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針山 愛美 text by Emi Hariyama 
[2011.08.10]

ゲルギエフ指揮によるロパートキナの『アンナ・カレーニナ』を堪能

Marinsky Ballet マリインスキー・バレエ団
Alexei Ratmansky "Anna Karenina" アレクセイ・ラトマンスキー振付『アンナ・カレーニナ』

夏には、日本ばかりでなく世界各地で有名なバレエ団やダンス・カンパニーが客演公演を行っています。
私が本拠地としているベルリンはニューヨークからアルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターがやってきていますし、ニューヨークにはマリインスキー・バレエ団がサマー・フェスティバルで『アンナ・カレーニナ』『イワンと仔馬』『カルメン組曲』『シンフォニー・イン・C』を上演。そして日本ではABTがガラ・コンサートとグランド・バレエを上演しました。
ベルリンからニューヨークに飛んでマリインスキー・バレエ団の作品を観ましたので、その模様をお伝えします。

ny1108c01.jpg エカテリーナ・コンダウローワ
Photo:Natasha Razina

毎年、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)のメトロポリタン・オペラハウスのシーズン終了後、サマーフェスティバルとして世界から著名なバレエ団やオペラ劇団などが訪れています。今年訪れたマリインスキー・バレエ団の公演を、7月13日から15日にかけて連日観に行きました。
7月13日、14日は『アンナ・カレーニナ』。
『アンナ・カレーニナ』は、ボリショイ・バレエ団の名花、マヤ・プリセツカヤのために創られた作品で、音楽はプリセツカヤの夫であるロデオン・シチェドリン。1972年6月10日、ボリショイ劇場で初演されました。
今回の舞台は、アレクセイ・ラトマンスキーの振付です。昨年、サンクトペテルブルクで開催された第10回マリインスキー国際バレエフェスティバルでも上演されています。
13日の公演はウリヤーナ・ロパートキナが大人のカレーニナを演じてくれました。13、14両日はマリインスキー劇場の芸術監督で総裁でもある世界的指揮者、ワレリー・ゲルギエフが指揮しました。メトロポリタン・オペラハウスで、ゲルギエフ指揮によるマリンスキー劇場のバレエ公演と、本当に贅沢なひと時でした。
14日の公演は2回目の鑑賞でしたので、ストーリー展開がよくわかり、13日には気がつかなかった主役以外の群舞のいろいろな振付にも目が行き、とても興味深く観ることができました。
ラトマンスキーは近年、ABTのレジデンシャル・コレオグラファーになり、新作も発表してアメリカでも人気が出ています。
今回の『アンナ・カレーニナ』は、オペラの演出でも最近良く見かける映像をセット代わりに使って、効果的に場面転換を行っていました。以前でしたら、舞台転換のため、一時音楽も止まり、場が途切れることもありましたが、この作品では最初から最後まで次々と場面が一瞬で変わり、非常に劇的効果が高かったと思います。しかし、やはり豪華なセットや舞台装置もバレエの楽しみのひとつでもあるので、少し物足りない感もありました。ベルリンなどモダンで何でも受け入れる都市では良く見ますが、クラシック・バレエが基調のロシアのバレエ団では大胆な試みなのではないかと思います。
全体的に振付はネオクラシック、速い動きやオフバランスなどで見せ、個性的な感覚を感じさせる舞台に仕上がっていました。このバレエで最も有名なラストシーンの汽車の場面は、ライトを効果的に使いとても迫力がありました。
ロパートキナとエカテリーナ・コンダウローワが二人のカレーニナを異なった演技、踊りで、それぞれ素晴らしい舞台を演じてくれました。
(2011年7月13日、14日 メトロポリタン・オペラハウス)

ny1108c02.jpg アンドレイ・エマコフ、コンダウローワ
Photo:Natasha Razina
ny1108c03.jpg ウリヤーナ・ロパートキナ
Photo:Natasha Razina
ny1108c04.jpg ディアナ・ヴィシニョーワ(赤いドレス)
Photo:Natasha Razina
ny1108c05.jpg ヴィシニョーワ、ユーリ・スメカロフ
Photo:Natasha Razina

振付/アレクセイ・ラトマンスキー
音楽/ロデオン・シチェドリン
*13日キャスト
アンナ・カレーニナ/ウリヤーナ・ロパートキナ
ウロンスキー/ユーリ・スメカロフ
*14日キャスト
アンナ・カレーニナ/エカテリーナ・コンダウローワ
ウロンスキー/アンドレイ・エマコフ