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ピナ・バウシュの『ネフェス』

 12月8日から16日まで、BAMにて、ピナ・バウシュの『ネフェス』の公演が行われました。タンツテアター・ヴッパタールというダンスカンパニーです。以前から彼女の作品を観てみたかったので、とても楽しみにしていました。

 ピナ・バウシュは1940年、ドイツのゾーリンゲン生まれで、1955年からドイツ、エッセンのフォルクヴァンクスクールでダンスのトレーニングを始めました。ドイツの国費留学生として渡米し、ジュリアードスクールでも学びました。1962年に帰国後、フォルクヴァンクバレエで踊り始め、1968年からバウシュはここで作品全体を通した振付を始め、翌年、芸術監督に就任しました。その後、1973年から、タンツテアター・ヴッパタール芸術監督と振付家に就任しました。

 ダンサーたちは20名で、2人の日本人が出演していました。瀬山アズサ、高木ケンジです。
舞台は、ほとんど平らに近いうすいくぼみがなだらかにつくられていて、全体が黒いシートで覆われていました。なぜだか最初は分からなかったのですが、舞台が進行していくにつれて、だんだんとそのくぼみに水たまりが1つ湧いてきているのに気付き始めました。最初はその水たまりがまるで下から泉のように湧いているように見えて、だんだんみずたまりが大きくなっていくので不思議に思っていました。水たまりの面積が大きくなるにつれて、よーく水面を見ると、天上から、ポタッポタッと1滴ずつ水が落ちてきているのが分かりました。それでだんだん水たまりがいつの間にか大きくなってきていたのです。

 踊りは、全部がソロかペアの連続で、セリフもあり、演劇的な要素も強いです。バウシュ独特の世界が出来上がっていて、メルヘンのようで、とても面白かったです。振付も奇妙なものが多くて、彼女の作品の強烈な独特さに驚きました。ダンサーたちも不思議で、全員女性は髪の毛が長めでした。一人、とても年配の女性ダンサーがいましたが、彼女が一人混じることによって、これまた独特な味をかもし出していました。

 第一部が終わる直前に、だんだん水たまりに上から落ちてくる水敵の数が増え始めて、突然、ザーッとものすごく大量に上から30センチくらいの幅で一筋に、すごい勢いで水が降ってきました。この水は、とても美しかったです。

 第二部は、すっかり大きくなって池のようになった水たまりは、さらにだんだん少しずつ大きくなり、まるで池の周りのあっちこっちで、関連性のないショートのダンスや演技が次々に行われているようでした。でも不思議な感じで面白くて、彼女の世界に引き込まれてしまいました。絵本の中の世界のようです。これは不思議で楽しくて、感動しました。舞台が終わった後も、しばらく余韻に浸っていました。またぜひ彼女の作品を観たいです。