ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様お元気ですか。東日本大震災と福島原発事故の被災地の皆様が、だんだん元気を取り戻して回復していかれますようにお祈りしています。、日本中、世界中の人々が被災地のためにお祈りし続けていることと思います。 ニューヨークはまだ肌寒いです。だんだん昼間は少し暖かくなってきましたが、まだ夜は冷え込むことが多いです。これから、ニューヨークではダンス公演の活発な季節になります。ニューヨークにも桜があり、満開です。

ニュ−ヨークを拠点とするダンス・ブラジル、迫力満点のカポエイラ

Dance Brazil ダンス・ブラジル
Jelon Vieira "A Jornada" "Memórias" "Batuke"
ジェロン・ヴィエイラ振付『ア・ジョルナーダ』『メモリアス』『バトゥーケ』
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4月12日から24日まで、ジョイスシアターにて、ダンス・ブラジルの公演がありました。私が観劇したのは、4月16日夜の公演です。3つの作品の小品集です。このカンパニーはブラジル色が強く、本格的なカポエイラを披露するせいか、地元ニューヨークでも大人気で、座席は満員に近かったです。
このカンパニーは、ダンサーとカポエイリスタの両方で構成されています。ですから公演中に、他のカンパニーでは観ることのできないような、本格的な迫真に迫るカポエイラの技を観劇することができます。カポエイラの音楽の生演奏も同時に味わうことができます。

ダンス・ブラジルは、以前何度かレポートしたことがあります。1977年創立の歴史が長いダンス・カンパニーで、ニューヨークがベースです。創立者、芸術監督、振付はジェロン・ヴィエイラです。アルヴィン・エイリーが1980年に監督としてダンス・ブラジルに参加しています。
ジェロン・ヴィエイラは、30年以上前に、伝統的なアフロ・ブラジリアン・ダンスとカポエイラをアメリカに持ち込んだ、最初のアーティストです。その後、彼は毎年ブラジルでも数ヶ月間を過ごし、ブラジルとアメリカの両方で、あらゆる年齢層の人々に、カポエイラを教えてきました。
彼の長くかかる最終的な目標の一つは、特権階級の支配下にある子供たちのためにカポエイラのセンターを作ることだそうです。それは、カポエイラを通じて自尊心と自己鍛錬を作り上げ、それらの子供たちをストリートから抜け出させて教育システムと社会のメインストリームへと送り込むためです。ブラジルに多くいると言われているストリート・チルドレンの問題を少しずつ良い方向へ向かわせるために、カポエイラの教育を通じて貢献したいという彼の心の姿勢は、素晴らしいと思います。感動的ですね。応援したいですし、今後の彼の活動も見守りたいです。

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今回の公演の一つ目の作品は、『ア・ジョルナーダ』(2001年初演)です。5人のミュージシャンによる生演奏にあわせて多くのダンサーたちが踊りました。振付はジェロン・ヴィエイラです。ミュージシャンは舞台の下、客席との間の左側で、薄暗いところで演奏していました。打楽器が豊富な編成で、ブラジル独特なアタバキ、ビリンバウ、パンデーロも使っていました。
振付の大半に、カポエイラの本格的な技が入っていて、とても見ごたえがある迫力があるものでした。
最初は、上半身が裸で短パンをはいた男性6名が後ろを向いて床に座っていて、暗い照明で始まりました。次第に男女3名ずつなどが出てきて、重心を低くして時々床に手をついたり、上下に動いて、カポエイラの動きをしました。音楽も激しくなってきました。
男女8名が2列になって、床に手をつきながら回し蹴りのような動きを繰り返し、カポエイラの技を続けていました。女性を男性がリフトしたまま去っていきました。
そして女性4名男性1名がでてきて5名で、重心を低く床で転げまわってカポエイラの用に踊り、激しく動きながら回っていました。女性が立ち上がり、肩を動かして回して、真っ暗に照明が消えました。

激しいサンバのリズムになって、男性6名がダンスバトルをし始めました。カポエイラの技が中心です。バック宙が横向きになったもので回転してキックしたり、足を宙に飛び上げて蹴ったりしていました。
男性2名がその場に残って、そこに女性2名が出てきて加わり、女性はお尻を激しく左右に振り続けていました。
男性6名が、上に飛び上がったり、腰をゆっくり動かしたりしながら、去っていきました。女性4名がお尻を振りながら出てきて、またゆっくり足を動かしていました。

一番盛り上がったのは、2名の男性カポエイリスタが交互にやったダンスバトルです。最初はソロででてきて、次にもう一人男性がでてきて、2人で激しく飛び上がり、カポエイラの技で床に手をついきながら、2人で回し蹴りのような動きを激しく速くし続けていて、大迫力でした。もう一人出てきて、3人でやっていました。彼らはすぐにものすごい汗が飛び散っていました。
一人、3点倒立を横向きで倒れたままやって、体を横に倒したまま足をつけないでいました。
やがてみんなが出てきて、音楽がとまって、ぱっと照明が消えました。4人は寝転んでまた立ち上がり、彼らを他の8名のダンサー達が見ていました。4人は2組でカポエイラをやって回し蹴りのような激しい動きをしました。
みんな消えて、男女がまた踊った後、おもむろに女性3名、男性3名がさらに出てきて踊りました。賛成1人が輪になって、また一人ずつダンスバトルを疲労しました。カポエイラは逆立ちしたまま蹴るような動作が多いせいか、逆立ちの技がすごかったです。逆立ちしたまま上で足を、上下、左右に入れ替え続けて、動かし続けていました。2組がでてきて、すごく早いリズムでお互いに手を床につきながらまわし蹴りバトルをしました。
これはとても迫力のあるカポエイラのダンスで、客席が盛り上がりました。このカンパニーの定番なのでしょうね。

2つ目の作品は『メモリアス』(2010年初演)です。これは生演奏ではなくて録音でした。
こちらは、だんだん激しくなっていったダンスでしたが、カポエイラっぽくない、コンテンポラリー・ダンスでした。音楽はエレクトリックのリズムもはいっているものです。ゆっくりしたリズムの音楽です。やはり重心を低くしていて、寝転がったり、そのまま転がったり、足を上に上げたり、飛び上がったりしていました。

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3つ目の作品は『バトゥーケ』で、今回がニューヨーク初演です。ミュージシャンは3名です。
最初、太鼓の音だけで、女性2名がでてきて、もう一人加わって女性3名で、ゆっくり動きました。そこにもう一人の女性が出てきて、床に座り込んでいました。上半身と腕だけを動かしていました。
やがて、4人で、お尻を動かしてゆすりながら周って踊りました。少しアフリカっぽい踊りです。これが伝統的なアフロ・ブラジリアン・ダンスなのでしょう。土着的なイメージの踊りです。リズムは、リアル・アフリカ(6拍子)でした。
次に男性がズボンに腰みののようなものをつけて上半身は裸ででてきて、両手に40cmくらいの長さで直径4cmくらい棒を持っていました。
だんだん動きが激しくなり、その両手の棒を使って、少しカポエイラ風に格闘技をやっているように見えました。2つの棒をお互いにたたきながら踊っりしていました。

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男性のダンスバトルもさきほどのようにありましたが、女性のバトルもありました。1人ずつ出てきて激しく踊りました。2回蹴って、ピケを出して。そのまま後ろに飛び蹴りをするようにグランバットマンをしながら腰を横に振っていました。これをしばらくやりました。
だんだん、また激しいサンバのリズムになり、続きました。
再び、男性2名のカポエイリスタがでてきて、急に音が静かになり、ビリンバウの音だけになり、カポエイラのバトルをし始めました。3名に増えて、バック宙なども入れて、カポエイラを長く披露しました。
女性も加わり、遠心力を使って回したり、リフトもありました。だんだん、男女のダンサーたちの人数が少しずつ加えられて増えていき、沈むも激しくなってきて、踊りました。ラテン風のリズムになっていきました。
サンバの激しいリズムになり、男女8名の4組で踊り、最後は、みんな女性を男性の左足と腰の間にリフトして乗せて、引き寄せて終わりました。
音楽も本格的で素晴らしく、ダンスは普通のダンサーにはできないようなカポエイラの技が織り交ぜられていて見ごたえがあり、とても満足のいく公演でした。
(2011年4月16日 ジョイスシアター)

撮影:Eileen Travell
※それぞれの詳細・撮影クレジットは、画像をクリックし拡大写真にてご覧ください。