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芦屋・奥池の自然に囲まれた元コシノヒロコ邸 KHギャラリーで苫野美亜プロデュースによる「White Noesis」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

「White Noesis」苫野美亜:振付

プロデュースするDance Performance LIVE公演が、昨年10周年を迎えた苫野美亜。彼女が新たに立ち上げたGallery Projectの1回目の公演だ。今回行われたのは、兵庫県芦屋市の奥池にあるKHギャラリー。ファッションデザイナーのコシノヒロコが約30年間暮らした安藤忠雄が設計した建物で、現在はギャラリーとして、コシノが描き続けてきた絵画作品等が数多く飾られている。ご存知の方も多いと思うが、芦屋の奥池は街の近くながら自然が残る地域で、この日は天気もよく、窓から刺し込む自然の光の中で踊られたダンスは、普段、閉ざされた劇場で人口の照明の中で観るダンスとは一味違った魅力があった。

階段状に設えられた客席の正面の舞台エリア正面奥と上手側の下側がガラス窓になっており、そこから緑が見えるとともに光が差し込む。その前に置かれたグランドピアノでの石井麻衣子の演奏とともに、中村春奈と関野海斗が踊った。

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L.V.ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲壮」第2楽章』Adagio Cantabile
中村春奈、関野海斗
ピアノ:石井麻依子 撮影:植村耕司

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L.V.ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲壮」第2楽章』Adagio Cantabile
中村春奈、関野海斗
ピアノ:石井麻依子 撮影:植村耕司

まずはピアノのみで、P.グラスの『Opening』。そして、L.V.ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲壮」第2楽章』Adagio Cantabileを中村春奈と関野海斗が踊った。二人ともバレエダンサーとしてプロとしての経験を重ねていることが実感できる存在感、モノトーンの衣装を身につけ、動く美術作品のよう。REMAHの歌『MOGA』を挟み、中村春奈が大人の女性の魅力を感じさせ踊った J.ベヴィン『Ab Ovo』、関野海斗が青年らしい初々しいしさも垣間見せて踊ったF.メンデルスゾーン = F.リスト『歌の翼にop.34-2』。ピアノでのP.グラスの『Closing』の後にはアンコールとして、M.ラヴェル『ボレロ』をピアノ、歌、ダンサー全員で。出だし、ピアノを弾くのではなく、ピアノ本体の木の部分を指で叩くことから始まり、だんだんと盛り上がっていく『ボレロ』、ダンサーの動きがどんどん大きくなり、晴れやかな笑顔になっていくのに惹きこまれた。

休憩を挟んだ2部では、トークセッションということで、苫野美亜(振付・プロデュース)、野村大祐(芦屋市教育長)、コシノヒロコ(ファッションデザイナー・アーティスト)、高島崚輔(芦屋市長)、苫野一徳(熊本大学大学院教育学研究科准教授・芦屋市教育アドバイザー)がトークを。コシノの気取らない口調、史上最年少市長として当選した高島のフレンドリーな中に頭の良さを感じさせる話し方など、それぞれの立場や個性を感じながら聴いたアートについてのトークも興味深かった。
(2025年3月9日 KHギャラリー芦屋)

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J.ベヴィン『Ab Ovo』
中村春奈
ピアノ:石井麻依子 撮影:植村耕司

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F.メンデルスゾーン=F.リスト『歌の翼にop.34-2』
関野海斗
ピアノ:石井麻依子 撮影:植村耕司

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M.ラヴェル『ボレロ』
歌:REMAH ピアノ:石井麻依子
撮影:植村耕司

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M.ラヴェル『ボレロ』
中村春奈、関野海斗
歌:REMAH ピアノ:石井麻依子
撮影:植村耕司

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M.ラヴェル『ボレロ』
中村春奈、関野海斗
歌:REMAH ピアノ:石井麻依子
撮影:植村耕司

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トークセッション
左から、苫野美亜(振付・プロデュース)、野村大祐(芦屋市教育長)、コシノヒロコ(ファッションデザイナー・アーティスト)、高島崚輔(芦屋市長)、苫野一徳(熊本大学大学院教育学研究科准教授・芦屋市教育アドバイザー)
撮影:植村耕司

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