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藤川雅子&伊藤大地の『ラ・バヤデール』影の王国、北野優香&長谷川元志の『エスメラルダ』など──KYOTO BALLET GARA

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

KYOTO BALLET GARA

有馬龍子記念京都バレエ団:プロデュース公演

出演者全員によるデフィレで始まり、ベテランから若手までによるクラシックのグラン・パ・ド・ドゥやヴァリエーション、現代演目など19演目が上演されたガラ。京都バレエ専門学校の卒業生を中心に、卒業後新国立劇場バレエ団に入団した菊岡優舞や西川慶が現在の同僚である岸谷沙七優と踊るなど、彼ら彼女らの現在の活躍が垣間見える内容だった。

特に印象に残った演目を挙げたい。まず、第1部の最初に踊られた吉岡ちとせ("吉"は正しくは土に口)と陳秀介の『白鳥の湖」第2幕よりパ・ド・ドゥ。踊り続けてきたベテランだからこその叙情性、丁寧な踊りに引き込まれた。そして、この部のラストは同じ『白鳥ー』から第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ。こちらは、今、伸び盛りと思える平古場菜穂と椎山一輝。平古場は昨夏の公演で安達哲治振付の『ボレロ』の中心を踊ったのだが、茶道や武道を思わせる"和"の凛とした魅力をよく伝えていたことが印象に残っている。今回もメリハリの効いた凛とした踊りだった。

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『白鳥の湖』第2幕よりパ・ド・ドゥ
吉岡ちとせ、陳秀介  撮影:テス大阪

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『白鳥の湖』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
平古場菜穂、椎山一輝  撮影:テス大阪

第2部では、庄野陽花と妹尾充人の『サタネラ』よりグラン・パ・ド・ドゥ。庄野のおっとりとした魅力、妹尾の音楽を大切にした溌溂としたテクニックを楽しんだ。この部のラストは冒頭でも挙げた菊岡優舞、西川慶、岸谷沙七優による『海賊』第2幕よりパ・ド・トロワ。腰が高く脚が長いことにまず目を見張る岸谷のメドーラ、軽快な西川のアリ、堂々とした菊岡のコンラッド、3人ともが実力あるダンサーであることを実感しながら観た。

最後、第3部は、長年踊り続けている桃谷幸子とチョ・ミンヨンの想いを込めた『Rhapsody』で幕開け。華のある池田梨菜と田中元の『コッペリア』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ、粋な魅力で楽しい前野詩織と福島元哉の『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。続いての北野優香と長谷川元志による『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥは、北野の、品と大人の憂いの中に、そこはかとなく可愛らしさも漂う魅力、そして長谷川の気持ちの良い正確で高度なテクニックに目が釘付けになった。そしてラストは、藤川雅子のニキヤ、伊藤大地のソロルに、庄野陽花、松本陽菜乃、水野みく3人のソリストも入っての『ラ・バヤデール』第3幕 影の王国より。祈りを感じる"バレエ・ブラン=白のバレエ"の魅力に惹きこまれた。
(2024年12月7日 京都市右京ふれあい文化会館)

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『サタネラ』よりグラン・パ・ド・ドゥ
庄野陽花、妹尾充人  撮影:テス大阪

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『サタネラ』よりグラン・パ・ド・ドゥ
妹尾充人  撮影:テス大阪

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『海賊』第2幕よりパ・ド・トロワ
メドーラ:岸谷沙七優、コンラッド:菊岡優舞、アリ:西川慶
撮影:テス大阪

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『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
前野詩織、福島元哉  撮影:テス大阪

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『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ
北野優香、長谷川元志  撮影:テス大阪

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『ラ・バヤデール』第3幕 影の王国より
藤川雅子、伊藤大地  撮影:テス大阪

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