずつの2公演開催され、私は大阪公演を観た。この大阪公演には、昨年、英国ロイヤル・バレエのプリンシパルに昇格した平野亮一や、映画『Maiko ふたたびの白鳥』の西野麻衣子、マニュエル・ルグリ率いるウィーン国立バレエで、昨年、今年で二人ともが最高位のファースト・ソリスト(ウィーンではプリンシパルと言わず、最高位がファースト・ソリスト)となった橋本清香と木本全優、といった日本で大きく報道された日本人ダンサーたちも出演した。

osaka1709d_0085.jpg 『Radio and Juliet』
クリスティーナ・ディジマル、ボクダン・カニラ、ロベルト・エナケ
撮影:高田真(Shin STYLE)(すべて)

このガラ、まず、ヨーロッパで活躍するダンサーたちによる、日本では観る機会がなかなかない作品を観ることが出来たのがとても興味深かった。例を挙げると、ブカレストのクリスティーナ・ディジマル、ボクダン・カニラ、ロベルト・エケナの3人が踊ったエドワード・クルグ振付『Radio and Juliet』、プレルジョカージュ・バレエのジャンシャール・ジュスニと津川友利江が踊ったプレルジョカージュ振付『Spectral Evidence』、クリスティーナ・ディジマルとボクダン・カニラが踊ったジョージヤング版『白鳥の湖』よりアダージオなど。この『白鳥の湖』よりアダージオは、悪魔と王妃のパ・ド・ドゥ。バランシンの『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』のアダージオにも使われている音楽でオールタイツで踊った。
また、独自の作品、今回のために振付けられた作品も。一つは、サイトウマコト振付で、日本舞踊とコラボレーションした『Totentanz ver』で、プレルジョカージュ・バレエのジャンシャール・ジュスニと津川友利江、日本舞踊の睦静紀が踊った。夏に世界のダンサーと共演できるガラで、日本文化とのコラボレーションを行うことはとても意義があると思うが、同時に難しさも感じる。ただ、特に津川友利江には、他の彼女が踊った作品も含め清潔感があって引き込まれるものがあった。振付家の意図を体現するとても魅力的なダンサーだと思う。また、バーミンガム・ロイヤル・バレエで活躍した山本康介振付けた『Le jardin suspendu』は、瀬島五月とアンドリュー・エルフィンストンが踊った。男性のソロから始まる変則的な構成、おだやかな幸せが感じられる作品だった。

osaka1709d_0498.jpg 『Spectral Evidence』
津川友利江、ジョンシャール・ジュスニ
osaka1709d_0548.jpg ジョージ・ヤンク版 『白鳥の湖』
クリスティーナ・ディジマル、ボグダン・カニラ
osaka1709d_3431.jpg 『Totentanz ver3』
津川友利江、ジョンシャール・ジュスニ、睦静紀
osaka1709d_3642.jpg 『Le Jardin suspendu』
瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン
osaka1709e_3307.jpg 『ロミオ&ジュリエット』
矢倉鈴奈、ロベルト・エナケ

主催の矢倉鈴奈は、ロベルト・エケナをパートナーに『ロミオとジュリエット』の出会いの場面を踊った。ジュリエットの少女らしい素直さが表現されていてドラマティック。そして橋本清香と木本全優は、『くるみ割り人形』第3幕より金平糖のグラン・パ・ド・ドゥ。スケールの大きな踊りを高度なテクニックをともなって。橋本は産休からの復帰、これからのますますの活躍に期待したい。
西野麻衣子と平野亮一は、山本隆之振付のコール・ド・バレエ付『ライモンダ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥとマクミラン版『マノン』。西野はライモンダの大人の女性の強さがよく似合う。そして、『マノン』の方は、二人とも本拠地で経験を重ねている中のワンシーン。二人の想いが溶け合うようなパ・ド・ドゥはゾクゾクする良い仕上がりだった。
ラストは、ポーランド国立歌劇場バレエのプリンシパルの二人、海老原由佳とダウィッド・チェンツェミエック中心にコール・ド・バレエ付『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。鮮やかなテクニックをともなった伸びやかで楽しさが広がる踊りで、華やかに幕を閉じた。
(2017年8月11日、NHK大阪ホール *8月19日に演目・出演者がいくつか変わっての公演が兵庫県立芸術文化センターで上演)

osaka1709d_0742.jpg 『マノン』
西野麻衣子、平野亮一
osaka1709d_0800.jpg 『ドン・キホーテ』
海老原由佳、ダウィッド・チェンツェミエック
osaka1709d_3059.jpg 『Take Me With You』
海老原由佳、ダウィッド・チェンツェミエック
osaka1709d_3253.jpg 『くるみ割り人形』
橋本清香、木本全優
撮影:高田真(Shin STYLE)(すべて)