ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

さまざまバレエの歴史と伝統の重みを感じるパリ・オペラ座の『ジゼル』

Ballet de l’Opéra national de Paris パリ・オペラ座バレエ団
Jean Coralli Jules Joseph Perrot “Giselle” ジョン・コラーリ、ジュール・ペロー振付『ジゼル』

パリ・オペラ座バレエ団が、ニューヨークのリンカーン・フェスティバルに招聘され、7月11日から22日まで公演しました。

ny1209a01.jpg photo: Stephanie Berger

『ジゼル』は1841年にフランスで初演されたバレエ作品です。音楽はアドルフ・アダン、オリジナルの振付はジャン・コラーリとジュール・ペローです。
ジゼルはエトワールのクレールマリ・オスタ、アルブレヒトはエトワールのニコラ・ル・リッシュ、ヒラリオンはプルミエのクリストフ・デュケンヌ、ミルタはエトワールのエミリー・コゼットというキャストです。。
やはり『ジゼル』のような舞台をみると。アメリカとフランスのバレエの違いを、伝統の重み中に感じました。
ダンサーたちの表情や身体の動きの表現がとても豊かで、喜怒哀楽を大きな振幅で表していることを改めて感じました。ダンサー全体の顔の表情は今まで私が観てきたアメリカのバレエ団に比べると強く表現していると思いました。そうすると表情と演技のほうに自然に関心が向いて、物語の中に引き込まれていきました。
ピルエットなどの回転数は、例えばアメリカン・バレエ・シアターのダンサーたちよりも少ないこともあるのですが、そういうテクニック的な面があまり気にならないほど、オペラ座のダンサー全体の演技力、表現力が素晴らしいのです。もちろん彼らのバレエの実力が高く、身体も鍛錬を積まれていますが。

ny1209a02.jpg photo: Stephanie Berger

そして、パリ・オペラ座バレエ団舞台美術にも、芸術の歴史の重み、伝統を感じました。舞台美術の背景が、緻密に描かれていて、絵画としてレベルが高いものでした。
様々なバレエ団の『ジゼル』を見てきましたが、パリ・オペラ座バレエ団のこの公演の演出が、一番しっくりきて理解できました。演出方法のさまざまな工夫や積み重ねられてきたのが感じられました。
ジゼルは、第2幕では妖精ウィリとなって出演しますが、クレールマリ・オスタの演技は、徹底して無表情で冷たい感じで、一目で血が通っていない様子がはっきりと分かるものでした。第1幕で生きているジゼルを踊ったときは、オスタは、可憐な少女をとても表情豊かに優雅に演じていました。それが、同じダンサーが、第2幕では一転して、氷のように無表情でウィリらしさを強調して踊り続けたので、その演技力の幅に驚きました。
(2012年7月14日夜  David H. Koch Theater)
※写真は記事で紹介している公演日とは異なっています。

ny1209a03.jpg photo: Stephanie Berger ny1209a04.jpg photo: Stephanie Berger