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●34周年を迎えたピロボラスの1ヶ月公演

 6月21日から7月17日まで、ワシントンDCから来たピロボラスの公演がジョイスシアターにて行われました。他のカンパニーはジョイスシアターでは1週間公演が普通なのに、1ヶ月も公演するのは異例なことです。ピロボラスは毎年夏に恒例の1ヶ月公演を行います。ニューヨークでは彼らは大人気で、連日立見席まで超満員です。みんな毎年楽しみにしている様子です。私も去年観ていて重複作品もありましたが、今年はまた違った趣向で楽しませていただきました。プログラムA、B、Cともすべて観ました。ダンスやバレエの要素よりも、リフトを多用して組み体操のようなアクロバティックな要素が強く前面に押し出されているのが彼らの特色で、好き嫌いは人によって違うようです。私はエンターテイメントとしてとても楽しませていただいたし、彼らの作品は他のカンパニーとは違った独特なカラーがあるので素晴らしいと思います。独自のクリエイティヴィティーが感じられるカンパニーのほうが私は好きです。彼らのカラーは、驚異、楽しさだと思います。 

 ピロボラスは1971年にダートマウス・カレッジのダンス・クラスから生まれ、今年34周年を迎えました。ユニークなウエイト・シェアリングを多用した振付で、伝統的なダンスのスタイルとは全くかけ離れています。数々の賞を受賞し、現在アメリカではメジャーなダンスカンパニーとして、国際的に影響を与えています。

 衣装や舞台セットはシンプルで今ひとつでした。衣装は動きやすくするためか、前身タイツやTバックに上半身裸など、デザインや色合いには凝っていません。身体にフィットした動きやすいタイツでも、もう少し衣装をかっこよくすれば、見違えるように美的になるはずです。

 全体的に、一人がもう一人のひざから肩の上によじ登って、斜めに下の人に体重をかけた状態で宙に浮いたまま、表現する動きが多いです。舞台上からつり下げられた皮のワッカに足を引っ掛けて空中で表現したり、舞台上から垂れている長い紐にくるくると足などからだの一部を巻き付けて上って行って、空中で動く表現も何度か出てきました。面白かった作品はたくさんありますが、彼らの作品の中でも特に印象に残った変わった振付は、2004年の作品の「メガ・ワット」です。床には一面に薄いマットがしかれてあり、激しいリズムのエレクトロニック音楽に乗って、寝転がって仰向けで肩や背中で移動したり,うつ伏せで移動したりして進んでいくところから始まりました。だんだん立ち上がって、ブルブル震えながらピョンピョン跳ねたり、電気に感電したかのような動きが続きます。震えたまま急に立ち上がってバタンと床に転がったりをくり返して、観ていると痛そうでびっくりして、驚かされました。感電した人がテーマの面白い作品でした。