ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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みなさまお元気ですか。本年もよろしくお願いします。
これからも、ニューヨークで話題になっている現代的なダンス公演も織り交ぜながら、レポートをしていきたいと思います。
今年はみなさまにとって良き1年になりますように、お祈りいたします。

パートとゴメスが踊ったラトマンスキーの『くるみ割り人形』

American Ballet Theater アメリカン・バレエ・シアター
Alexei Ratmansky “Nutcracker” アレクセイ・ラトマンスキー振付『くるみ割り人形』

12月14日から31日まで、BAMでABTの『くるみ割り人形』の公演がありました。振付はアレクセイ・ラトマンスキー、音楽はチャイコフスキーです。
BAMの舞台と客席は近いため、いつものメトロポリタン・オペラ・ハウスでの公演よりも、ダンサーたちを至近距離で見ることができました。
初日の12月14日に行きましたが、ゴージャスに着飾った人々が多く劇場に詰めかけていました。

ny1201a01.jpg Photo: Gene Schiavone

クララ(大人)はヴェロニカ・パート、くるみ割り人形・王子(大人)はマルセロ・ゴメスです。クララ(少女)はミカエラ・ケリー、くるみ割り人形(少年)はセオドレ・エリマンです。
第1幕はパーティの裏舞台である台所のシーンから始まりました。開演前から幕は開いていて、舞台上にはお屋敷などの風景が描かれた紗幕がかかっていました。そのお屋敷の2階右端の窓に明かりが灯ると、音楽が流れ始めました。
紗幕が上がると、舞台いっぱいの大きさの台所のセットが現れました。これはとても可愛らしいセットで、料理人たちが料理中でした。ねずみ役の子供がでてきて台所の大きなテーブルの上にあるチーズをつかんで逃げ回っていました。そこに両親がクララをはじめ子供2人を連れて台所に様子を観に来ました。子供2人とも料理をつまみ食いして怒られました。
みんながいなくなって暗くなると、台所にはたくさんのねずみたちが出てきて、あたりの食べ物を食べていました。そこにドロッセルマイヤーがくるみ割り人形を連れて現れました。
場面が変わりパーティ会場です。舞台上には大きめのツリーがあり、大勢の大人たちに連れられて子供たち来ています。黒いシルクハットとマントを着た怪しい格好のドロッセルマイヤーが入ってくると、みんな怖がりました。マントを脱ぐと正体が分かり、ほっとします。
ドロッセルマイヤーが大きな箱を開けると、1つ目は白黒の衣装で仮面をつけた男女の人形が入っていて、道化の踊りをしました。とてもかわいらしい踊りでした。
2つ目の箱は、水色とオレンジの色の衣装と仮面をつけていて、インド風の速いテンポの踊りを踊りました。
クララだけが残っている場面にドロッセルマイヤーが大きなくるみ割り人形を持ってきて動かしますが、フリッツが来て人形にいたずらして、くるみ割り人形は倒れてしまいました。
クララは人形を何度も立てるけれど、倒れ、それを繰り返してあきらめ、仕方なくツリーの下の長椅子の上に人形を置いて、寝かせました。

パーティが終わりみんなが去り、クララがくるみ割り人形を見に来ると、ネズミが人形をさらっていってしまいました。
夜中12時に時計の鐘が鳴ると、くるみ割り人形は人間の男の子の大きさに大きくなりました。
小ネズミは怖がって逃げていって、大きなネズミがたくさん出てきて、くるみ割り人形とクララを襲いはじめ、戦いになってきました。すると周りの舞台セットも大きくなり、イスも大きくなって舞台からはみでるようないっぱいの大きさになり、その上にクララが座って避難していました。その下にネズミたちがいました。
そして、おもちゃの兵隊たちがたくさん出てきて、大砲を発射したりしていました。頭が背中にも5つついている巨大なネズミの王も出てきて、大勢と戦いました。戦いは続き、とうとうネズミ王はくるみ割り人形に倒されて、みんな逃げていきました。
気を失って倒れているくるみ割り人形のところにクララが来て、目覚めると、彼は人間の男の子の姿になっていました。
そのシーンでは、舞台前方でクララと少年のくるみ割り人形がダンスを踊っていて、舞台後方では、大人の姿のクララとくるみ割り人形が現れて、パ・ド・ドゥを踊りました。
そして雪の場面。クララとくるみ割り人形)がいて、雪が降り続けています。有名な雪の精の踊りは、群舞が美しく衣装も優雅でした。
ドロッセルマイヤーが、雪で出来たような繊細なデザインのソリを持ってでてきて、周りには雪の精たちが踊っている中、美しいソリにクララとくるみ割り人形の2人も乗せて去りました。雪の精たちは、全員が寝転び仰向けに倒れ、第1幕が終わりました。

第2幕はお菓子の国です。お花のような少女たちがたくさんでてきて、クララとくるみ割り人形に挨拶し、少し踊りました。そして次々に他の人々も彼らに挨拶しに来ました。いろいろな国のお菓子たちが、彼らにおなじみの有名な踊りを披露します。
チョコレート(男女のダンサー7名、スペインの踊り、ボレロ)、コーヒー(男女のダンサー5名、アラビアの踊り、コモード)、お茶(男女2名ダンサー、中国の踊り)、トレパック(男性ダンサー3名、ロシアの踊り)、葦笛(女性ダンサー5名、加治屋百合子も出演)、マザージンジャーと道化たち(子供たち8人と大人)大人男性が女装してテントのような巨大なスカートをはいて、中に子供たちを入れてでてきて、客席は楽しそうでした。

ny1201a02.jpg Photo: Gene Schiavone ny1201a03.jpg Photo: Gene Schiavone

花のワルツは16名の女性ダンサーたちの群舞でした。ミツバチ(男性ダンサーたち)も4匹、でてきて踊りました。
クライマックスは金平糖の精と王子のグラン・パ・ド・ドゥです。ヴェロニカ・パートとマルセロ・ゴメスが舞台の後方のドアから出てきて、前方に座っていた子供2人と入れ替わっていき、子供2人はそのドアに入って消えていきました。
振付は、ゴメスの大ジャンプも多く、迫力がありました。近くの舞台で見たせいもあるでしょう。ゴメスは太ももなど足の筋肉が隆々と発達していてまるでヘラクレスか何かのようで、とても見栄えするダンサーです。パートは、とても優雅で丁寧な踊りでした。2人ともジャンプやピルエットなどの見事な回転を披露しました。
全員がで踊るフィナーレでは、パートにブーケがかけられて、ゴメスとの結婚が祝われました。

みんなが消えると、クララがベッドで寝ています。ベッドの両脇に、くるみ割り人形の王子(子供、大人)が立っていて、クララが目を覚まして2人を見つけますが、2人に順番に走り寄ると、彼らは消えてしまいました。
クララは泣きながら、ベッドの上にくるみ割り人形(小さなもともとの大きさの人形)を見つけました。舞台後方の窓の向こうからは、ドロッセルマイヤーがこっそりと見守っていました。
(2011年12月14日 BAM Howard Gilman Opera House)