ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

皆様、こんにちは。日本はまだまだ暑いそうですね。ニューヨークはもう涼しくなり、長袖を着ています。夜は肌寒いほどです。 8月はニューヨークの劇場が夏休みになるシーズンですが、運良く世界一のタップダンサーのセヴィオン・グローヴァーのインタビューすることができましたので、公演のレポートとインタビューをお届けします。

セヴィオン・グローヴァー=タップダンスは私の声、祈り、瞑想であり、人生のすべて。

Savion Glover セヴィオン・グローヴァー=インタビュー
(インタビュアー/ブルーシャ西村)

----最近、あなたは日本で公演をしましたね(4月、東京コットンクラブ)。公演はいかがでしたか?
グローヴァー(以下G) とても美しかったよ。私はいつも日本を楽しんでいますよ。日本は私の人生を変えたんだよ。

---なぜ?
G 私は日本で結婚したんだよ。モンキーテンプルで。

---モンキーテンプル(猿寺)? いつですか?
G 7年前に。ちょうど『ノイズ・ファンク』をやっていた最中にですよ。
君は“ノイズ・ファンク”を知ってる?

(『ノイズ・ファンク』は、グローヴァーが振付けトニー賞受賞したミュージカル『ブリング・インダ・ノイズ・ブリング・インダ・ファンク』のこと。1995年にオフブロードウェイで始まり、1996年にブロードウェイに移りました。グローヴァーの人生でこの作品が一番人々に観てもらいたかった名作の様子です。)

----はい、もちろん知っていますが、私自身は生で観られなかったのです。
G オウ、ノー!ノー!『ノイズ・ファンク』を観てないの? なんてこった!その時、君は何してたの? 2003年までだったよ。

----私はスペインに住んだあと、ちょうどニューヨークに引っ越してきた頃です。見逃しました。残念です。私も観たかったですよ。
G オウ、オーケー。

---『ノイズ・ファンク』はあなたのアイデアと振付だったのですか?
G はい、私の振付です。私のアイデアは半分で、私にはパートナーがいました。ジョージ・ウルフという芸術監督で、彼らとともに作り上げた作品。

----あなたは今、ニューヨークにお住まいですか。
G もう住んでいないよ。今はニュージャージーに住んでいるよ。

----あなたはタップダンスをしている最中は、どのように感じていますか?
G グレイト。スーパー・ワンダフル。

(最初は座って向かい合ってインタビューしていたのですが、グローヴァーは答えながら熱く語り出し始めて、ここで思わず立ち上がって座っている私のほうへ来て上から身をかがめて顔を近づけてきて私の目とじっと見つめて訴えてきました。
これが一番彼が聞いて欲しかった質問だったのですね。この日のインタビューでお互いに盛り上がった瞬間でした。その彼のタップに対するすごい熱意と近付きすぎた顔面にビックリして、私はイスを少し後ろにずらして笑いながらのけぞってしまいました。)

----あなたにとって、タップダンスとは何ですか。
G 私にとってタップダンスとは、私の人生です。全てです。それは私の「ボイス」(声)であり、他のやり方の「祈り」であり、「瞑想」です。

---あなたはタップダンスをしている最中に「瞑想」しているのですか?
G はい。

---本当ですか! あなたはタップダンスしている最中に、宇宙とコネクトしているのですか。
G はい。

---そうですか! “ヨガ”みたいなものですか。
G 多分、似ていますよ。イエース。

---あなたは毎日タップの練習をしていますか。
G いいえ。私はタップの練習は必要ないです。タップは“私”です。

---すごいですね!あなたのタップダンスは誰も真似できないですよね。とても、オリジナルですね。
G ありがとう!

---あなたのタップスタイルはとてもリズミカルですよね。他のミュージカルのようなシアター・タップダンスとは違いますね。
G はい、それは私のタップスタイルではないです。これは私に対して人々が語ってきたものです。例えば、ジミー・スライド、グレゴリー・ハインツ、他の全てのグレイト・タップダンサーたち。これ(このタップスタイル)は贈り物なのですよ、長い変化の中で地上で受け継がれてきたものなんだ。
君が観て君が知っている私のスタイルは、君が語ったものは、なぜなら私が私のスタイルとして今やっているからだよ。他の観方をすれば、君はジミー・スライドやグレゴリー・ハインツなどのタップスタイルを観るチャンスがなかったからかもしれないよ。私はただの彼らの生徒なのですよ。

---そのような話を何か聞いたことがあります。あなたは小さな子供の頃にタップダンスを習い始めましたね。
G 7歳から。

----なぜですか?
G 私の母が、私をタップダンスクラスに入れたからですよ。そしてしばらくしてすぐに私は上達して、私の「声」を発見したんだよ、これは私の人生を通じてやるものだな、という声を。

----あなたの母親は、あなたのタップの才能を発見したのでしょうか。
G 私にはそう見えるよ。もちろん彼女は私の何か特別なものを見つけたんだ。

----あなたは子供の頃にブロードウェイでデビューしましたね。
G ええ。10歳で。私の最初のショーは10歳でしたよ。

----10歳ですか。神はあなたに才能を与えたのですね。
G ありがとう。

----あなたのタップスタイルは、楽器のパーカッションのようですね。
G はい。パーカッションだけではなく、音楽でもあります。メロディー、歌・・・。

----そうですね。あなたは、ダンサーというよりも、ミュージシャンですね。
G そう、その通り! 私はダンサーよりも、もっとミュージシャンです。

----そうですね。私もそう思います。あなたのタップダンスから、私はブラックカルチャーのパワーを感じます。
G オー、グッド!

----日本人の私にとっては、タップダンスはブラックカルチャーで、私たちには無いエキゾチックなものとして感じます。
G エキゾチック?

----はい、タップを通じて違う人種を感じます。
G オー、グッド!

----なぜなら、私たち日本人は、もともとあなたたち黒人のようには生まれつき身体の中にリズムを持っていないと思います。
G ああ、でもあなたたちはあなたたち自身のリズムを持っていますよ。

----あなたはそう思いますか。誰でも身体の中にリズムを持っていますか。
G 私はそうだと知っているよ。

----私たちでもリズムを成長させることができますか。
G もちろん、あなたたちも自分のリズムを成長させることができますよ。私たちはみんな違うやり方を持っているんたよ。私たちはみんな、自分が成し遂げたいどんなことでも、達成するために心理学的にチャレンジできる。あなたたちもこのように成長できますよ。私も、あなたたちの文化のものでも、成長することができます。
人間として私たちはみんな、人種の壁を越えてどんなことでも自分が到達したいように発達できるんだよ。ただし、学ぶ方法、成長する方法にもよる。これは不可能ではないけれど、やる気によりますね。

----何か日本のあなたのファンへメッセージをいただけますか。
G 何かメッセージ?

----はい、ファンへ何かメッセージを。あなたは時々ショーで来日するでしょう。
G 日本へ行くのはとても好きですよ。日本で必ずすることは、ビニル(レコード)を買うことです。音楽が大好きなのです。
日本のファンへメッセージは、まず、「ダンサーたちを思い出してください!」。
私より前からいる、ずっと昔からのダンサーたちのことを思い出してください。ジミー・スライド、グレゴリー・ハインツ、バスター・ブラウン、エディー・ブラウン。
偉大な人々のことを思い出してください。ジョン・コルトレーン、チャーリー・パーカー。これらの人々のことを思い出してください。

公演期間中に、短時間ですがインタビューする時間を設けていただきました。グローヴァーは幼少時から天才タップダンサーとして活躍していて世界的に有名ですが、素顔はとてもチャーミングで感じが良く、気さくです。子供の頃から先輩の大御所タップダンサーたちに引き立ててもらえたのは、彼の性格の良さと魅力が大きかったと思います。
(2010年7月5日、ニューヨーク、マンハッタン)