浅野歩&弓場亮太主演の深川秀夫振付『ジゼル』第2幕や錦見真樹振付の新作など──「Dance Troupe 36th」
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
藤原バレエ
「Dance Troupe 36th」深川秀夫、錦見真樹:振付
今回の藤原バレエ「Dance Troupe 36th」のメイン演目はラストの深川秀夫振付『ジゼル』第2幕。そして、その幕開けは、それに呼応するように錦見真樹が振付けた『妖精たちの森/娘たちの森』。『ジゼル』の台本をゴーティエがドイツの詩人ハイネの民間信仰を紹介した文章をもとに書いた、その民間信仰にある"森で踊る精霊"をイメージし、チャイコフスキーやビゼーの曲を使い振付けた。軽快な場面や、パ・ド・トロワなどでバランスよく構成されていた。
『妖精たちの森/娘たちの森』妖精たち
撮影:テス大阪
『ジゼル』第2幕 ジゼル:浅野歩、アルブレヒト:弓場亮太
撮影:テス大阪
バレエコンサートではバラエティに富んだ演目が上演されたが、特に印象に残ったのは、宮原由紀夫振付で彼自身が創ったオブジェとともに踊られた『灯台』。宮原自身も出演し、内側から優しい光で輝く丸い鳥の巣のようなオブジェを中央に、穏やかに進むダンス。ラスト、何かを大切そうに抱き、それを空に放つ。そして、円になり、上からゆっくりと降りてくるオブジェをみんなで受け取るように。このオブジェは、自然にあらがわずに生きる道を示唆する"灯台"なのだろうか。
この季節らしい可愛らしい演目『もうすぐクリスマス』(振付:錦見真樹)のあとは、いよいよラスト演目、冒頭で挙げた深川秀夫振付『ジゼル』第2幕だ。奥行きを感じさせる松浦眞也の照明で、「あぁ、深川版だ」と、まずそれだけで物語に誘ってくれる気がする。ジゼルを踊ったのは浅野歩、慎ましやかで素直な雰囲気が良い。アルブレヒトは弓場亮太で、心から後悔していることが感じられる人柄の良さが出た表現。2人もとても丁寧に踊っていたことにも好感が持てた。
(2024年12月21日 クレオ大阪中央)
『妖精たちの森/娘たちの森』パ・ド・トロワ
山本千鶴、鰐渕寛子、宮原由紀夫
撮影:テス大阪
『ジゼル』第1幕よりペザントのパ・ド・ドゥ
伊藤奏、弓場亮太
撮影:テス大阪
『ジゼル』第2幕 撮影:テス大阪
『くるみ割り人形』の王子のヴァリエーション
山本莞輔 撮影:テス大阪
『灯台』撮影:テス大阪
『サタネラ』のグラン・パ・ド・ドゥ:大江愛杜、末原雅広
撮影:テス大阪
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