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コンパクトにまとまりながらテクニカルな振付も楽しめたバレエカンパニーウエストジャパン『くるみ割り人形』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

バレエ カンパニー ウエスト ジャパン

『くるみ割り人形』瀬島五月:振付

子供たちや、バレエを観たことのない人にも気軽に楽しんでいただけるようにと、様々な工夫が凝らされた企画。私が観た夕公演は休憩を入れて1時間半あまりの公演時間と、それでもコンパクトだが、昼公演は小さな子供でも集中して観られる長さでと30分の公演だったという。会場ロビーでは、カフェや雑貨のマーケット、神戸フィルハーモニックの演奏、普段着で挑戦するバレエのワークショップや音楽のお話、歌ってみようなど、さまざまなイベントも行われた。

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クララ:水本千晶、ドロッセルマイヤー:大柴タクマ、お父さん:内野晶博、お母さん:宮﨑樹湖、フリッツ:佐藤輝琉
撮影:文元克香(テス大阪)

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王子(くるみ割り人形):田中陣之介、ネズミの王様:有馬和弥
撮影:田中 聡(テス大阪)

夕公演、まず、お菓子の国の戴冠式の場面。王様がネズミの国の女王様のあまりの小ささに、存在に気づかずに踏み殺してしまう場面から。なぜ、お菓子の国の王子が醜いくるみ割り人形に変えられたのかを観せてからクリスマスの場面に入る。
ここからは本当にコンパクトで、クリスマスパーティーというよりも、クララ(水本千晶)とフリッツ(佐藤輝琉)、父母(内野晶博、宮﨑樹湖)の4人家族でのクリスマスのお祝いにドロッセルマイヤー(大柴タクマ)がやってきてという形。だが、ストーリーは無理なく流れていく。大柴の、子供にも無理なく伝わるだろうと思えるハッキリとした表情変化も良い。

クララの水本はハツラツ感も持ったしっかりした踊り、明るさもあって良い。王子の田中陣之介とネズミの王様の有馬和弥の戦いも2人とも技術高く楽しめた。雪は東川実奈美とマイヤー敬洋ハリーを中心に20人弱のコール・ド・バレエと。コンパクトながら、白の群舞が入っていることは、やはり初めてバレエを観る方々の満足感も増す良い構成と思えた。

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クララ:水本千晶、王子:田中陣之介
撮影:田中 聡(テス大阪)

0436 撮影:文元克香(テス大阪).jpg

クララ:水本千晶、王子:田中陣之介、フランス(マカロン):赤木佑里恵、紀真優子
撮影:文元克香(テス大阪)

休憩を挟んでの2幕。お菓子の国で迎える女王&王は、佐々木夢奈&アンドリュー・エルフィンストン。顔が小さくスタイル良くてキュートな雰囲気を持つ佐々木、彼女はテクニックにも強くて、オリジナルの難易度の高いヴァリエーションをよくこなしていた。アンドリューは王らしく、抱擁感を持って優しげにサポート。また、その前の花のワルツは大久保彩香を中心に。スピーディーでテクニカルなパ、スローな部分など、1曲の中に絶妙なメリハリがあり振付のセンスを感じた。また、こんな振付をこなせるのは大久保だからこそ、とも思える。
バレエの魅力、『くるみ割り人形』の魅力を、ギュッと凝縮したようなイベントだった。
(2024年12月28日 東大阪市文化創造館)

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王子(くるみ割り人形):田中陣之介、ネズミの王様:有馬和弥
撮影:田中 聡(テス大阪)

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クララ:水本千晶、王子:田中陣之介
撮影:文元克香(テス大阪)

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スペイン(チョコレート):吉田裕香、佐竹美咲、齋藤伊世
撮影:田中 聡(テス大阪)

1499 撮影:文元克香(テス大阪).jpg

アラブ(コーヒー):宮﨑樹湖、堂下弘平、松原魁聖
撮影:文元克香(テス大阪)

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お菓子の国の女王&王(ドラジェの精):佐々木夢奈、アンドリュー・エルフィンストン
撮影:文元克香(テス大阪)


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写真キャプションの表記に誤りがあり訂正させていただきました。ご覧いただいた皆様、関係者の皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました。

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