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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2012.06.11]

第25回こうべ全国洋舞コンクール・各部門1位&創作部門優秀賞授賞者コメント集

こうべ全国洋舞コンクール実行委員会

「第25回こうべ全国洋舞コンクール」は、モダンダンス・創作部門とクラシック部門の、それぞれ決選翌日に速報として、コンクールの概要と各部門1位・創作部門優秀賞の喜びの表情を掲載した。今回は、各部門1位・創作部門優秀賞受賞者のコメント集をお届けする。
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/concours/25.html
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/concours/25-1.html
*順位詳細は、下記、神戸新聞HP参照。
http://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2012/index.html

osaka1206b_03.jpg 杉浦優妃
撮影:古都栄二(テス大阪)

クラシックバレエ部門/女性ジュニア2部1位
杉浦優妃/蔵本誠子バレエスクール(兵庫県)

<くるみ割り人形>金平糖のヴァリエーション
やさしく丁寧で、上方への志向を感じさせる金平糖のヴァリエーション、ふんわりした雰囲気も感じさせるのが良い。13歳の彼女がこのコンクールに出るのは4回目。今回、準決選ではラストのシェネがからまってしまって上手く行かず「絶対、もう決選に残れないと思った」、でも無事に決選進出。決選は大きな失敗なく1位を射止めた。「金平糖の踊りは難しいけれど、輝いている雰囲気が大好き」と話してくれた。

クラシックバレエ部門女性ジュニア1部1位
酒井那奈/ソウダバレエスクール(大阪府)

<アレキナーダ>よりヴァリエーション
とても顔が小さく手脚の長い恵まれたスタイル、表情もとてもチャーミングだった。
2歳10カ月の時に愛媛県でバレエを始め、小学校2年生の時に大阪に引っ越して、ソウダバレエスクールに。昨秋に行われたYAGP日本予選のコンテンポラリー部門でも『Sleepy Swan』(振付:サイトウマコト)を踊って1位を獲得している。「でも、クラシックでの1位は初めてです」と嬉しそう。「アレキナーダのバリエーションは、YAGPなどコンクールの会場で観て憧れて、先生にやってみたいと話したんです」。今、中学3年生、高校は日本でと思っているが、ゆくゆくは海外に留学してプロのダンサーを目指す。

クラシックバレエ部門女性シニア1位
大久保彩香/iSバレエ・アカデミア、泉・下森バレエ団(兵庫県)

<グラン・パ・クラシック>よりヴァリエーション
小学校6年生から毎年このコンクールに参加している地元・兵庫県西宮市育ち。4年前には、ジュニア1部で1位を獲得している。現在22歳、所属のiSバレエ・アカデミアで指導をしながら多くの舞台で主要な役を務めている。さまざまな舞台で観るが、正確な基礎に裏打ちされた高いテクニックが素晴らしい。今回の<グラン・パ・クラシック>よりヴァリエーションはのびのびと歌うように楽しげ、高度な技が観客に高度だということを忘れさせるくらい余裕を持って踊られて、惹きつける表現になっている。「このヴァリエーションは、私の身体に合っているのか、苦しくないんです。合わない動きだと苦労したりするのですが」と話す。9月からはノース・ウェスト・フロリダ・バレエで踊る予定。

osaka1206b_02.jpg 酒井那奈
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1206b_01.jpg 大久保彩香
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1206b_06.jpg 森川礼央 撮影:古都栄二(テス大阪)

クラシックバレエ部門/男性ジュニア2部1位
森川礼央/田川陽子バレエアカデミー(愛知県)

<アレキナーダ>よりヴァリエーション
これまで、いくつかのコンクールで彼の2位の瞬間を観てきた。そして、今回、念願の1位。クルクル変わる素晴らしい表情を伴った演技、確かな技術で<アレキナーダ>よりヴァリエーションを踊った。「元々、ジャズダンスの基礎としてバレエを習い始めたけれど、バレエに夢中になってジャズはやめちゃって」と。「演技がとても楽しい!」という。もちろん、「プロ・ダンサーになるのが目標!」。

クラシックバレエ部門/男性ジュニア1部1位
速水渉悟/稲尾光子バレエスクール(京都府)

<ラ・シルフィード>よりヴァリエーション
ブルノンヴィル・スタイルを軽やかにこなし、チャーミングに<ラ・シルフィード>よりヴァリエーションを踊った。「この前は<パキータ>のヴァリエーションを踊っていたので、違うタイプの表現が出来る踊りに挑戦したくて」このヴァリエーションを選んだのだという。
ブルノンヴィル・スタイルは、手の位置も独特で大変、決して細かいアレグロの脚さばきが好きなわけではない、けれど「いろんな曲を踊れるダンサーになりたいから」と話す。現在高校1年生、ゆくゆくは海外に留学して、プロのダンサーを目指す。

クラシックバレエ部門/男性シニア1位
塚本士朗/貞松・浜田バレエ学園、バレエ団(兵庫県)

<ジゼル>よりアルブレヒトのヴァリエーション
貞松・浜田バレエ団の若手ダンサー。現在、バレエ団公演ではソリストの機会が続々と増え、発表会や他団体のゲストで主役を踊る機会も増えて来た。ボーイズ・クラスで学び団員に、18歳からの2年間はモナコに留学し、マリカ・ベゾブラゾヴァに師事した。
踊ったのは『ジゼル』2幕からのヴァリエーション、想いを込めた、全幕のストーリーが透けて見えるような踊りだった。「僕は気持ちだけで踊ってしまいがちなので、貞松正一郎先生に細かいところまで指導していただいて。正一郎先生は何度もこの役を踊っていらっしゃって、その映像を観て参考にし、気持ちを高めました。本当に格好良くて」。最近、どんどん力をつけてきているように見える彼、今後の活躍が益々楽しみだ。

osaka1206b_05.jpg 速水渉悟 撮影:古都栄二(テス大阪) osaka1206b_04.jpg 塚本士朗 撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1206b_09.jpg 堀内翼 撮影:文元克香(テス大阪)

モダンダンス部門/ジュニア2部1位
堀内翼(黒沢輝夫・下田栄子モダンバレエスタジオ)

『一人ぽっちの夜』
坂本九の『上を向いて歩こう』で踊った。男性ながらとても身体が柔らかく、軽くスムーズに動く。表情もとても良い。指導の下田栄子の振付が彼にとてもよく合っているように思えた。
「この踊りは、今まで踊った中でも一番好き。曲そのものも大好きで乗れる!」と話す。将来の夢を聞くと、「黒沢美香&ダンサーズで踊ってみたい」と眼を輝かせた。

モダンダンス部門/ジュニア1部1位
南帆乃佳(平多正於舞踊研究所)

『ヘレンケラーより 〜見えない声〜』
ラストに有名なヘレンの「Water!」のシーンが余韻を残す。平多利江の振付だ。「ヘレン・ケラーの三重苦を自分は体験したことがないので、どうやってそれを表現しようと、はじめは自分の中で作っちゃって……分からないことだらけで悩みました。でも、今年に入ってから、先生に『感じたままやりなさい』と言われて、三重苦について考え過ぎずに自然に踊るように」、そうして少しずつ、踊りを自分のものにしていった。
今、高校3年生、ダンスに関係のある学部を目指して大学を受験しようと思っている。

モダンダンス部門/シニア1位
新保恵(金井桃枝舞踊研究所)

『向日葵の咲(わら)わぬ夏』
4年前にジュニア1部で1位を獲得している。今回の作品は、富士奈津子振付の『向日葵の咲(わら)わぬ夏』。「タイトルを聞いた時、夏と言えば向日葵、それが咲かないということは、震災があったからかな、それが第一印象でした」。でも踊っているうちに、「咲くはずの向日葵が咲かないということは、私は踊りが大好きで、私と言えば踊り、だけど、同じように私から踊りを取ったら?」と考えて、重ねて踊るようにしました」。
目指しているのはダンサーというよりも指導者だと話す。でもそのためには、やはり、コンクールに出ておいた方が良いという師のアドバイス、そして自身も踊ることも大好きということでコンクールにも挑戦している。今、すでに指導者として日々活躍しているが「良い指導者になるように努力します」。

osaka1206b_08.jpg 南帆乃佳 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1206b_07.jpg

新保恵 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

osaka1206b_10.jpg 木原浩太 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

創作部門/優秀賞
木原浩太(加藤みや子ダンススペース)

出演:四戸由香、木原浩太
『しゃべりだす身体』
もう、このコンクールの創作部門受賞者として常連になっている木原浩太。今回は、同じ加藤みや子ダンススペースで活躍する四戸由香(しのへ よしか)とのデュエット。だが、いわゆる“男女の”デュエットではない。「私たちには、いわゆる(恋愛系の)男女のデュエットは無理だよね〜!と話して」と四戸。男女だとかどうとかいうことよりも、その違いは、ただ個性のひとつと思わせるような、人間の身体の動きの面白さを追求する、さりげなくコミカルでオリジナリティのある動きが溢れたものに。間合いのセンスも素晴らしく、カラダって、面白いナーーと素直に思える作品に仕上がっていた。

(2012年4月28日、29日 モダンダンス・創作部門、5月3日〜6日 クラシックバレエ部門 神戸文化ホール大ホール・中ホール)