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アンジェラ・加瀬 text by Angela Kase 
[2010.02.10]

佐々木陽平、ザンダー・パリッシュがロイヤル・バレエを退団

The Royal Ballet Company
英国ロイヤル・バレエ
Yohei Sasaki & Xander Parish’s departure in January
佐々木陽平、ザンダー・パリッシュ退団
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09-10シーズンはイギリスで人気の日本人バレエダンサーが次々とバレエ団を離れ、ファンを淋しがらせている。
先月号でバーミンガム・ロイヤル・バレエ(BRB)の山本康介の退団について触れたが、1月末にはロイヤル・バレエのファースト・ソリスト佐々木陽平がバレエ団を離れた。
盛岡出身の佐々木は、15歳でロイヤル・バレエ・スクールに留学。93年の入団よりバレエ団と17シーズンを共にした。
爽やかな持ち味と品格の高さ、常に相手役を思いやり引き立てるパートナーリングでイギリス紳士の品性とエレガンスを持つ日本人ダンサーとして知られ、『くるみ割り人形』の王子、『コッペリア』のフランツ、『眠れる森の美女』の青い鳥、『ロミオとジュリエット』のベンヴォーリオ、『ラ・バヤデール』のブロンズ・アイドルなどを持ち役とした。

全幕作品で最も彼の個性が光ったのがド・ヴァロワ版『コッペリア』のフランツだが、佐々木のエレガンスに最も似合ったのは『シンフォニック・ヴァリエーション』や『ラプソディー』に代表されるアシュトン作品。
それだけに今年1月に予定されていた『スケートをする人々』のホワイト・カップルの男性役で、佐々木を見送ることができなかったことが惜しまれる。

音楽、写真、F1など仕事以外にも多趣味の才人で、オフ・ステージでもその魅力的な人柄が大いに評価され、イギリスのバレエ・ファンの間で非常に好感度の高い男性として知られた。
1月23日の『眠れる森の美女』がさよなら公演になるはずであったが、直前に風邪をこじらせ出演することがかなわなかった。
ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシング(RAD)の教師資格は、在団中にすでに取得しており、2月からはロンドンの大学で希望分野の勉強に打ち込む予定だという。

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ザンダー・パリッシュは北アイルランド出身、05年入団のコール・ド・バレエの踊り手。
長身、小顔、長い手足と美しいアーチを描く足の甲が印象的で、群舞の中にあっても、その素晴らしいプロポーションが光っていた。
彼は昨年夏のマリィンスキー・バレエのロンドン公演の際に、マリィンスキー・バレエ団への移籍が決まり、イギリス人ダンサーとして初めて同バレエ団と契約。
1月初めにサンクトペテルブルグに居を移した。
ロイヤル・バレエで長く群舞をつとめたことから、コール・ド要員としての入団だと思われていた矢先、2月13日にマリィンスキー劇場にて『レ・シルフィード』の男性主役、詩人を踊ってデビューすることが決定。相手役はダリア・パブレンコだというからこれは鳴り物入りの入団である。

ロシア・バレエがその黄金時代を謳歌したソビエト時代と違い、近年ロシアではバレエ・ダンサーを志す若者が激減。特に男性ダンサーの確保が非常に難しくなっている。
一方、イギリスは2000年に公開され、世界的にヒットした映画『リトル・ダンサー』の影響でバレエを志す男子が急増。直後にロイヤル・バレエ・スクール(RBS)への入学を志願する男子の数が女子を上回った。

最近では05年にシュツットガルト・バレエ団に入団後、ソリストへの階段を駆け上がったアレクサンダー・ジョーンズやウィリアム・ムーアのように、RBS出身の男性ダンサーが、世界の著名バレエ団に入団し、直後に華やかな活躍をする例が多く見受けられる。
今回のザンダー・パリッシュの例もまたしかり。
RBSは世界の主要バレエ団に男性ダンサーを輸出する有名校になりえるのか?
パリッシュをはじめとするRBS卒業生の今後の動向にますます注目が集まりそうだ。