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インタビュアー:ブルーシャ西村 
[2011.09.12]

タップダンスを始めるとみんな表情が明るくなります!----トニー・ワーグ

アメリカン・タップ・ダンス・ファンデーションのディレクター
トニー・ワーグ=インタビュー
ny1109b01.jpg photo/ Lois Greenfield

----以前からタップシティを取材させていただいています。

トニー(T):
ありがとう。日本のメディアが取材してくれていることは前から知っていましたが、チャコットのweb magazinenでしたか。

----ええ、いつかATDFのディレクターのトニーさんにインタビューをしたかったのです。
とても素晴らしいオーガニゼーションだと思います。
あなたはタップダンスをいつ始めましたか。


T:1976年、私が通っていたコロラド州立大学に、ニューヨークからザ・コパセティックスのブレンダ・バッファリーノ、チャールズ“クッキー”クック、バッバ・ゲインズが来ました。友人に誘われて、その公演を軽い気持ちで観に行ったら、とても感動したのです。そして同じ夏にコロラドのデンバーで、バブリング・ブラウン・シュガーのツアー中だったチャールズ“ハニー”コールズも追いかけて会いました。ハニーは70年代にザ・コパセティックスのリーダーでした。ブレンダは彼と20年間も一緒に活動しました。だからブレンダは、ザ・コパセティックスと私の世代との橋渡しをしました。初めて彼らのタップを観て感動のあまり、私もタップダンスをやりたくなって、しばらくして大学も何もかもすべてやめてニューヨークに行ったのがきっかけです。それまで私は美術学部で彫刻を専攻していたのですが、タップダンスに転向してしまいました。

----彫刻からタップダンスに転向したのですか。

T:はい。タップダンスとの出会いは私の人生を180度変えてしまいました。私にとってタップダンスはそれほど素晴らしかったのです。
私は自分のことを信じているのです。自分がやることに疑問が全く無いのです。自分を信用していますから。

ny1109b02.jpg photo/ Lois Greenfield

----あなたは強い力を持っているのですね!

T:はい、強い力を持っているかもしれませんね・・・
それから何年かして1981年に改めてニューヨークに引っ越しました。到着後1日目に、私がマンハッタンを歩いていたら、なんとブレンダ・バッファリーノに歩道で再会したのです! すごいでしょう? 私はデジャブのように、「マンハッタンの歩道でブレンダに会いそうな気がするな」となんとなく思っていて、1日目にしてそのとおりにブレンダに会ったので、運命を感じました。
「ブレンダですね? 私のことを覚えていますか?」と私が聞くと、「ええ、覚えていますよ!」と彼女は言ったのです。76年にコロラド州立大学に公演に来て、その時に私と話したことを覚えていてくれたのですよ。それから私はニューヨークで、ブレンダのタップのクラスを出来る限り全部受け続けました。ブレンダは私のタップの師匠であり、メンターでもあります。素晴らしい人です。
それからブレンダたちとともに、86年に現在のATDFのもとになる団体を立ち上げて活動し始めました。アメリカン・タップ・ダンス・オーケストラです。86年から99年までオーケストラは、数々のコンサート、ステージ、映画などでパフォーマンスをしました。私はファンドレージングのやり方も分からないし経験が無いのに、この組織の運営を任されました。その後、2002年に新しいタップ世代とともに、私の芸術監督とリーダーシップのもとに、オーケストラは名前をATDFと改めて、今年、25周年をむかえました。

----おめでとうございます。タップダンスはアメリカの文化ですね。

T:その通りです。

----日本でもタップダンスを学ぶ人々は増えてきていますが、大人になってからやり始めるのは難しいのではないかと先入観を持っている人も多いようです。本来は、大人でも初心者でももっと気軽に楽しめるのがタップだと思います。全くのダンス未経験者で大人になって初めてタップダンスに挑戦することは、難しいでしょうか。

T:それは何事も同じで、人によります。とても個人的なことです。ある人にとってはタップダンスはすぐ出来て簡単なことだけど、別の人にとってはなかなか習得するのが難しい。
私は、人間は年を取れば取るほど、新しい物事をやることは難しいと思います。若ければ若いほど人間はオープンだし、エネルギーに満ちているし、ポジティブだし、身体も適応しやすいと思います。ただし、タップダンスは他のダンスと比べると肉体的に負担が少ないので、大人でも学びやすいです。タップダンスは身体の力を抜いてリラックスして踊るからです。でも、タップダンスを学び始めると、同時に音楽も学ばなければなりません。
タップダンスは音楽とサウンドとヴィジュアルです。だから音楽の勉強も不可欠なので、他のダンスよりも複雑で難しい面もあります。タップダンスはオープンですから、いろいろなスタイルがあり、様々な歴史に平行してきています。アメリカの経験、人類の経験、人種のこと、性別のことなど、同時に様々な平面の歴史を抱えてきましたから。伝統的にタップダンスは長い間、男性だけがやるものだとされてきたのです。

----そうですか。男性だけがやるものだったのですか。

T:そうです。タップは男性がやるものだったのです。だから女性タップダンサーのブレンダのような人は戦ってきたのです。その当時は女性タップダンサーが珍しかったので、戦わなければなりませんでした。とても面白いことに、タップダンスはアメリカの市民権運動とも平行して発展してきているのです。だからとてもオープンなのです。すべての人々にオープンで、ありとあらゆる人がタップダンスをしています。

ny1109b03.jpg photo/ Lois Greenfield

----タップダンスの良さは何ですか?

T:“Fun”(楽しい)! 楽しい以外、何も要らないくらいですよ。楽しいということは、とても素晴らしいことなのです。楽しいということは、健康的ですし、人々を成長させてくれるのです。あるときは他の人々と一緒にタップダンスをして、そこであなたは何か別の新しいものを学んで吸収するはずです。とてもオーガニックだし、ポジティブだし、チャレンジングでもあります。チャレンジングであることは、とても良いことです。特に若者にとってはタップダンスをすることはとても良いです。自信がなかった人が自信をつけます。特に若い女の子にとってとても良いです。例えば、内気で猫背で姿勢が悪かった女の子が、タップダンスをすることによってだんだん自信がついてきて姿勢が良くなり、表情もパ〜っと明るく変わっていきます。そんな女の子たちをたくさん見てきました。

----内気で猫背だった女の子が、姿勢が良くなって明るく変わっていくなんて!毎年そういう人たちを見ますか。

T:はい、毎年見ますよ! みんな明るく変わります。若者だけでなくて、大人だって全員が明るく変わります!

----タップをやり始めた人がみんなですか。

T:はい、全員が明るく変わっていきます。タップダンスはほとんど一種の宗教のようなものです。ポジティブだし、人々がタップのお陰で集まって共感するし、肉体的にも体調が良くなるし、ヨガのように身体に気持ちが良いし、気分も良くなるし、健康的なのです。
タップダンスは習得するのに何年もかかりますが、“やらなければならない”必要はなく、ただ単に日常的に楽しむ目的だけでタップダンスをすることもできます。

----ATDFでは毎年、夏季集中講座もなさっていますが、日本からも生徒はきますか。

T:はい、日本からも来ます。夏の集中講座だけではなくて、1年を通じて9月から6月まで常にタップダンス・レッスンも開講しています。ですから、日本からいつ来ても受講していただけます。(7月はタップシティのフェスティバルで8月は夏休み)ウェブサイトに詳しいスケジュールなど情報を載せています。

www.atdf.org
American Tap Dance Center
154 Christopher Street #2B
New York, NY 10014