アジア勢の躍進が顕著だった第53回ローザンヌ国際バレエコンクール、安海真之介が第3位、繁田ライアンが第6位、浜崎ほのが第7位に入賞した!
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ワールドレポート/その他
香月 圭 text by Kei Kazuki
『パリの炎』パク・ユンジェ
© Gregory Batardon
2月3日~9日の一週間にわたって開催された第53回ローザンヌ国際バレエコンクールの決選がボーリュー劇場で8日に行われ、第1位は韓国のパク・ユンジェで、テクニックと表現ともにプロとして完成されたレベルで、圧倒的な実力を示した。パクはベスト・ヤング・タレント賞も受賞した。
日本出身者の健闘ぶりも光り、安海真之介が第3位、繁田ライアンが第6位、浜崎ほのが第7位に入賞した。安海は『眠れる森の美女』第三幕のデジレ王子のヴァリエーションを正確なテクニックや軽やかな跳躍とともに、幸せそうな笑顔で踊り、コンテンポラリーの『Groovin'』では、ヒップホップのリズムを全身で的確にとらえ、舞台を軽快に駆け巡った。安海は、ダンサーたちを舞台裏で支える劇場関係者の人々に敬意を表して、ボーリュー劇場を運営する母体(ボーリュー株式会社)より1人のファイナリストに贈られるボーリュー賞と観客賞も受賞した。
繁田は日本人の両親のもと、ハワイに生まれ、米国籍で出場した。現在はドイツ、シュツットガルトのジョン・クランコ・スクールに留学中だ。『ラ・バヤデール』ソロルのヴァリエーションでは力強い跳躍を見せた。浜崎は古典の『フローラの目覚め』で清涼感のある踊りを披露。コンテンポラリー『1st Flash Solo 1』では弦楽器の音とシンクロした振付で、硬質で鮮烈な印象を残した。
第9位のジェイコブ・ウェウェイ・ヒューズは、『Groovin'』の演技で、優れたストリート・ダンスの表現を見せ、コンテンポラリーダンス賞とWeb観客賞を受賞した。
『眠れる森の美女』安海 真之介
©Rodrigo Buas
『Groovin'』安海 真之介
©Rodrigo Buas
『ラ・バヤデール』繁田ライアン
©Rodrigo Buas
『フローラの目覚め』浜崎 ほの
© Gregory Batardon
◆第53回ローザンヌ国際バレエコンクール結果
第1位214 パク・ユンジェ PARK YounJae 韓国
第2位208 エリック・プア POOR Eric アメリカ
第3位423 安海 真之介 YASUUMI Shinnosuke 日本
第4位314 王 韩熙 WANG Hanxi 中国 (韩「韓」:正しくは「韓」の簡体字)
第5位418 ヘクター・ジェイン JAIN Hector アメリカ
第6位424 繁田 ライアン HANDA Ryan アメリカ
第7位102 浜崎 ほの HAMASAKI Hono 日本
第8位302 キム・ボギョン KIM Bogyeong 韓国
第9位408 ジェイコブ・ウェウェイ・ヒューズ WHEWAY HUGHES Jakob イギリス
●ベスト・ヤング・タレント賞 Best Young Talent Award:214 -パク・ユンジェ - 韓国
●ボーリュー賞Beaulieu Award:423 - 安海 真之介YASUUMI Shinnosuke - 日本
●コンテンポラリーダンス賞Contemporary Dance Award:408 - ジェイコブ・ウェウェイ・ヒューズ - イギリス
●Web観客賞Web Audience Favourite Award:408 - ジェイコブ・ウェウェイ・ヒューズ - イギリス
●観客賞Audience Favourite Award:423 - 安海 真之介 - 日本
●ファイナリスト賞Finalists Award
スカラシップを授与されなかったファイナリストには1,000スイスフランが授与される。
●ベスト・スイス賞Best Swiss Candidate Award:今年は該当者なし
『1st Flash Solo 1』浜崎 ほの
© Gregory Batardon
『Groovin'』 ジェイコブ・ウェウェイ・ヒューズ
©Rodrigo Buas
今年の出場者の選考は、香港マカオで開催されたアジア太平洋予選での4名(日本からは福間悠陽が選ばれた)、スイス南西部ヴィラール・シュル・オロンで開かれた夏季集中講座=ヨーロッパ&国際予選での4名、動画審査でのラテン・アメリカ予選での3名の合計11名が選出された。
一般選考では、世界42か国から445名(女子354名/男子91名)の応募があり、動画審査を経て75名(女子38名/男子37名)が選ばれた。予選通過者と合わせて23か国86名(女子44名/男子42名)が本選出場の資格を得た(そのうち1名が怪我のため棄権)。日本からは、秋田瑛太、青野颯人、福間悠陽、福山壮一郎、浜崎ほの、橋倉怜央、石黒泰生、石渡音羽、菊池流花、梨木玲斗、大石惺亜、山谷優月、安海真之介の13名が出場した。
2月7日に行われた準決選の選考では、クラシックとコンテンポラリーの各クラスの様子と舞台での古典と現代ヴァリエーションの出来栄えが4分の1ずつの配点で評価された。2月8日の決選では、古典と現代ヴァリエーションのパフォーマンスが審査の対象となった。準決選を通過した20名のうち、日本勢は、秋田瑛太、福間悠陽、浜崎ほの、大石惺亜、山谷優月、安海真之介の6名で最多の人数となった。次いで韓国と中国、アメリカが4名ずつで、アジア出身のファイナリストが7割を占めた。地道に努力を重ね、指導陣のアドバイスを素直に吸収していく日本人参加者たちは、体格など不利な面があったとしても、それらを乗り越える健闘ぶりを今年も見せてくれた。次回も若いダンサーたちが羽ばたいていく姿を楽しみにしたい。
授賞式 © Gregory Batardon
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