ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2007.09.10]
From Osaka -大阪-

ひょうごインビテーショナル「中国舞踊」

『足踏み歌』

 いままでに英国ロイヤル・バレエ・スクールやジョン・クランコ・バレエ・スクール、モスクワ・バレエ・アカデミーなど世界各地のバレエ学校を紹介してきた「ひょうごインビテーショナル」(兵庫県の事業)は、全国的にはあまり知られていないが関西のバレエ・ファンが楽しみにしている行事。今年は、中国から北京ダンス・アカデミーが招聘された。
 いまや中国人ダンサーは、国際舞踊コンクール入賞者の常連。また今年は、『ワイルド・ゼブラ』『覇王別記』『楊貴妃』あるいは「アクロバティック『白鳥の湖』」など、中国のパフォーミング・アーツが次々来日公演を行っている。中国の舞踊教育の最高峰である北京ダンス・アカデミーの初来日公演は、「中国舞踊」の全体像を見る上でも、またその強さの秘密を探る上でもとても興味深かった。
 第一部の「レッスン風景」では中国古典舞踊の基本を示した。まず驚かされたのは、ダンサーの資質の良さ。男女ともスタイル、ルックスともに恵まれている。アカデミーの入学試験では、運動能力や記憶力などとともに身体条件やルックスも審査されるそう。たしかに「選ばれた者」が舞台に並んでいた。
 古典舞踊というと、動きの緩慢な優雅なダンスを思い浮かべがちだが、ここでは、男性は剣を手にし、激しい動きを披露し、女性は、長い袖をときに小道具のように用いながら踊り、飽きさせることはなかった。
 続く『白鳥の湖』第2幕で、オデット、王子を踊ったリー・フェイトンとトン・チャディは二人ともアカデミーの学生。17歳のリーは、『白鳥の湖』を踊るのが初めてだという。たしかに経験の浅さは見て取れたが、基礎に忠実で、柔軟な身体を巧みに使った踊りは美しく、可能性を感じさせた。
 第2部は、リー&トンの『海賊』のほか、中国古典舞踊や中国現代舞踊、中国民族舞踊の小品が次々披露された。
 男性が太鼓を背につけ踊る「太陽にもっとも近い人々」は、チベット民族の舞踊、何枚もの生地で仕立てられたスカートを恋人に見立てたりしながらダイナミックに踊る女性ソロ『花はなぜ紅い』はウイグル民族のダンス。多民族国家である中国の民族舞踊は、ヴァラエティ豊かだ。国際コンクールで常に上位の成績を収めている中国現代舞踊。リュウ・ツェンのソロ『青の軽さ』は、やはりコンクールでその名を聞くことが多い高成明の振り付けだ。アクロバティックなテクニックが取り入れられ、なかなか見ごたえがあった。ヨーロッパのコンクールで見ると、強烈な独創性を感じる高成明の作品だが、今回は、同時に上演された中国古典舞踊や民族舞踊の作品に、「馴染んで」いた。それはつまり、中国現代舞踊には、中国古典舞踊や民族舞踊のエッセンスが巧みに取り込まれているということだろう。
 

『青の軽さ』『紅に縛られて』
レッスン風景『太陽にもっとも近い人々』
『秦王の閲兵』『楚の国の踊り』


 

(7月15日、グランキューブ大阪)