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「アーバン・ブッシュ・ウーマン」

 5月8日から13日まで、ジョイスシアターで、アーバン・ブッシュ・ウーマンの公演が行われました。全員黒人女性のダンサーで構成され、女性中心の見方で、アフリカン・コミュニティーのメンバーによって、ダンス界にもっとパワーのバランスを作るために活動しているそうです。ニューヨークのブルックリン・ベースのカンパニーです。1984年に創立しました。

 芸術監督、創始者は、ジェウォール・ウィラ・ジョー・ゾラーです。ミズーリ州のカンザスシティー生まれで、ダンスで修士号も持っている才媛です。受賞も多く、2006年にはニューヨーク・ダンス&パフォーマンス・アワード(A Bessie)も受賞しています。

 ダンサーたちが全員黒人女性ばかりなので、私から観ると、とてもエキゾチックで面白かったです。みんな黒人ダンサー独特のしなやかな筋肉で、お尻が後ろに盛り上がっていて、動きも表情も派手で、見応えがありました。裸足で踊り、アフロヘアーのままの人も多かったです。ダンサーの体型も、結構、太っている人も多かったのでびっくりしました。人種の特徴を前面に押し出していて、すごくカッコよかったです。コンプレックスなどみじんも感じられなくて、みんな自分を受け入れていて自分のよさを生かしていて、とても明るくて、非常に好感度が高かったです。観ていて微笑ましくなりました。素晴らしいコンセプトだと思いました。

 一つ目の作品は、『フラッシュバック・フラッシュフォワード・・・ビー・クール・ベイビー!』で、世界初公演です。音楽はブラックバリバリで、ヒップホップ中心でした。音楽がとてもよかったです。ノリノリの音楽に乗って、9人のダンサーたちが、リモンテクニークも取り入れたコンテンポラリーっぽくもありブラック色の強い振付をしていました。カッコよくて、とても気に入りました。最後は、ダンサーたちが幕間に帰って行って終わっているのに、1名だけがまだ興奮状態でノリノリのまま熱くなっていて、そのまま舞台上に残って余韻を引きずって、音楽もないのにまだ踊っているので、誰かが“ビー・クール・ベイビー!”と彼女の肩をたたいて冷やしに来たところで終わりました。

 『ヒア・ウイ・ゴー、、、アゲイン!?』も、ブラック色の強い、面白い振付でした。
『チキンスープ』は、1981年の有名な作品だそうです。家で家事奴隷かメイドのようになってしまっている女性に対しての、セルフケアーについての問題を提起した作品で、演劇的な要素が強かったです。スライドの画像が映し出され、語りにのって、エプロンをつけた女性ダンサーが、掃除をしたり、お料理をしたりし続けて、疲れ果てている様子などを、パントマイムも交えて表現していました。

 『バティー・ムーブ』は、1995年の作品で、観客を笑いの渦に巻き込んでいました。バティーというのは、お尻のことです。アメリカでは黒人女性にとって、お尻とは一番重要なチャームポイントなのです。日本人女性に考えられないほど、お尻というものは一番大事だそうです。黒人男性たちには、女性はお尻によってモテるかモテないか決まるといっていいくらいです。黒人女性たちにとってお尻は大きいことが一番大事で、大きくて丸くて、後ろに出ていてボリュームよく盛り上がっているほうがいいそうです。このお尻が一番重要という感覚は、日本人にとってはよく分からない世界ですね。日本では女性のお尻は小さい方が可愛らしいとされていて大きなお尻はどちらかというと敬遠されていますが、アメリカは逆で、黒人女性はいかにお尻が大きくて立派であるかが大事なのです。日本人は顔とかスタイルを重視していそうですが、彼女たちは顔やスタイルよりもお尻重視なのです。そういう人種の価値観の違いまでも、ギャグにしてしまって、作品に仕上げているところがとても面白いと思いました。

 女性ダンサーたちは短いスパッツをはいてきて、アカペラで順番にラップしながら、一人ずつお尻をグリングリン回したり、フリフリさせていきました。全員一列に後ろ向きに並んで、お尻を突き出して、前に進んだり後ろに下がったり、お尻を回転させたり振ったり、なんだかすごく開き直っていて、面白かったです。アフリカの原住民の踊りを思い出しました。もちろん、最後の方には、激しいダンスの振付もでてきました。