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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2005.09.10]
From Osaka -大阪-

●深川秀夫振付『グノー組曲』ほか波多野澄子バレエ研究所生徒公演


 習い始めたばかりの小さな子ども達から、ベテランの教師たちまで出演する生徒公演。いつもこの研究所の舞台を観て感じるのは、衣裳がとても可愛らしく品が良いこと。それもその筈で主宰の波多野澄子が、さまざまな工夫をしつつ良い素材も使って用意しているそうだ。

 例えば小さな子どもたちの『ぶどう祭りの少女たち』は白と水色の衣裳に黒いエプロン、頭に付けた大きな黒いリボンが効いていてとても良い。次の『おしゃれねずみ』も、ねずみさんに赤地に白い水玉のベルトと頭のリボンがなんとも言えず可愛い。大人の衣裳では、例えばシンプルな白のチュチュ。白そのままでなく、うっすらとオフホワイトに染めるとか。そうすることで照明による陰影がとても美しく出るという。


 さて、踊りの中身の方、まず印象に残ったのは井上勇一郎振付の『Coexist(コーエグジィスト)』。井上本人と現在アメリカのサラソタ・バレエ団で活躍する河島真之の二人で踊った。二人は子どもの頃、この教室で数少ない男性として一緒だったいわば兄弟分。井上は、ドイツのカールスルーエなどさまざまなカンパニーでプロ・ダンサーとして活躍していたが、現在バレエ教授法の勉強をするため、カナダのナショナル・バレエ・スクールの教師コースに在学中だ。これは初の自作。“Coexist”とは“共存”。悩める男性二人、はじめは別々のライトのなかそれぞれで踊っていたのが、序々に大きなひとつのライトの中で対称の動きや同じ動きをするようになってゆく。井上と河島、体型も持ち味も全く違うのだが、動き自体はとても美しく揃って行く。2人の踊りが系統だったものの上に成り立っていることが分かる。

 深川秀夫作品の『グラズーノフ・スウィート』は、今回、中・高・大の学生たち---若手ダンサーだけで上演。続いて、誰でもよく知っている曲を使って47年前に波多野澄子が振り付けた『カーニバルの日』を子ども達総出で上演した。

 ラストは、深川秀夫振付『グノー組曲』。黒とワインレッドを重ねた素敵な衣裳、頭の上で毛先を見せたような今風とも言えるヘアスタイル。踊りも、その姿にぴったりなちょっと大人っぽくて、同時に可愛さがただよう。幕開きにそんな女性ダンサーがたくさん舞台上に現れて、観ていて“魔女っこ”という言葉が浮かんだ。ところで、深川の『グノー組曲』は15年ほど前の作品だが、女性ばかりで踊るものだった。今回、初めて男性を入れて、パ・ド・ドゥを挿入。それを踊ったのは斎藤由佳と大寺資二。優しげで柔らかな雰囲気で、ちょっとおちゃめな感じの深川作品独特のエッセンスも入る振付。とても2人に似合い、よくこなしていた。ヴァリエーションの池田佳子も、安定した回転テクニックで良かった。
(8月12日 尼崎アルカイックホール)
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