ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 皆様、お元気でいらっしゃいますか。
 ニューヨークは涼しくなり、秋の気配です。毎年8月後半から約1ヶ月間は、ジョイスシアターやシティーセンターなど、長期のお休みになります。そのため、今月号は少ないレポートになりますがご覧ください。

ロイヤル・バレエ・オブ・フランダース『インプレッシング・ザ・ツアー』

 こちらは、ニューヨークで毎年7月に長期間にわたって行われる、リンカーンセンター・フェスティバルに招聘されたダンスです。7月17日から21日まで、タイムワーナービルの中にあるローズ・シアターにて上演されました。

 多様な才能を持つウィリアム・フォーサイスが振付けした、ポストモダン・バレエ『インプレッシング・ザ・ツアー』を、ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースが上演しました。
 フォーサイスが1988年に作った作品で、95年にフランクフルト・バレエが上演を止めたのを最後に、その後、上演されていないカルト作品となっています。
 フォーサイスは、1949年、ニューヨーク生まれ、84年にフランクフルト・バレエの芸術監督に就任しました。2004年にフランクフルト・バレエが一旦閉鎖されてしまったのを機に、フォーサイスは自分自身のダンス・カンパニーを創立しました。

 今回上演の芸術監督はキャスリン・べネッツ、多数のダンサーが出演しています。6名のプリンシパル・ダンサーの中に、日本人の斉藤亜紀(ローザンヌ・スカラシップ賞受賞)もいました。
7月19日午後2時の公演を鑑賞しました。残念ながら、その公演には斉藤亜紀は出演していませんでした。

 3幕で構成された、プロットレス・バレエで、物語性はありませんが、少なくとも西洋文明の歴史にかかわっていた表現があります。

 第1幕は、「ポチョムキンの署名」です。ルネッサンスの時代からの芸術とバレエも表現していました。バロック音楽が流れ、ほとんど演劇風でセリフを話す演技が多かったです。舞台上に3つ、4つの、複数シーンが同時進行で重なり、入れ替わっていく、カオスのような構成でした。
古代ギリシャ風の衣装に身を包んだ半裸の男性が大きな弓矢を持って登場したり、誰かは電話でしゃべっていたり、オカッパ頭で紺色のスカートと白いブラウス、ネクタイとハイソックス、革靴の、日本の女子高生のような人が出てきたりしました。最後のほうには、バレエベースの素晴らしいダンスもありました。くり返しが多く、とても早いリズムで展開するダンスです。途中、舞台空中に、大きなブラックチェリーのオブジェ(葉っぱと茎のついた2粒)がでてきて、つり下げられました。

 第2幕は、この作品のメインで、ほぼ全体がダンスです。他の第1幕と3幕は、前菜とデザートにあたるような感じの構成です。ダンスがたくさんでてくるのはこの第2幕だけでした。
女性たちはトウシューズで、すごく早い展開で目まぐるしく場面が変わっていき、カッコいい振付でした。これは、フォーサイスの振付の特色です。ダンサーたちはとてもレベルが高く、圧巻でした。5~6人でそれぞれが微妙に違うバラバラな振付をするところや、ソロ、パ・ド・ドゥもありました。音楽は、リズムが無いようなずっと同じ曲(トム・ウィレムス作曲)が流れていました。
これは、すごく見応えがあり、とてもよかったです。何度も観たいダンスでした。

 第3幕は、再び演劇です。振付はほとんどありませんでした。
 第4幕はカンパニー全員によるフィナーレです。これは、まるでジョークのような、面白くて楽しいダンスでした。男女全員が、茶色のオカッパのカツラをかぶって日本人女子高生のような格好で、ミニの黒プリーツスカート、白いブラウスと黒いリボン、黒革靴、白いハイソックスでした。後ろにはマイクで3人がラップをしたり、少しヒップホップのような振付もありました。すごい速さで全体がグルグルと回ったり、速い展開で、迫力がありました。