ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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バレエ・ヒスパニコの迫力あるダンス

 10月7日から19日まで、ジョイスシアターにて、バレエ・ヒスパニコの公演がありました。このカンパニーは、以前にもレポートしたことがあります。ニューヨークが拠点のカンパニーで、スクールも併設していて、ジェニファー・ロペスもこのダンススクール出身です。スクールでは、ラテン・ダンス全般、バレエを学べます。

 この頃は私は体調をひどく崩していたので鑑賞をキャンセルするつもりでいたのですが、大事な公演のレポートをお届けしたかったため、熱がありましたが無理して取材に行きました。ですから意識がもうろうとしながら取材したのですが、なんとか、やっとで最後まで観ることができました。でも、迫力のあるラテン系の明るいダンスを鑑賞後は、生の公演のエネルギーをいただいて、観る前よりも元気になって帰ることができました。

 当日、プログラムの順序に変更がありました。4つの小品集でした。最初は、『ティト・オン・ティンバレス』で、近年永眠したキューバ出身のサルサの大御所、ティト・プエンテの曲にのった作品で、1984年初演のものです。
 舞台下手後ろのほうにバンドがいて、サルサの生演奏をしていました。コンガ、ボンゴ、ティンバレス、キーボード、ベースでした。生演奏なので、音がすごく迫力がありました。女性たちはみんなロングのフレアースカートとヒールの高いダンスシューズで登場しました。振付は、ラテン・ダンス中心でしたがクラシック・バレエ・ベースでしっかりしたものです。男女でリフトも多用されていました。ラテンらしく、腰をクネクネと動かしながら情熱的なダンスが多かったです。だんだんリズムが早くなっていって、ブーガルーというリズムに合わせて、すごいリズム感で速くて激しいダンスが展開されて、迫力満点でした。開脚も多かったです。

 このダンスの直後に、今度は、バンドの台が丸ごと、舞台真ん中に引っ張ってこられて、そこで、ミュージシャンたちだけで1曲、演奏を披露していました。『デスカルガ・パラ・ティト』で、これは、ティト・プエンテに捧げる曲です。上記のミュージシャンたちに、さらにサックスモーボエ、ヴァイオリンも加わって、一人ずつソロも順番に演奏され、バトルのように激しい演奏が続きました。これはダンスはなかったですが、音楽そのものを鑑賞できて、迫力もあって楽しかったです。

 休憩の後、『トレス・バイレス』(スペイン語:3つの踊り)は、今回が初演です。印象にのこった作品です。その名の通り、スペイン語で、ウノ(1)、ドス(2)、トレス(3)という3つの踊りのシーンで構成されていました。
「ウノ」は、最初、女性がソロで、静かな曲に乗ってロングスカートで踊りました。するとしばらくして、舞台前方に置かれていた、岩のかたまりのように見えたものがくずれて、ダンサーたちが6人でてきました。その岩のようなものは、長いショールのようなものを持った6名のダンサーたちが、お互いをそのショールで覆ってくっついて身体を縮めて固まっていて、じーっとしていたのです。これは、最初は舞台セットの岩だと思っていてダンサーだとは気が付かなかったので、中から人がたくさん出てきたときには驚きました。
「ドス」は、また違う曲で、物語風でした。男女ペアが踊っていましたが、女性を男性が床でクルクル回して、冷たくあしらって手を離して男は消えました。そして他にも数人のダンサーたちが登場してきて、リフトもいれて踊りました。リモン・テクニークが振付に多用されていて、コンテンポラリーの要素が強かったです。
「トレス」は、静かな曲になり、物語風で、男女ペアでリフトが多く使われて、ロマンティックな踊りでした。最後は急に速い曲になり、全員がでてきて、大勢で、ミュージカル風の明るいシアターダンスのような踊りをしました。

最後の『リトゥモ・イ・ルイード』(スペイン語:リズム&騒音)は、フィナーレのように、カンパニー全員がでてきて、大人数で踊りました。
最初は、女性ダンサーがソロで、短パンのレオタードを着て、後姿を客席に見せて、とてもスローなリズムでセクシーな踊りをしていました。ゆっくりとセクシーに動くので、難しそうでしたが、とてもカッコいい振付でした。だんだん順番にダンサーたちが大勢出てきて、音楽の8拍目のところで急にパッと全員が止まって、ポーズを決めて、それをしばらくずっといろいろみんなバラバラに続けていました。だんだん、速いリズムの音楽になり、ブラジリアンのリズムの音楽が鳴ったり止んだりしました。音楽が鳴っているときは激しくみんな踊って、音楽が止まるといっせいに踊りを止めていました。照明も激しく変わりました。メリハリがあるダンスでした。これがしばらく続いたのですが、客席には大受けで、みんな次第に大笑いしていました。
途中、男女ペアで、女性が男性の腰に足をかけたままで離れて踊ったり、オリジナリティーがある振付もありました。

速いリズムの音楽と、スローなリズムの音楽が交互に構成されていました。最後は、フィナーレで、順番にダンサーたちが大技を次々に展開し続けて、スゴイ迫力で盛り上がりました。

とてもバラエティーに富んでいて、客席を飽きさせずに盛り上げるような、みんなが楽しめる公演でした。
(2008年10月18日 ジョイスシアター)