マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』でロミオ役デビューした新星ロリー・マクラウド インタビュー「日本デビューが楽しみです」
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香月 圭 text by Kei Kazuki
4月10日~21日東急シアターオーブにて、マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』日本公演がスタートする。今回のプロダクションでロミオ役としてデビューを果たした新星ロリー・マクラウドに話を聞くことができた。2021年にニュー・アドベンチャーズに入団後、マシュー・ボーンの『くるみ割り人形!』でデビューし、オール・ソーツ・トリオなどを演じた。日本公演には初めての参加となる。
(ロミオを演じる3人のうち、パリス・フィッツパトリックのインタビューは
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/tokyo/detail035014.html)
――ロミオ役としてデビューしたときのことを語ってください。
ロリー・マクラウド
マクラウド 去年の7月にレスター(イングランド中部の街)でデビューしました。モニーク・ジョナスが僕の初めてのジュリエットを務めてくれました。主役のロミオを演じる立場にいられることは本当に胸躍る気分です。夢がかなって幸運だと思います。
――ご両親があなたの晴れ舞台を観にいらしたそうですね。
マクラウド 母が忙しかったので、両親はレスターには来られませんでした。でも、2人はロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場に観に来て、作品を気に入ってくれました。僕はスコットランドのエディンバラの出身ですが、二人は地元のエディンバラ公演にも足を運んでくれました。
――初演ダンサーのパリス・フィッツパトリックさんからアドバイスを受けましたか。
マクラウド はい。パリスは僕にとって素晴らしい先輩でした。彼は、初演キャストとしてこの役を創ってきたので、ロミオ役のことなら隅から隅まで知っています。もともと、僕はロミオの代役をしていましたが、ロミオ役としてデビューすることになって、何度も彼に質問をしました。彼は僕のリハーサルに立ち会い、たくさんのヒントを僕に授けてくれました。彼はとても賢くて素晴らしい人です。
――フィッツパトリックさんのアドバイスは具体的にどんなものでしたか。
マクラウド 観客に何を見せるべきか、どのように演じるべきか分からなかったとき、彼がよりわかりやすいストーリーを提案してくれたおかげで、僕自身も物語をより良く理解して演じることができるようになりました。彼はデュエットについて熟知しているため、パートナーリングについてもアドバイスをくれました。ロサンゼルス公演中の今でも、彼はより良く踊れるためのヒントを教えてくれます。演技と動きに関して、彼は本当に秀でていると思います。
ロリー・マクラウド、モニーク・ジョナス
Photo by Johan Persson
ロリー・マクラウド、モニーク・ジョナス
Photo by Johan Persson
――来日ツアーではジュリエット役のダンサーが3名いますね。
マクラウド 英国ツアーでは、モン(モニーク・ジョナス)とディーディー(コーデリア・ブレイスウェイト)と組みました。ロサンゼルスでは、ブライオニー・ペニントンと組むことが多いです。そして、今夜はカンパニーでの親友、ハンナ・クレマーとのペアでのデビューとなり、彼女との共演が楽しみです。ニュー・アドベンチャーズではキャスト全体が毎回変わります。現在行われているロサンゼルス公演では、昨夜、僕はマキューシオを演じましたが、今夜はロミオ役になります。毎回配役が変わるので、僕たちは新鮮な気持ちで舞台に挑むことができるのです。
――ロミオとマキューシオは対照的な役ですが、どのように演じ分けていますか。
マクラウド マキューシオは情熱的で自信に満ちた社交的な男ですが、ロミオはとてもぎこちなくて、少し変わり者で内気です。また、ロミオはジュリエットを愛していますが、マキューシオはゲイという設定です。ですから、それらの役を演じるのは、かなり違う体験となります。僕はどちらの役も、これまでカンパニーで演じた中で最も好きなので、両方を演じることができて、とても幸運だと思います。
右、ロリー・マクラウド
Photo by Johan Persson
アンサンブルにリフトされるロリー・マクラウドとモニーク・ジョナス
Photo by Johan Persson
――ダンスへの興味をもったのはどのようなきっかけでしたか。
マクラウド 僕は、幼い頃からミュージカルを習っていました。7、8歳の頃、地元エディンバラでミュージカルのクラスに通うようになり、14歳ぐらいで、エディンバラ・ダンス・アカデミーという学校に入学しました。そこでコンテンポラリー・ダンスやバレエなど、これまであまり触れてこなかったものを学んでいるうちに、ダンスに魅力を感じるようになりました。演技、歌、ダンスの3つの中ではダンスが一番好きです。ミュージカルも変わらず大好きだったので、ロンドン郊外のサリー州にあるミュージカル養成学校に通うことになりました。
――エプソム(ロンドン南南西部にある街)のレイン・シアター・アーツという学校のご卒業ですね。そこではどんなことを学びましたか。
マクラウド 歌に演技、そしてあらゆる種類のダンスを習いました。バレエやコンテンポラリー・ダンス、ジャズダンス、タップダンス、エンターテインメントダンスなど、あらゆることを教わりました。ミュージカルに出るのに必要なスキルを習得できたと思います。卒業生のなかには、コーデリア・ブレイスウェイトのように、ニュー・アドベンチャーズに入った人も多いです。
――ニュー・アドベンチャーズに興味をもったのはいつ頃ですか。
マクラウド 以前からこのカンパニーの作品を見ていて、とても興味がありました。学生時代から、このカンパニーに憧れていて「ここで踊りたい」と思い続けていました。
ロリー・マクラウド、モニーク・ジョナス
Photo by Johan Persson
ロリー・マクラウド、モニーク・ジョナス
Photo by Johan Persson
――ニュー・アドベンチャーズに入団した経緯を教えてください。
マクラウド レイン・シアター・アーツ在学中の3年生のときにミュージカルのオーディションを受けて最終選考まで残ったのですが、合格とはなりませんでした。その後、学校の先生からあるパンフレットを渡されたのですが、それは学生を対象としたニュー・アドベンチャーズの模擬オーディションの案内でした。そこではショーのレパートリーの一部を覚えて、本物のオーディションの雰囲気を味わうことができるというものでした。実際、会場に足を運ぶと、何と、マシュー・ボーン本人がいたのです。彼は審査員の一人でした。それからアソシエイト・アーティスティック・ディレクターのエタ・マーフィットやレジデント・アーティスティック・アソシエイトのニール・ウェストモーランドなど、ニュー・アドベンチャーズのスタッフもたくさん見かけました。そのオーディションでは『愛と幻想のシルフィード(Hiland Fling)』と『くるみ割り人形!』からいくつかのヴァリエーションを習いました。その時のことはよく覚えています。オーディション終了から30分ほど経った頃、ロンドンのオックスフォード・ストリートを歩いていると、マット(マシュー・ボーン)本人から合格の連絡が来ました。信じられないことに、この時に『くるみ割り人形!』の仕事をいただいたのです。涙がこみ上げてきて、両親に電話して吉報を伝えました。「ワオ!」と叫びたい気持ちでした。
――それはすごいですね! さて、今回が初来日ですが、楽しみにしていることは何ですか。
マクラウド カンパニー・メンバーの来美(釜萢来美)やハンナ(・クレマー)、マシューが「日本の食事は本当に美味しい」と話してくれたので楽しみです。それから建築についても、僕たちの文化とは全く別の新世界のようだと聞かされたことがあり、それらを実際に見てみたいです。それから、これまで出会った日本の人たちは皆、素敵だと思います。2週間ほど滞在するので、楽しみもさらに増えていくと思います。
ロリー・マクラウド、モニーク・ジョナス
Photo by Johan Persson
釜萢来美
Photo by Johan Persson
――釜萢来美さんは日本公演のことをどのようにおっしゃっていますか。
マクラウド 彼女は日本の出身なので、故国で公演するのを楽しみにしています。僕たちも皆、彼女と日本で共演するのを楽しみにしています。彼女は、僕たちが皆、日本のことを気に入ってくれそうだと話しています。今から日本に行くのが待ち切れません。
――釜萢来美さんはどんなダンサーですか。
マクラウド とても才能があり、バレエもコンテンポラリー・ダンスも上手いです。来日公演ではフレンチー役を演じます。彼女は演技力もあり、テクニックと表現力はカンパニーでも際立っています。
――日本の観客へメッセージをお願いします。
マクラウド 皆様のために日本公演ができることをとても嬉しく思います。きっとお気に入りいただけると思います。皆様にお会いして、日本を初めて体験できることを楽しみにしています。
(2024年2月17日インタビュー)
マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』
2024年4月10日(水)~21日(日) 東急シアターオーブ
上演時間:1時間50分
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/mbrj2024/
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