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皆様こんにちは。ニューヨークは暖かくなったり寒くなったりしています。まだ過ごしやすい季節です。これからクリスマスシーズンには、毎年恒例の『くるみ割り人形』のバレエ公演がニューヨークのあちこちで上演されます。今年はABT(アメリカン・バレエ・シアター)も『くるみ割り人形』の公演をBAMで行うので、その情報も掲載します。

宇宙に響く幻想的で荘厳な舞台、山海塾ニューヨーク公演

Sankaijyuku 山海塾
AMAGATSU Ushio As If An Inexhaustible Flux 天児牛大『降りくるののなかでーとばり』
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山海塾は、10月5日から11月14日まで1ヶ月以上の全米ツアーを行いました。10月4日から17日まで、ニューヨークのジョイスシアターで『降りくるもののなかでーとばり』の公演がありました。ニューヨークを始め、アメリカでも山海塾は大人気です。ジョイスシアターでも異例の2週間公演で満席でした。私は10月8日夜の公演を見ました。
山海塾は1975年に天児牛大によって創設された舞踏カンパニーで、コンテンポラリー・ダンスの分野で世界的に評価が高いです。1982年からパリ市立劇場を本拠地として共同プロデュースで、2年に1作のペースで新作を発表し続けています。
『降りくるもののなかでーとばり』は、演出・振付・デザインすべてが天児牛大による作品です。初演は2008年5月パリ市立劇場です。音楽は、加古隆、YAS-KAZ、吉川洋一郎です。ダンサーは8名の男性で、天児牛大も出演し、ソロで踊るところもありました。

とても幻想的で荘厳な舞台でした。衣装も照明も美しかったです。衣装は長いスソのスカートのようなものでした。全身白塗りで坊主頭、半裸の男性ダンサーたちは、年齢不詳で胎児のようにも老人のようにも見えるし、性別も不詳で、人間のようにも幽霊のようにも見えます。その抽象的さも彼らの魅力の一つだと思います。観ていると想像が広がるからです。

舞台中央に大きな黒い楕円形の板が置いてありました。それを中心にして、その周りや上でダンサーたちが動いていました。舞台全体は暗くてシンプルでした。途中、無数の星が光って、宇宙を思わせました。音楽は全体的に静かなインストゥルメンタルで、時々不協和音が続くおどろおどろしいものもありました。

ダンサーたちはほぼ無表情でもくもくと動いていて、立ち上がり、上を見上げて何かをつかむような動きを繰り返したりしていて、広大な宇宙の中の小さな存在を表現しているようでした。途中、ソロで踊る一人を周りで数名が囲んでいるところもありました。宙をつかんで、両手を動かしながら回り続けていました。
中央の楕円形の板が星空のように無数の豆電球がついて、その奥で一人が立って動き、もう一人が出てきて、空を見上げたり、動いていました。リズムが無い動きです。
4人がでてきて遠くを見つめたまま、右手を上に上げて人差し指で宙を指しながら動いていました。ゆっくりになったり早くなったり、強弱のメリハリのある動きが続きました。
4名が動いているところに天児がでてきて長いソロを踊り、目を見開いて口を大きく開け、叫ぶような顔を何度か続けたところは迫力がありました。苦しみ、恐怖、悲しみを表現しているようでした。パタッと座り込み、上を見上げて、広大な宇宙に対して悲しみの顔で見つめているようでした。
そこに7名がでてきて、3名が動いているときに、残りの4名が寝転がって、身体のお尻の部分だけを床につけて他の部分(両手、両肩、両足、頭)を床から浮かせたまま長い間じっとしていました。これはとても大変な体勢なのに長い間じっとそのまま浮かせたままでいて、手だけを動かして表現していました。なかなかできない体勢です。彼らはとても鍛えられた肉体のダンサーなのだなと思いました。

やがて周りの3名とともに床の4名も少しずつ立ち上がり、7名ともみんな後ろを向いて両手を挙げて、上を向いて宙を見つめてゆっくり歩いていき、そのまま止まって電気がさっと消えました。
とても感動的でした。美しい舞台でした。客席は多くが立ち上がって拍手を送りました。
(2010年10月8日 ジョイスシアター)

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写真提供/山海塾
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