ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2006.06.10]
From Osaka -大阪-

1400名を超える参加者を集めた『第19回こうべ全国洋舞コンクール』

 19回目を迎えた『こうべ全国洋舞コンクール』、ちょっとしたホールの客席数かと思える1400名以上もの出場者を迎えて盛大に開催された。

 今年はモダン・創作の部が、昨年秋にオープンした兵庫県立芸術文化センターに場所を移しての開催。
 モダンダンス、ジュニア第2部の1位を獲得したのは、『モンスター』を踊った伊藤麻菜実、13歳。世の中には、モンスターのような怖さを秘めた人がたくさんいる・・・といったことを現した作品。彼女の動きはひとつひとつが美しかった。
 モダンダンス、ジュニア第1部の1位は、『光のなかの盲(ひと)』の幅田彩加、17歳。盲目の女性の動きを表現した作品、東京新聞主宰全国舞踊コンクールでもやはり1位を獲得している。黒い幕の前で、やや白めに身体をメイクして・・・眼が見えない人は手がよく動くので、手の動きを強調するための工夫だという。
 モダンダンス、シニアの1位は、『Tom --ひとりぼっち ---』、小松あすか、26歳。独特の---アングラや舞踏にも通じるのではないか?と思えるような魅力、それでいて女の子の可愛らしさも感じさせる彼女の踊りは、ここ数年ずっと印象に残っている。この演目は自作、秋からは文化庁の派遣でパリで2年間学ぶのだという。パリで彼女の魅力が更に磨かれるのではないかという気がする。


伊藤 麻菜実

幅田 彩加

小松 あすか
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 創作の部は残念ながら最優秀賞は出ず、優秀賞が2つ。ひとつは、富士奈津子振付の『ただならぬ午睡』。富士は、昨年のシニア1位であると共に、昨年創作部門優秀賞の金井桃枝振付『雨にまつわる話』のダンサーでもある。今回は自らが振り付けての出品での受賞。もうひとつの受賞は、今回のシニア1位の小松あすかも出演した作品で、野村真弓振付『良い知らせは小さな声で語られる』。どちらも、コンクールの限られた舞台設備という条件の中で、表現を工夫していたのが感じられた。

 そしてクラシック部門。モダンでも、東京新聞主宰全国舞踊コンクールとの1位の重なりがあったが、こちらもやはり男子シニアやジュニア女子1部はそう(東京は男女に分かれていないので、かなりの割合で同じ人が1位に輝いていることになる)。それが、実力ということになるのかと感じつつ観た。また女性のジュニア2部と1部は準決選があることで、決選に残っているのは本当に粒ぞろいの子たち。とても勝手な想像だが、この子たちを諸外国の教育環境に恵まれたバレエ学校のような環境の中で育てていけば、日本に世界的にみてもレベルの高い、素晴らしいバレエ団が出来るような気がした。

 女子ジュニア2部1位は、奥野凛、13歳。踊ったのは、金平糖のヴァリエーション。脚が長く、五番にきちんと入れることを気にして、全体に輝きを持った雰囲気も良い。
 男子ジュニア2部1位は、『パキータ』より Va.を踊った安田一斗、12歳。モダンにも出場していて、いきいきした表情が生まれながらの舞台人であることを思わせる男の子。プラス踊りもしっかりしている。
 女子ジュニア1部1位は、『シルヴィア』よりヴァリエーションを踊った金子扶生、14歳。ザ・バレコン福岡、東京新聞コンクールでも1位の連続受賞。ゆっくりみせる技量があり、華やかさをみせる表情も。これからが楽しみ。
 男子ジュニア1部1位は、『ドン・キホーテ』よりバジルのヴァリエーションを踊った高田樹、14歳。ラインがきれいで、テクニックもきちんと。気品あるプリンスもきっと似合うであろう少年。


奥野 凛

安田 一斗

金子扶生実

高田 樹
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 女子シニア1位は、『エスメラルダ』よりヴァリエーションを踊った廣岡奈美。彼女は地元、神戸の貞松浜田バレエ団の所属で、中学1年生から11年間毎年ずっと毎年このコンクールに出場している。それだけに1位に輝いた感慨もひとしお。タンバリンをリズミカルにタタンッと2回たたく技も、高い脚のバロネも、形が全体に美しく決まる上に、華やかで踊り心に溢れていた。
 男子シニア1位は、『白鳥の湖』より王子のヴァリエーションを踊った大貫真幹、彼も東京新聞コンクールでも1位。気品のある本当に王子らしい雰囲気。バレエの基本を大切にしていることも好感がもてる。彼はアメリカのジョフリー・バレエで4年間プロとして踊り昨年帰国した。この後、アメリカのジャクソン・コンクールに挑戦するのだという。

 全国から素晴らしい若者が集結する『こうべ全国舞踊コンクール』、来年の20回大会は、クラシック部門が新しく出来た兵庫県立芸術文化センターで行われる予定だ。
(4月29日、30日 兵庫県立芸術文化センター中ホール、5月3日~6日 神戸文化ホール大・中)


廣岡 奈美

廣岡 奈美

大貫 真幹

大貫 真幹
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