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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2014.08.11]

ニクーリナ、オフチャレンコの美しく安定した踊り、ボリショイ・バレエ団ニューヨーク公演

Bolishoi Ballet ボリショイ・バレエ
“Swan Lake” Choreographic Version by Yuri Grigorovich、Scenes in Choreography by Marius Petipa, Lev Ivanov, Alexander Gorsky
『白鳥の湖』ユーリ・ゴリゴローヴィチ:改訂振付、マリウス・プティパ、レフ・イワノフ、アレクサンドル・ゴルスキー:原振付

毎年夏のニューヨーク恒例のリンカーンセンター・フェスティバルが、7月7日から8月16日まで開催されています。ボリショイ・バレエ団が招聘され、7月15日から27日まで上演しました。
私が観劇したのは7月16日夜の『白鳥の湖』です。音楽はチャイコフスキーです。
主なキャストは、オデット(オディール)はアンナ・ニクーリナ、ジークフリート王子はアルテム・オフチャレンコ、悪魔ロットバルトはデニス・ロヂキンです。
1回の休憩をはさんで、2時間半ほどの上演でした。音楽はボリショイ劇場オーケストラ。この音楽も素晴らしかったです。強弱が強く、劇的な演奏で盛り上がり、感動が大きかったです。
ダンサーたちが皆、手足が長く顔も小さくて美人揃いで、とても美しかったです。コール・ド・バレエのダンサーたちも、全体に実力が高かったです。舞台背景はシンプルで現代的、衣装はロシアの色彩らしい中間色の組み合わせが多く、豪華でした。

ny1408a01.jpg photo/Stephanie Berger

第一幕では、ジークフリート王子のオフチャレンコは軸が安定しており踊りに余裕が感じられ、回転もピタッときまっていました。
王子の宮殿に時々出てくる、小柄な道化役のデニス・メドヴェーデフは、とても身軽ですばしっこくスピード感が抜群で、良い味を出していました。
コール・ド・バレエの白鳥たちは24名の大人数、全員よく揃っていて、白いチュチュで幻想的で美しかったです。大勢の白鳥たちは、何度見ても目に焼きつくシーンです。オデットのニクーリナはとても上品で可愛らしいダンサーで、手足が長く、細くて美しいです。軸がピタッとして微動だにせずとても安定していて感心しました。王子とのパ・ド・ドゥは、美しく優雅でした。優雅さ、上品さをよく表現できるダンサーです。
3羽の白鳥、4羽の白鳥の踊りは、とてもよく揃っていて、こちらも軸が安定していて、完璧でした。コール・ドの白鳥たちの前で、オデットのニクーリナがまた踊り、名残惜しそうに去りました。悪魔ロットバルトのロヂキンは、ひときわ大柄で目立っていて、この役にぴったりはまっていました。

ny1408a03.jpg photo/Stephanie Berger

第二幕は、王子の結婚相手を選ぶ舞踏会から始まりました。5カ国の姫たちと、お付の者たちの踊りがありました。そして悪魔ロットバルトとともにオディール(黒鳥)が登場。オディールとジークフリート王子のパ・ド・ドゥも激しく、迫力があって素晴らしかったです。ニクーリナは、まったく正反対の性格のオデットとオディールを上手く演じ分けていました。オディールは荒々しく、激しい気性を表していました。ロットバルトはその彼ら2人の周りでピッタリ近づいて、影のように躍っていました。ニクーリナは、32回転以上のグラン・フェッテも余裕で踊りました。とても安定していて、軸がびくともしませんでした。

最後のシーン、夜の湖では、また大勢のコール・ドの白鳥たちがでてきて、羽を休めていましたが、次々立ち上がって踊り始めました。幻想的でとても美しいシーンです。
オデットのソロの踊りがあり、そこにロットバルトとともに6羽の黒鳥が一緒にでてきました。王子もオデットを探しにさまよい出て来ます。
オデットと王子が踊り、ロッドバルトに訴えます。しかしロッドバルトは2人の間を何度も行き来しては引き裂き続けました。ロッドバルトはオデットを連れ去り、オデットは倒れてしまいました。
舞台上には王子は一人だけが残され、呆然としているところで幕が閉じました。ボリショイ・バレエの演出では、王子は一緒に飛び込み自害せずに、あいまいな終わり方で、まだ悲劇の続きがあるような想像の余地がありました。『白鳥の湖』の最後の終わり方は、バレエ団それぞれ演出によって違いますが、その違いを見るのも楽しみの一つです。
何度見ても『白鳥の湖』は美しく、幻想的で、物語の盛り上がりもあり、踊りも素晴らしいです。バレエの名作ですね。
(2014年7月16日夜  David h. Koch Theater)

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ny1408a05.jpgphoto/Stephanie Berger(すべて)