ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2006.03.10]
From Nagoya -名古屋-

毎年恒例の越智インターナショナルバレエによる『くるみ割り人形』

『くるみ割り人形』は毎年師走の風物詩になっているが、毎年欠かさずに開催できるバレエ団はそう多くはないだろう。越智インターナショナルバレエによるこの作品は、すでに18回目を数え、それだけにバレエ団の最も完成度の高いレパートリーのひとつとなっている。
今年は知立も合わせると3公演、どの日も配役が異なり、越智久美子と越智友則の親子共演をはじめ、それぞれ見どころも満載。そんな中、バレエ団の御曹司・越智友則と、若手ホープの森絵里が主役を演じた25日の昼公演を観ることができた。

越智久美子 ワディム・ソロマハ

舞台までつながった橋掛かり、パーティへ向かう人々が、楽しげに通りを歩き急ぐ演出で、幕開けから観客の心をしっかりとつかむ。第1幕の応接間、華やかなクリスマスのパーティが開かれている場面では、森弥生や財満恭子といった主役級のダンサーたちがコロンビーヌやヌビア人形などを演じ、最初から見所十分だ。2場の冬の松林の場面で登場した主役2人は、昨年の若さ弾ける初々しさに加えて、優雅さと落ち着きが加わり、さらに越智友則は、森をリードするゆとりすらみられ、男性ダンサーとしての大きな成長を物語っていた。


越智友則

越智久美子 越智友則

越智友則 森絵里
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『くるみ割り人形』の振付にも、いくつものバージョンがあり、加えてバレエ団の事情に合わせ少しずつ改訂されていくことも多いが、このバレエ団の『くるみ割り人形』は、ワイノーネン版に基づき、越智實・久美子が手を加えた振付。特に、冬の松林のシーンは美しく、両手に雪のボンボンをもったまま、くるくると回る雪の精のバレリーナたちの姿は、本当におとぎの国に舞い込んだかと思わせるロマンティックなシーンである。

続く第2幕、お菓子の国では、ソリスト級の女性ダンサーたちが次々と質の高い踊りを披露し、またパートナーをつとめたコンスタンチン・ゴルディチュクのコーヒーの精や、長身を生かした演技のイゴール・マモノフなど、配役にぴったりの容姿をした男性ダンサーたちが粋な演技を見せた。
再演を重ねることで、ますます完成度が高くなっていくこの作品。これからもずっと上演し続けて欲しいと思わせる、越智インターナショナルバレエの『くるみ割り人形』である。
(2005年12月25日・名古屋市民会館中ホール)



雪の精

花のワルツ

越智久美子 ワディム・ソロマハ
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