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ニュ−ヨークに登場した圧巻のサウンドとダンス、ホフェッシュ・シェクター

Hofesh Shechter Company ホフェッシュ・シェクター・カンパニー
“Political Mother” by Hofesh Shechter
『ポリティカル・マザー』ホフェッシュ・シェクター振付

BAMのネクスト・ウェーブ・フェスティバルにて、10月11日から13日まで、ホフェッシュ・シェクター・カンパニーの『ポリティカル・マザー』の公演がありました。

ny1211b01.jpg Photo : (C) Julieta Cervantes

2008年に創立されたイギリス・ブライトンを拠点とするカンパニーで、イスラエル人のホフェッシュ・シェクターが率いています。彼はダンサー、振付家であり、作曲家、ドラマーです。イスラエルのバットシェバ・ダンス・カンパニーでダンサーとして活動後、2002年にイギリスに移り、独自の活動を続け、2008年に英国ダンス批評家賞最優秀賞を受賞しました。ロンドンの3つのダンスの劇場であるサドラーズ・ウェルズ劇場、ザ・プレイス、サウスバンク・センターがバックアップした若手の才能あふれる振付家です。
現在、イギリスで最も注目されている振付家と言われており、世界中で公演を重ねています。
この作品は、ホフェッシュ・シェクター振付、作曲。舞台全体の作曲と振付を両方とも手がける芸術監督はとても稀です。シェクターはドラマーでバンド経験もあり、パーカッションの編曲をしています。マルチな才能です。バットシェバという世界的ダンスカンパニーでのダンサー経験がベースとなって、彼の活動に良い影響を与えているのだと思います。バットシェバの公演で見たような照明の使い方、生演奏の使い方があり、影響が感じられました。

ny1211b02.jpg Photo : (C) Julieta Cervantes

休憩なしで70分のノンストップです。
音楽は生演奏で、ミュージシャンは7名。打楽器がとても多く、ドラムスが5名もいました。そのうち、ドラムスとギターを兼ねたミュージシャンが3名です。他はエレクトリックベース、ギターです。
音楽のほかのパートは録音(サウンドトラック)が使われていて、そのミュージシャンはチェロ2名、ビオラ3名、ベース2名です。ダブルベースのベースラインとドラムス数名による、非常にリズムが全面に押し出された音楽でした。
ドラムスとベースが多い音楽の効果で、客席全体がユサユサ揺れるかのような大音響で、客席にも重低音が響いてきました。とても激しいリズムで、息をのむような迫力で、あっけにとられてしまうほどすごかったです。クラブやディスコの録音音楽とは比べ物にならないほどのすごい迫力の音量で、ドラムス5台が生み出す生演奏の重低音は、ガンガンと劇場全体にものすごく響いていました。ドラムス5台の演奏を聴く機会はほとんどないため、貴重な経験でした。この音楽、リズムの効果だけでも、圧倒されてしまいます。これなら、この公演を観た人々はすごい衝撃を脳天にくらい、ストレスが吹っ飛ぶと思います。ロンドンで注目されたはずだと感心しました。とにかく、今までに無いような新しいダンスと音楽の融合の公演です。
作品途中に、バッハやベルディの音楽も組み込まれて使われていました。
シェクターは、この作品を作ったときは、最初にドラムスをたたいてリズムをつくり、それを録音したそうです。そしてそのリズムだけの音楽を鳴らし続けて、ダンサーを何時間も動かし続けて、音にあわせて出てくる動きを引き出して、後で振付を生み出していったそうです。

照明が劇的で、明暗が激しくはっきりしたものでした。
ダンサーはものすごいスピードでぐるぐる走り回り続け、走りながらブンブンと手足を振ったりしていました。身体の一部分がちぎれるのではないかと思うくらい、激しいスピード感のままの状態で身体を振っていました。
とてもエキサイティングな公演でした。ホフェッシュ・シェクター・カンパニーは、今後も見逃せないカンパニーです。
(2012年10月12日夜 BAM:Howard Gilman Opera House)

ny1211b03.jpg Photo : (C) Julieta Cervantes ny1211b04.jpg Photo : (C) Julieta Cervantes