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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2013.03.11]

華やかで豪華、スピーディでドラマティックな美しさが魅力の『眠れる森の美女』

New York City Ballet ニューヨーク・シティ・バレエ
“ The Sleeping Beauty ” by Peter Martis(after Marius Petipa)、Garland Dance by George Balanchene
『眠れる森の美女』ピーター・マーティンス振付(マリウス・プティパに基づく)、「ガーランド・ダンス」ジョージ・バランシン振付

1月15日から2月25日までのニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)冬の公演期間に、2月13日夜の『眠れる森の美女』を観ました。バランシンはNYCBに『眠れる森の美女』に振付けませんでしたが、1981年にチャイコフスキー・フェスティヴァルのために「ガーランド・ダンス」を振付けました。ピーター・マーティンスはこの振付を組み込んで『眠れる森の美女』を全2幕構成として振付け、1991年にニュ-ヨーク・ステート・シアターで初演しました。
マーティンス版『眠れる森の美女』は全2幕で構成され、3時間近い演目でした。音楽はチャイコフスキーでプリンシパル・ダンサーたちが大勢出演し、舞台セットも衣装も豪華絢爛で美しかったです。

ny1303a02.jpg Photo:(C)Paul Kolnik

最初は「洗礼式」の場面。
舞台の幕が開くと、前奏曲が流れ、手前に大きなスクリーンが張られていて、そこに手描きの背景、映像が映っていました。林の小道が続き、だんだん中央奥のお城に近付いていき、お城がアップとなってスクリーンが上がると、そこはフロレスタン王のお城の大広間で、ドレスなど着飾った人々が大勢いました。赤ん坊のオーロラ姫の、洗礼の式典が盛大に行われているところです。オーロラ姫は舞台上手に置かれた、仰々しいゆりかごに入れられていました。
6名の妖精たちが男性にエスコートされて登場し、それぞれソロでも踊りました。他の数名の女性の妖精たちの群舞が加わったシーンもありました。妖精たちはオーロラ姫に授け物をし、それを踊りで表わしました。
リラの精はサラ・メアンズ。とても優雅で上品な踊りで、身体がすごく安定していました。
すると突然、4匹の醜い怪物が乱入。邪悪な妖精カラボスの手下たちです。クモの巣を張り巡らせたような馬車に乗って、手下と共にカラボスが登場しました。全身黒尽くめ、ラメの光る生地のとてもカッコいいデザインの衣装です。カラボス役はマリア・コウロスキー。洗礼の式典に招待されなかったことに怒り狂って、オーロラ姫に呪いをかけて去りました。16歳の誕生日に指を刺して死ぬ、という呪いです。そこにリラの精が立ちはだかり、カラボスと争いました。

ny1303a01.jpg Photo:(C)Paul Kolnik

次は求婚のシーン。成長したオーロラ姫はメーガン・フェアチャイルドです。とても重心が安定して軸がびくともせず、余裕がある踊りで雰囲気もとてもエレガンスでした。
オーロラ姫の16歳の誕生日の祝福のために大勢の男女が、花のアーチを手に持ってワルツを踊りました。
オーロラ姫の16歳の誕生日に4名の求婚者たちがやってきました。求婚者たちはジャレド・アングル、ジョナサン・スタフォード、セバスチャン・マルコヴィッチ、アマール・ラマサール。オーロラ姫は、それぞれの求婚者に順番に一輪ずつ花をもらい、エスコートされて次々に踊りました。オーロラ姫はアティチュードで静止して、求婚者に手を添えてもらいゆっくりと1回転して、4人と共に順番に同じ動作をしました。素敵なロース・アダージョでした。
頭巾で顔をかくしたおばあさんがやってきて花束を差し出し、花束の中にとげが仕込まれていてオーロラ姫の指を刺しました。だんだんオーロラ姫はめまいひどくなり苦しんで踊り、やがてヨロヨロして倒れてしまいました。おばあさんに化けていたカラボスが現れて意地悪そうに笑いました。
リラの精が王様とお后様たちに、「オーロラ姫も城の者もみんな、100年の眠りにつき、やがて王子様がやってきて、姫に口づけすると眠りから覚めるでしょう」とNYCBの演出はマイムで説明しました。
デジレ王子はホアキン・デ・ルースです。デジレ王子は森をさまよっているとリラの精が出現して、オーロラ姫の幻と踊りました。王子は幻の姫を追いかけて、姫と少し踊ります。大勢の妖精たちの群舞があり、とても綺麗なシーンです。
王子もソロで踊りました。森の中、舞台上手から大きな船が流れてきて、リラの精が乗って、そこに王子も一緒に乗って、下手へとゆっくり流れていきました。ここ第一幕が閉じました。

 第二幕は、最初は目覚めのシーン。すごいスモークの中、王子とリラの精を乗せた船が下手から上手へ動いていきました。舞台手前のスクリーンに、景色が映り、王子は森の中へ入って行き、いばらの森、やぶの中を進んでいきました。カラボスと4名の手下たちがこっそりとついていきました。
やぶの向こうにさびれたお城が見えてきました。王子はすぐ眠れる森の美女を見つけて、リラの精に見守られてキスをしまのした。オーロラ姫は呪いが解けて、目覚めると、お城のみんなも目覚めました。
場面は変わって、オーロラ姫とデジレ王子の結婚式です。様々な妖精たちが招待されています。
NYCBの演出では、結婚を祝福するのは、金の精、ダイヤモンドの精、ルビーの精、エメラルドの精です。4人の(宝石・貴金属の)妖精のパ・ド・カトルは、とても軽快で速い、快活な踊りでした。
猫のダンス、フロリナ王女と青い鳥のパ・ド・ドゥ、赤ずきんちゃんとオオカミの踊り、3人の宮廷の道化師の踊り(ダニエル・ウルブリヒトほか)などの楽しいダンスが順番に続きました。
そしてオーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥ。ロマンティックな踊りで、男性はジャンプやピルエットなどの回転の見せ場が多いところです。オーロラ姫は、シェネがとてもやわらかく、軸がしっかりした踊りでした。リフトでポーズをとってフィニッシュです。
最後はフィナーレではマズルカです。全員で踊り、舞台後方に太陽が出て、幻想的なハッピーエンドで終わりました。
(2013年2月13日夜 リンカーンセンター、David H. Koch Theater

ny1303a03.jpg Photo:(C)Paul Kolnik