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針山 真実 text by MAMI HARIYAMA 
[2013.11.11]

アメリカの文化を感じさせたヒューストン・バレエのアーバンな作品

Houston Ballet ヒューストン・バレエ
"Pacific" Choreography by Mark Morris "Solo" Choreography by Hans van Manen "Play" Choreography by Stanton Welch
『Pacific』マーク・モリス振付、『Solo』ハンス・ファン・マーネン振付、『Play』スタントン・ウエルチ振付

アメリカのバレエ団ではアメリカン・バレエ・シアター、ニューヨーク・シティ・バレエ、サンフランシスコ・バレエ、ボストン・バレエなどが有名でそのあとに続くのはヒューストン・バレエだと思う。
今回パフォーマンスが行われたジョイスシアターは主にコンテンポラリーダンスの公演が多く、開催された劇場の大きさは日本の中ホールくらいでダンサーたちとの距離感は近い。
当日の場内はほぼ満席で客層は中高年夫婦が多く、そして女性と男性の割合が同じくらい。日常から人々が劇場で舞台を見て楽しむアメリカの文化が感じられた。

まず始めはマーク・モリス振付の『Pacific』。音楽は生演奏でチェロ、バイオリン、ピアノがそれぞれ独奏し、最後はすべての楽器が一緒に演奏した。
この作品には4人の女性と4人の男性が踊り、そのうち二人は日本人の楠崎なおと飯島望未。二人とも基本が綺麗でしっかり訓練されたことがわかるしっかりした踊り。飯島はもう10年以上前になるかもしれないが大阪のスタジオで見たことがあったが、今こうして立派にバレエ団を引っ張る存在として踊っている姿を見られて嬉しかった。衣装の長くてさらっとしたスカートがダンサーの動きにあわせて動くのが印象に残り、振付は上体や腕の動きが特にユニーク、そしてフォーメーションの使い方がマーク・モリスの振付らしくて、いつも流石だと思っている。

ny1311e03.jpg PACIFIC Photo ©Amitava Sarkar

そして拍手が一番大きかった『ソロ』はハンス・ファン・マーネン振付、バッハ曲のバイオリン独奏で踊られた作品。グレーのタイツにえんじ色のTシャツというシンプルな衣装で、男性3人が1人ずつ次々に出てきて交代でソロを踊り続ける。女性はいない。ほとんどはバレエ要素にコンテンポラリーを少し混ぜた振付で、時折りコミカルな動きもあった。後半、音楽がアレグロになるとダンサーたちは動き続けで軽快なステップやジャンプやターンで、ステージ中を駆け巡るマラソンのようだ。3人のダンサーが次々に出たり入ったりして踊り続け、最後まで3人ともに高い技術と身体能力が求められる舞台だ。会場からは終わったと同時に大きな拍手が沸いた。

最後は『プレイ』。振付はヒューストン・バレエの芸術監督であるスタントン・ウェルチ。場内の休憩時間の終わりを知らせるベルが鳴らされ観客たちが席に戻ろうとしている時、客席が明るいまま幕が上がり、一瞬、何かの間違いかと思わせた。ダンサーたちが舞台上でワームアップをしていたり、振付を確認していたり、シューズカバーや上着をつけたダンサーたち練習している、実はここから既に上演が始まっていた。そしてダンサーたちがだんだんステージ上に集まってきて自分の配置について座ると場内が暗くなりプロジェクターで子供たちが遊んでいるホームビデオが映し出される。そこからだんだん踊りが始まり映像が消えると背景は都会となっていた。
ダンサーたちはそれぞれ違う私服姿で都会での生き方を表現している。多くの人々とすれ違いながら、そして男女が出会いパートナーとして成り立っていく姿、途中、スーツ姿で踊る働く男性たちも登場した。ここでは葛藤している都会の人々の様子が、活き活きと表現されていて印象に残った。
(2013年10月23日 ジョイスシアター)

ny1311e02.jpg SOLO Photo ©Amitava Sarkar ny1311e01.jpg PLAY Photo ©Amitava Sarkar