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拍手喝采!ニューヨーク・シティー・バレエの『くるみ割り人形』

 リンカーン・センターのニューヨーク・ステート・シアターにて、ニューヨーク・シティ・バレエの『くるみ割り人形』の公演が行われました。毎年恒例で、ニューヨークの冬の風物詩になっていて、大勢の人々がとても楽しみにしている公演です。小さなお子様でもご両親と一緒に観劇できるように配慮されていて、開演時間が6時からの日も用意されています。
 私が鑑賞したのは、初日の公演です。劇場はクリスマスムードでいっぱいでした。
 この公演の季節になると、年の瀬が来たな、と1年のまとめの気分になります。内容は毎年ほとんど同じなのですが、その年ごとに、少しずつ演出が変えられています。

 ニューヨーク・シティ・バレエの『くるみ割り人形』は、主人公のマリーとフリッツを、小さな子供が演じます。マリーはマリア・ゴロコフ、フリッツはジェレミー・ウォングです。2人はバレエの訓練は積んでいますが、小さいのでほとんど踊りらしい踊りはなく、演技が中心です。ドロッセルマイヤーは、ロバート・ラ・フォス、くるみ割り人形はジョシュア・シュトカインドです。
 チャイコフスキーの音楽はもちろんオーケストラで生演奏なので、とても幻想的で夢心地の舞台で、絵本のおとぎ話の別世界に入り込んだような感覚になります。

 第一幕は、クリスマスの夜、シュタールバウム家の大広間で、大勢の家族のゲストが招待されてパーティが行われているシーンから始まります。パーティでマリーはドロッセルマイヤーからくるみ割り人形をプレゼントされました。
 パーティーが終わって、マリーは、こっそり起きてきてベッドに寝ているくるみ割り人形を見に来ました。しばらくしてクリスマスツリーが点滅しはじめ、どんどん大きくなり、天井に届くほどの高さになりました。すると、おもちゃ箱から兵隊たちが出てきます。ネズミの大群も出てきて、兵隊たちとねずみたちが戦いになりました。最後はネズミの王様とくるみ割り人形の一騎打ちの戦いに。ネズミの王様は、体も大きく王冠をつけた七つの頭をもっていて、赤に金の縁取りのたすきをかけていました。くるみ割り人形がネズミの王様を倒して王冠を奪い、ベッドに寝ているマリーのほうに向かいました。
 すると、大きなクリスマスツリーは上にあがって消えてゆき、同時に雪が積もった木が下りてきて背景の幕も上がり、マリーの寝ているベッドが後ろにすべっていき真ん中でくるくると回転して止まると、もうその舞台は、すっかり雪景色の森の中になっていました。端からくるみ割り人形がでてきて、手にネズミの王様の王冠を掲げて、マリーに雪の中で、その王冠をプレゼントしました。

 そして第一幕の終わりのシーン、雪の精の踊りです。ニューヨーク・シティ・バレエの『くるみ割り人形』では、雪の精は、両手に、先に白い大きめのボンボンがいくつかついた扇子状のものを持って踊ります。最初にまず一人が出てきて去り、また別の雪の精が出てきて、そして4人で踊り始めました。両手を羽のように広げて、舞い上がるような軽やかな踊りです。また別の4人が踊り、次の4人も踊り、その次は8人が踊り、消えて、また別の8人が踊りました。
 そして最後は全員で16名で、この時は両手に白いボンボンを持って踊りました。全員で左右にグランバットマンを4回、パッセ、アラベスクでジャンプ、という振付のセットをくり返し、どんどん激しい吹雪になってきました。雪の精が対角線上に並び、そこにマリーと王子になったくるみ割り人形が出てきて、2人で手をつないで、雪の精が消えて、2人は後ろに歩いていき、幕が閉じました。この雪の精のところは、とても美しくて感動的なシーンで、観客も大声でブラボーと叫んで、大拍手でした。

 第二幕は、お菓子の国です。マリーは王子に連れられて、お菓子の国に到着しました。こんぺい糖の精はサラ・メアーンズです。
 最初にエンジェルたちがたくさんでてきて、とても可愛かったです。そしてこんぺい糖の精のソロ、チョコレート(スペインの踊り)、コーヒー(アラビアの踊り)、お茶(中国の踊り)と続きました。
 中でも一番客席の目が釘付けになったのは、コーヒー(アラビアの踊り)です。テレサ・レイチレンがソロで踊りました。両手に小さな楽器を持って、チン、チンと鳴らしながら踊っていました。アラビア風の赤いセクシーな衣装もステキでしたが、テレサ・レイチレンの美しいことといったら圧倒的で、絶世の美しさでした。両手両足が長くてカッコよかったです。ゆっくりと開脚して足を床で滑らせながら下に沈んでいって、180度開脚したり、開脚したまま後ろ足をヒザ下から曲げて立てたりしていました。この踊りのシーンは特に大きな拍手でした。

 キャンディーの踊りは、子供8人と大人1人で、道化のような男性がフラフープで18回跳びを連続でして、拍手喝采を浴びていました。マジパン・羊飼いの踊りは、女性が5人出てきて踊りました。衣装はチュチュのスカートの先にお花がたくさん付いた可愛いらしいものでした。
 ジンジャー母さんと子供たちでは、巨大なスカートの乗り物状の衣装を付けたジンジャー母さんがでてきて、スカートの中から8人の子供たちが出てきました。そして花の精たちがたくさんでてきて、花のワルツを踊りました。ピンク色のシフォンの3段スカートで、花の髪飾りをつけていました。揃っていてとてもきれいでした。

 しめくくりは、こんぺい糖の精と(付き添いの)男性のパ・ド・ドゥでした。男性は、チャールズ・アスケガードです。ここは見所で、大技が繰り広げられます。こんぺい糖の精は、エシャッペ&シェネを繰り返して出てきて、15回転以上ピルエットをして、拍手喝采でした。2人で踊るところは、アラベスクをした女性を男性が後ろで支えて、軸足のつま先を床の上で1m以上横に滑らせるところがとてもきれいでした。アラベスクした女性をリフトしで1周して、白鳥のように女性を下向きにして持ち上げて終わりました。美しかったです!
 フィナーレは全員が出てきてこれも迫力満点の踊りでした。最後は、空中に浮いた2匹のトナカイの大きなソリに乗ったマリーと王子が、上手から下手へ斜めに飛んでいきました。

 すごく大掛かりな舞台セットを使っていて、圧巻でした。毎年この年末年始の季節にニューヨークにお越しの方々には、ぜひ、ご覧いただきたいおすすめの公演です。
(2008年11月28日夜 ニューヨーク・ステート・シアター)