ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

ニューヨークで天才と絶賛されるマーク・モリスの新作2作

Mark Morris Dance Group マーク・モリス・ダンスグループ
Mark Morris “Four Saints in Three Acts” “A Choral Fantasy”
マーク・モリス・振付 『三幕の四人の聖人』『合唱幻想曲』

3月1日から3日まで、BAMにて、マーク・モリス・ダンスグループの公演があり、2つの作品が上演されました。音楽は、MMDGミュージック・アンサンブルとトリニティー・クワイヤーの生演奏付きです。マーク・モリスは地元ニューヨークを拠点としていて天才と称され、絶賛されている現代を代表する振付家の一人。見逃せない公演です。
3月1日の公演を観ました。すべての振付は芸術監督のマーク・モリスです。

ny1204a01.jpg Photo/Julieta Cervantes

一作目はヴァージル・トムソン(Virgil Thompson)作曲、ガートルード・シュタイン(Gertrude Stein)台本のオペラ『三幕の四人の聖人』(Four Saints in Three Acts)(1934年初演)をもとにしたダンス作品です。出演ダンサーは14名。
生演奏の音楽も豪華で素晴らしかったです。クワイヤーによるオペラのような賛美歌のような歌声が、とてもよかったです。専属のオーケストラを持つコンテンポラリー・ダンス・カンパニーは非常に珍しいので、マーク・モリスはダンスだけではなく音楽にもこだわって舞台芸術を作り上げています。
最初から舞台の幕が開いていて、カーテンのような薄い幕が舞台いっぱいに張られていました。昔話に出てくるような村人風の可愛らしい衣装を着た男女たちがたくさん出てきました。2人の聖人は白い衣裳で、セント・テレサ役はミッチェル・ヤード(黒人女性ダンサー)、セント・イグナティウス役はサミュエル・ブラックです。
ソロや、2人ずつ、3〜4人ずつ、6人、12人など、交互にグループの人数も変化しながら入れ替わり、絵巻のように次々に踊りが続いていきました。
全体的に、音楽のメロディーと振付のリズムがピタリと合い、歌なしのミュージカルのような作品で、楽しく明るい雰囲気でした。踊りは難しい動きは使っていないのですが、マーク・モリスらしい独特な、個性的なもの。クラシックバレエ・ベースなのに、他のどのダンスとも似ていないのです。不思議です。ダンサーたちの顔の表情も豊かで、とても表現力が磨かれていました。演劇の要素もあって、演技力も高いカンパニーです。舞台セット、衣装がメルヘンチックで可愛らしくて、個性的な振付と合わさると、絵本に出てくるような世界になっていました。

ny1204a02.jpg Photo/Julieta Cervantes ny1204a03.jpg Photo/Julieta Cervantes ny1204a04.jpg Photo/Julieta Cervantes

2作目の作品は、音楽はベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)作曲の『合唱幻想曲』(A Choral Fantasy)です。こちらもピアノの生演奏とオペラのような歌で、音楽もとてもよかったです。出演ダンサーは15名。
衣装は斬新でカッコいいもので、下は黒っぽいパンツ、上はノースリーブでした。アイザック・ミズラヒというニューヨーク出身の、ファッション界で有名デザイナー(高級ブランド)による、衣装デザインでした。ニューヨークが拠点のマーク・モリスとつながりがあるのでしょうか。
この作品も音楽のメロディー、音符の長さ・強弱・リズムと振付がピッタリ合っていました。でも印象は、とても自由な感じの踊りです。マーク・モリスらしい、とてもオリジナリティーがある個性的な、独特な振付です。
面白かったところは、時々、踊りの間に、集団で右から左、左から右など、ただ単にドタバタ歩いて行進して横切っていくだけの振付を入れていたところでした。何度も行進が横切りました。
マーク・モリスは、そういった簡単な身体の動きも、ところどころに取り入れて踊りの一部にしてしまうので、自然な、天性の感じが現れていて、自由気ままに楽しい作品の印象があります。
最後の方でまた全員で、クラシックバレエのグランプリエとルルベ交互に何度も何度も繰り返していたところも面白く、ヘンテコな感じで思わず笑ってしまいました。そしてそのまま突然、照明が消えて、終わりました。
カーテンコールにはマーク・モリス本人も出てきて客席は盛り上がりました。
(2012年3月1日 BAM)

ny1204a05.jpg Photo/Julieta Cervantes ny1204a06.jpg Photo/Julieta Cervantes ny1204a07.jpg Photo/Julieta Cervantes