ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2014.06.10]
From Osaka -大阪-

こうべ全国洋舞コンクール2014のクラシック・バレエ、モダンダンス、創作の入賞者に聞く

第27回こうべ全国洋舞コンクール
ピックアップインタビュー&舞台写真

5月3日から6日、神戸文化ホールで行われた「第27回こうべ全国洋舞コンクール」。終了直後に速報をお届けしたが、今回は少し落ち着いて、受賞者の声などを舞台写真とともにお届けしたい。ところで、これまでこの神戸全国洋舞コンクールで上位入賞したダンサーのリストを見ると、現在、世界中で活躍するダンサーが続々、とてもレベルの高いコンクールであることが実感できる。ちょうど先日、5月末に日本人で初めてブノワ賞を受賞したことが大きなニュースになったスウェーデン王立バレエ団の木田真理子も、第9回にクラシックバレエ部門女性ジュニア2部1位、第12回にクラシックバレエ部門女性ジュニア1部1位を獲得している。そんな彼女に続く大きな可能生を持っているのが今回の受賞者と言えそうだ。
今回、シニアの各部門1位と創作優秀賞受賞者に話を聞いたのだが、そのほかに特に印象に残ったダンサーがもう一人いる。それは、クラシック・バレエ部門女性ジュニア1部1位の大谷遙陽(神奈川・佐々木三夏バレエアカデミー)。『くるみ割り人形』より金平糖のヴァリエーションを踊ったのだが、これがヌレエフ版。難易度の高い振付をとてもよくこなしていた。18歳、高校を卒業してバレエの道を歩もうと日々レッスンに励んでいる様子。これからが本当に楽しみなダンサーだ。

kobe1406_01.jpg 松浦梨歩 撮影:金原優美(テス大阪)

話を聞いたダンサー、まず一人目は、クラシック・バレエ部門女性シニア1位、『海賊』よりヴァリエーションを踊った松浦梨歩(大阪・MRB松田敏子リラクゼーションバレエ)。着地音の小さな美しいジャンプが印象に残ったダンサー。意外なことに、このコンクールには何度か出ているけれど、入賞するのは初めてだという。それで1位だ。「自分のなかでは出来は5割くらい。ただ、予選でちょっと失敗もあって、もう終わりかと思ったのに決選に残れたので、あとは楽しんで踊ろうと思って。ムダな緊張感なく、とにかく楽しく踊ることができました」。その気負いのなさが、音楽に乗った観る人を惹きつける踊りを実現したのかもしれない。今まで『ドン・キホーテ』のキトリやエスメラルダなどを踊ることが多く、今回のメドーラは珍しくちょっとお姫様的なところもある踊り。「だけど、プロのダンサーになりたいという思いがあるので、これからは苦手なお姫様系の踊りにも積極的にチャレンジしないといけないなと思います」ということ。さらなる成長に期待したい。

クラシック・バレエ部門男性シニア1位を獲得した『くるみ割り人形』より王子のヴァリエーションを踊った長谷川元志(愛知・神澤千景バレエスタジオ)は、すでにプロとして多くの舞台でゲストとして踊っているダンサー。けれど「コンクールの練習は師匠に注意してもらう貴重な時間だから」と出場した動機を話す。小学校4年生の時、母に勧められて妹が習っていた神澤千景バレエスタジオでバレエを始めた。他には女の子ばかりだったので、はじめはとてもイヤだったのだという。辞めたいと訴える度に「もう一回コンクールに出てみたら?」と引き留められた。スラッとして王子が似合うダンサー、「基本的にどんな役も好きで王子ももちろん好きなのですが、逆に海賊などが踊りやすいなと思うことがあります」。海外への思いを聞くと、海外のコンクールに出た時によくない思い出があって、今、日本でやっているのが充実しているからこのまま日本で踊りたいと話す。すぐには無理でも、いつかは作品と言えるような公演に掛ける比重を増やしていきたいということだ。

kobe1406_02.jpg 長谷川元志 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
kobe1406_03.jpg 大谷遥陽 撮影:古都栄二(テス大阪) kobe1406_04.jpg 土屋景衣子 撮影:金原優美(テス大阪)
kobe1406_05.jpg 北口雅人 撮影:岡村昌夫(テス大阪) kobe1406_06.jpg 河野琉也 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

モダンダンス部門シニア1位は、『wara_wo_nau』を踊った高瀬瑶子。幼い頃に岡山でダンスを始め、家族の転勤で東京に引っ越した16歳から橘バレエ学校でバレエを学んだ。昨年まで、オーストリア・バレエ・カンパニー東京(ABC-Tokyo)のメンバーとして踊っていた彼女。これまで、こういったコンクールというものに出たことがなかったそう。たまたま昨年、家族の仕事の都合で神戸に引っ越し、30歳と、ちょうど年齢制限の上限ということもあり「出ない後悔よりも出ての後悔の方が」と出場したという。大阪のMRB松田敏子リラクゼーションバレエで毎朝のクラスレッスンを受け、作品は元Noismの青木尚哉と創り上げての出場。作品『wara_wo_nau』=藁を綯う、は、装飾的な動きを出来る限り廃し、機能的な動きの美しさを追求した作品。体にぴったりとしたベージュの衣装で、人間とも言えない記号的な存在を表しているような……。嘘やごまかしのない潔さを、物事の“本質”とでもいえそうなものを感じさせる踊りだった。

そして、創作部門優秀賞の水野多麻紀(水野聖子 DANCING KIDS STUDIO)。『伯爵夫人と画壇のグリーンテーブル』を振付けた。幼い頃からこのコンクールで優秀な成績を挙げていた彼女。今回の作品は、居住地は離れているけれど、共に作品を創っている富士奈津子、新保恵と水野自身がともに踊ったもの。「グリーンテーブルというのは、昔のヨーロッパの会議室にあるような楕円形の緑のテーブルのことです。人がそれを挟んで考えて、悩む、その間にあるもの」と水野。今回は「画家と描かれる人=伯爵夫人の間にある“ただならぬ理由”を表したかった」。3人とも身体能力、表現力ともに秀逸なダンサー。妖しげで、どこかレトロなものを思わせる独特の香りが漂う作品だった。

kobe1406_07.jpg 高瀬瑶子 撮影:岡村昌夫(テス大阪) kobe1406_08.jpg 富士奈津子、新保恵、水野多麻紀
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
kobe1406_09.jpg 小澤早嬉 撮影:岡村昌夫(テス大阪) kobe1406_10.jpg 水野心梨 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

順位詳細は、下記、神戸新聞ホームページ「神戸新聞NEXT」を参照。
http://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2014/main.shtml
(2014年5月3日〜6日 神戸文化ホール)