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ボードを様々に駆使したダンス、カンパニー111 & セーヌ・ドゥ・ラ・テール

 11月5、7、8日に、BAMのハワード・ジルマン・オペラ・ハウスにて、カンパニー111 & セーヌ・ドゥ・ラ・テールによる、「ザ・セブン・ボード・オブ・スキル」という作品の公演が行われました。フランスのトゥールーズのカンパニーで、全員、中国系の人たちです。芸術監督は、オーレリアン・ボリーです。パンフレットには、“ニュー・サーカス” とジャンルが書いてあったのですが、パフォーマーたちがたくさん出てきて少し振付もあるので、観に行ってみました。途中休憩なしでノンストップの作品でした。

 これは、とても面白かったです。今まで観たことがないとてもオリジナルなもので、一言ではなんと形容して良いのか分かりません。ダンスではないかもしれませんが、現代の新しいダンス作品とも形容できるかもしれないなと感じました。とにかく、目が釘付けになり、夢中になって鑑賞してしまいました。
 タイトルの通り、7枚の大きな分厚いボードを使います。ボードの厚さは、50cm~1mはあります。形は、三角形、ひし形、四角の大きさの違うものが組み合わせられていました。だいたい、ボードの一辺は人の身長以上の幅があり、大きなものは4~5mくらいありました。組み合わせによって様々な形を作り、動かすたびに違うオブジェのようになりました。
 それを数人ごとに少しずつ動かしながら、横にしたり立てたりして、そこに出来る斜面やすき間を利用して、上に登ったりぶら下がったり、飛び移ったり這い上がったりしていました。色々と、観ているこちらが冷や冷やしてしまうような、危なっかしい動きを続けていました。その点は、訓練を積み上げられて鍛え抜かれていて、中国人らしいなと思いました。パフォーマーたちは、みんな無表情のまま、パントマイムのような感じでサササッと小走りに動いていました。

 中国人たちらしく、一糸乱れぬきちっとした動きと超人技が繰り広げられていますが、フランス在住の方々なせいか中国っぽさはあまり出ていなくて押さえられていて、むしろヨーロッピアンな感じに仕上がっていました。舞台全体のセットや照明、衣装も、ほとんどが黒で統一されていて、スッキリしていてカッコよかったです。モダンな感じです。ボードも、オブジェとしても面白かったです。
 最初は、7枚のボードが横向きに寝かせられて全部すき間無くくっつけられていて、1枚の板のようになっていました。そこに一人の女性が座って中国の弦楽器を静かに弾いていました。その静かな風景のところに、ボードの向こう端の後ろから、パーフォーマーたちがお尻だけを上に上げて、いくつもの山が連なっているような感じになり、一人ずつ、パタン、パタン、と足を舞台に投げ出して上に登ってきました。客席はみんな笑っていました。登場の仕方も面白かったです。

 掲載した写真のシーンは、大きな2等辺三角形で1つが直角のものを隙間を開けて向かい合わせに立てて、その間に出来た隙間を、人が次々に、両手両足をその壁につけて写真のようによじ登っていって、上まで来たら三角形の斜面の部分を歩いて降りていきました。 
 途中、左右に人々が早く歩いて行き来して、カンフーの技をして通り過ぎる人や。太極拳をゆっくりしながら通り過ぎる人、向かい合った2人が戦ったり、回転やジャンプをして通り過ぎていくところもありました。
 組み合わされるボードは、2個や、3個、4個など、様々な数と形でした。
 観てよかったなと思いました。静かな感動があり、新鮮な気持ちになれました。
(2008年11月8日夜 BAM Howard Gilman Opera House)