ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 ニューヨークは最近また雪が降ったりして、寒さがぶり返し、夕方以降の夜は冷え込みます。皆、春の到来を待ち望んでいます。さて、今月は、なんと夏頃このコラムで紹介いたしましたインド・ボンベイ出身の本物のヨガ行者・ダンサーである、シャーミラ・デサイに再び遭遇しました。今度はジョイスシアターで。どこかで見覚えのあるダンサーだな、とすぐに分かり、「プレイビル」を見てびっくりした次第です。彼女は今後、ブレイクする予感があります。ヨガも流行ってくるでしょうね。終演後、ダンサー達が出てくるのを楽屋口で待って、彼女をつかまえました! 前の取材時には、彼女はヨガをニューヨークで教えているということだったなあと記憶していたからです。もちろんその連絡先を聞きました。私は彼女から正真正銘のヨガを習うつもりです。道のりは険しそう!

モダン・フラメンコのコンパ二―ア・マリーア・パヘスの 2 作品

 2月24日から29日まで、スペインのフラメンコ、コンパ二―ア・マリーア・パヘスの公演が、ジョイスシアターにて行われました。今回上演の作品は、“ペロ・アンダルス。ブルレリーアス”(1996年)と、伝統的なアンダルシア地方のフラメンコである“フラメンコ・レプブリック”。ここのところ、ストレスが知らない間に溜まってきていた私ですが、彼らの踊りを観終ったら、エネルギーをもらったように元気になりました。その晩電話で話した友人が、「なんか急に元気がでてるみたいだね?何かいいことでもあったの?」と私の変化に気が付いたくらいです。生身の人間によるパフォーミング・アーツを鑑賞することは、それが素晴らしい作品だった場合には、目に見えないエネルギーをもらえるようです。ニューヨークによくある、なんちゃって・フラメンコと違って、彼らはセビージャから来た本物のフラメンコだから迫力が違います。彼らのレベルはとても高いです。

マリア・パへス


マリーア・パヘスはスペイン・アンダルシア地方のセビージャ生まれで、4歳からスパニッシュ・ダンスを踊り始めました。アントニオ・ガデス・カンパニー、マリオ・マヤ・カンパニー、ラファエル・アヒラール・カンパニーにてプリンシパル・ダンサーを務め、世界的に活躍しました。あのカルロス・サウラ監督による映画『カルメン』に、アントニオ・ガデスと共に出演もしています。その他にも数々の映画にフラメンコ・ダンサーとして出演してきました。彼女自身の振付を発展させたいという考えから、1990年に彼女自身のカンパニーを設立しました。そしてモダン・フラメンコの発展に努め、リードしています。1996年に彼女の作品“ペロ・アンダルス。ブルレリーアス”で、フラメンコ・カンパニーでは初めて、スペインのナショナル・アワードの振付部門を受賞しました。2002年には、スペインのもっとも高いダンスについての評価であるナショナル・ダンス・アワードを受賞しました。

 “ペロ・アンダルス。ブルレリーアス”は、映画監督ブニュエルと画家ダリの共作である、シュールレアリスム映画『アンダルシアの犬』にインスパイアされた作品です。『アンダルシアの犬』は何度か観ましたが、確か15分くらいの短い白黒映画で、女性の顔がアップで映し出され、彼女の目にカミソリが入れられ切られるシーンで有名です。

 2つの作品とも、照明が光と影の明暗をくっきりと映し出して、コントラストの強いことに特色があります。暗闇で、床に置かれたランプの光だけで、その周りで踊ったり、背景は真っ暗で舞台横のほうからダンサーに照明を当てたりしていました。ギター、ヴォーカル、パーカッションのミュージシャン達が生演奏をしていました。カンタオーラ(ヴォーカル)の女性は、女性とは思えないくらいの迫力で、こめかみの血管が切れるのではないかと思うくらいの声量で体からすべてのパワーをしぼり出すように歌いました。マリーア・パヘスは、スペイン人女性にしてはかなり大柄で、横も縦も大きく肉付きもよく、二の腕がとても長いので、周りのダンサー達に比べて、一挙手一挙動が目立っていました。女性も男性ダンサー達両方とも、サパテアードの強弱がとても激しく、メリハリがあって素晴らしかったです。カスタネットやマントンを使って踊るシーンもありました。途中、タンゴ風の曲や、ラップのような英語の歌詞もでてきました。みんなで輪になって、一人ずつ順番に即興でダンスのバトルも長く、見ごたえがありました。

全体に、大体の筋書きと振付は決まっているけれど、即興で振りを作って踊るところも多い印象を受けました。ダンサー達が気持ちよさそうに、音楽を感じながら一体となって踊っているように見えたからです。ジャズミュージシャンの表情と似ています。これだけ、少し確認したかったので、楽屋口でダンサー達が出てくるのを待って、「即興の踊りは多かったのですか?」と質問すると、「はい、たくさん!」と答えていました。今年の5月に、日本にもツアーで行くそうなので、おすすめです。