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守屋光嗣 text by Koji Moriya 
[2006.07.10]

●ディヴェルティスメンツ:カンパニーの歴史、はやわかり

カンパニーが設立された1930年代から現在まで、10年刻みでその10年の間にロイヤル・バレエのために創作された、もしくはゆかりの深い振付を年代を 追って披露する、という趣旨としては面白いものだった。が、それぞれの振付自体は素晴らしいものの、すべてが有機的に結びついていたとは、残念ながらいい がたい。

演目は順に、『JOBからサタンのソロ(ヴァロワ、1931年)』、『ダンテ・ソナタ(アシュトン、1940年)』、『バースデイ・オファリング(アシュ トン、1956年)』、『ロミオとジュリエット(マクミラン、1965年)』、『エリート・シンコペイション(マクミラン、1974年)』、『ラプソ ディ(アシュトン、1980年)』、『ウィンター・ドリームズ(マクミラン、1991年)』、『クォリア(ウエィン・マックグレガー、2003年)』。



『バーステイ・オファリング』

『バーステイ・オファリング』

最初の『サタンのソロ』と『ダンテ・ソナタ』はとても短く、ダンサーの解釈や技術を比べることは出来ないが、サモドゥロフとマーティン・ハーヴェイ (『サタンのソロ』)、セナイダ・ヤナウスキーとマリアネラ・ヌニェス(『ダンテ・ソナタ』)はとても鮮明で、インパクトの強い踊りを見せていた。他は、 ファースト・キャスト、もしくは振付けられた当のダンサーのほうが振付を自分のものとして踊っているという印象が強い。

『ウィンター・ドリームズ』でのダーシー・バッセル、『ラプソディ』での吉田都。振付の系統は全く違うし、両者ともパ・ド・ドゥの抜粋ながら、自分に要求 されている役を充分に理解しているのは明らかだった。これは初演時にパ・ド・ドゥを踊ったリアン・ベンジャミンとエドワード・ワトソン(『クォリア』)に もいえる。セカンド・キャストとして、タマラ・ロホと『ウィンター・ドリームズ』を踊ったティアゴ・ソアレスは、技術面は申し分ないものの演技面がもう一 つ、と言う感じだった。先月号で書いたように、ソアレスはマクミランの『マイヤーリング』のルドルフ役を希望している。来シーズンで彼がキャスティングさ れるようなら、その成長振りをぜひ見てみたい。それと、タマラ・ロホとカルロス・アコスタによる『ロミオとジュリエット』のバルコニーのシーンからのパ・ ド・ドゥ、二人の濃密な演技に時が止まってしまったようだった。


『ウインター・ドリームス』

『ウインター・ドリームス』