マシュー・ボーンのニューアドベンチャーズが『ロミオ+ジュリエット』で5年ぶりの日本公演をします

ワールドレポート/その他

友谷 真実 text by Mami Tomotani

マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』日本公演が今年4月10日から21日まで渋谷の東急シアターオーブで行われます。
マシュー・ボーンのカンパニー、ニューアドベンチャーズは実に5年ぶりの日本公演なんです!

私は現在、マシュー・ボーンの『シザーハンズ』イギリス公演に出演中ですが、久しぶりの日本公演が、2019年の「スワンレイク」から5年ぶりであることはカンパニー内でもとても話題になっています。

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Photos by Johan Persson

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モニク・ジョナス、ロリー・マクラウド
Photos by Johan Persson

この『ロミオ+ジュリエット』ですが、私も昨年のロンドンのガラ公演に招待されてニューヨークから観劇に行ってきました。(ガラ公演とは、このカンパニーと作品の関係者、また募金、寄付してくださった方をご招待して観劇してもらいその後にキャストとのパーティーがある公演です。一般のお客様はガラ公演のチケットは購入できます。)
とてもハラハラドキドキして、最後までロミオとジュリエットがどういう終わり方をするのか分からず見入ってしまいました。
作品はプロコフィエフの音楽をマシューらしい解釈で、若手による見応えあるコンテンポラリー・ダンスになっています。そして見事にロミオとジュリエットのパッショナルブルで切ない物語を伝えています。

その時の感想はチャコットのダンスキューブ「踊りある記」2023年10月にも書きましたが、若いダンサーたちはもがき閉じこめられている様を素晴らしいダンス力で、見事に表現しています。それとともに経験豊かなダンサー達は、しっかり大人の演技で物語を進めます。
レズ・ブラザーストンのセットとデザインは動かずそのままずっとあるのですが、私たちをいろいろな部屋へと連れていき、それはとても暗く密室で逃げられないのではないか、と想像させます。衣装の白はピュアでもあり痛々しくも見え若者達の物語を強調していました。

今度の日本公演は、私がずっと一緒に踊っていたアダム・ガルブレイスがティボルト役でインターナショナルツアーのために参加します。
日本公演でも『くるみ割り人形』や『愛と幻想のシルフィード』でも主役を演じていたので以前からのファンの方達は覚えていらっしゃると思います。今回も彼ならではのパワーと一緒に、踊っているメンバーを一気に彼の演技に取り込む魅力も素晴らしいです! 
そして、LAでマシューからO.K.が出たロミオとジュリエットのカバーだった二人、ジャクソン・フィッシュとハンナ・クレマーが新たな主役ロミオとジュリエットとして昇格しました! また、怪我していたダンサー、Elearnor McGrathの復帰やこのインターナショナルツアーから参加し、マシュー作品デビューを飾ったDylan Jonesなどは、LAでハッピーなスタートだったそうです。

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モニク・ジョナス、ロリー・マクラウド
Photos by Johan Persson

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Photos by Johan Persson

『ロミオ+ジュリエット』カンパニーは私がいる『シザーハンズ』とは違い若いダンサーが多く、初インターナショナルツアーのダンサー達が多かったので、アソシエイトのエタ・マーフィットから「This is not holiday ! ツアーはホリデーでなないからね!」と有名なスピーチがツアーに行く前にあったそうです。私たちも何回もこの言葉を聞かされています(笑)
ツアーの楽しみは公演だけではなく、その国や街の文化を経験できることにもありますものね!
メンバーは京都はもちろん、温泉や日本食をとても楽しみにしているそうです。(笑)

私と一緒に踊っていたアラン・ヴィンセントとディジー・メイ・ケンプはレジデント・ディレクターとして現地でワークショップも指導し、毎週のキャストを決めたりとても忙しいと話していました。日本も久しぶりなので緊張と一緒にワクワクもしていると話してくれました。

LAでは劇場貸切で「学校マチネ」という日があり、たくさんの学生が無料招待され、素晴らしい反応がありカンパニーも大興奮だったそうです。マシューもこの公演のために滞在し、その後イギリスに帰ってきて私達の『シザーハンズ』を観に来ました。その時にLAでは「生徒達の反応がとても素直であちこちで驚きの声や落胆の声、笑いがありとても観ていて楽しく感動した。」と話していました。
マシューは、観客の反応もとても大事にします。ステージから一方的にエネルギーを出すのではなく、観客と一緒にその日の公演が作られる感じです。日本でも遠慮せず物語と一緒に大いに楽しんでください。

演じるダンサーが違うと元の物語は変わりませんが、それぞれの解釈や演技での踊りが違うので、いろいろな組み合わせで生まれるケミカルにより他のメンバーもそれを受け取り違う感じになります。こうした違いも楽しめるでしょう。
ダンスを観たことがない方や学校からもたくさん観劇に行かれると良いですね。皆さんの感想がとても楽しみです。

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ディジー・メイ・ケンとプアラン・ヴィンセント

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アダム・ガラブレイスと楽屋口で

公演の詳細は、ホリプロステージ https://horipro-stage.jp/stage/mbrj2024/
公式X https://twitter.com/mbna_japan

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