ワールドレポート／その他

香月 圭　text by Kei Kazuki

第24回英国舞踊批評家協会賞（ナショナル・ダンス・アワード National Dance Awards）の授賞式が6月3日、ロンドンのコロナ・シアターで行われた。英国ロイヤル・バレエの金子扶生とウィリアム・ブレイスウェルがクラシック部門の最優秀ダンサーに選ばれ、前田紗江は新人賞を受賞した。また、ニューヨーク・シティ・バレエのタイラー・ペックは、自身のプロデュース公演の演技がクラシック部門の最優秀パフォーマンスとして評価され、この公演で上演されたウィリアム・フォーサイス振付『The Barr Project』がクラシック部門の最優秀振付賞を受賞した。4月に来日したマシュー・ボーン率いるニュー・アドヴェンチャーズの『ロミオ＋ジュリエット』に主演したパリス・フィッツパトリックは、その演技でモダン部門の最優秀パフォーマンス賞に輝いた。バーミンガム・ロイヤル・バレエ芸術監督カルロス・アコスタは、カンパニーの地元、バーミンガム出身のヘヴィメタル・バンド、ブラック・サバスのサクセスストーリーをバレエ化した『Black Sabbath - The Ballet』が、傑出したクリエイティブ作品として評価されて受賞となった。
第24回英国舞踊批評家協会賞は、2023年1月1日～12月31日に行われた公演のなかから団体、振付家、実演家とクリエイティブ・アーティストからなる311の第一次候補選考が行われ、さらに、第二次段階として各分野4～5に絞り込んだ選抜候補リストが4月24日に発表された。英国舞踊批評家協会は2000年に発足、グレアム・ワッツ氏を筆頭に60名程度のメンバーが名を連ねる。

また、ロシアのブノワ賞のノミネーションが5月31日に発表され、金森穣が演出振付した『かぐや姫』（東京バレエ団）が作品賞部門で、タイトル・ロールを踊った秋山瑛が候補に挙げられている。授賞式は6月25日、モスクワのボリショイ劇場にて行われる。

英国批評家協会賞2024授賞式。前列左よりドリュー・マコニー、ケイト・プリンス、後列左よりヨーク・ダンス・プロジェクト Yorke Dance Project）の映画『Sea of Troubles』のスティーヴン・ペルトン（YDPアソシエイト・ディレクター）と映画監督デイヴィッド・スチュワート。その左よりカルロス・アコスタ、カイル・エイブラハム、タイラー・ペック、金子扶生、ウィリアム・ブレイスウェル、ブランドン・ローレンス、パリス・フィッツパトリック、ジェミマ・ブラウン、アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター暫定芸術監督マシュー・ラッシング

第24回英国舞踊批評家協会賞（ナショナル・ダンス・アワード）結果

◆傑出した功績
受賞：イアン・ウェブ（サラソタ・バレエ芸術監督）
◆最優秀男性ダンサー
受賞：ウィリアム・ブレイスウェル（英国ロイヤル・バレエ）
ノミネート：パリス・フィッツパトリック（ニュー・アドヴェンチャーズ）フランチェスコ・ガブリエレ・フローラ（イングリッシュ・ナショナル・バレエ）ブランドン・ローレンス（バーミンガム・ロイヤル・バレエ）ワディム・ムンタギロフ（英国ロイヤル・バレエ）
◆最優秀女性ダンサー
受賞：金子扶生（英国ロイヤル・バレエ）
ノミネート：サラ・バラス（フラメンコ）ジェミマ・ブラウン（ダンサー、シンガーソングライター）タイラー・ペック（ニューヨーク・シティ・バレエ）アイシュワリヤー・ラウトAishwarya Raut（ランバート）
◆傑出したカンパニー
受賞：アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター
ノミネート：バーミンガム・ロイヤル・バレエ、ネザーランド・ダンス・シアター、ニュー・アドヴェンチャーズ、英国ロイヤル・バレエ
◆傑出した中規模カンパニー
受賞：ズーネイション：ザ・ケイト・プリンス・カンパニー ZooNation：The Kate Prince
ノミネート：アコスタ・ダンサ、バレエ・ブラック、オッカムズ・レイザー、スコティッシュ・ダンス・シアター
◆最優秀インディペンデント・カンパニー
受賞： ドリュー・マコニー・カンパニー Drew McOnie Company
ノミネート：ペット/クローゼン=ナイト、ラッセル・マリファント・ダンス・カンパニー、シータ・パテル・ダンス、タイラー・ペック・アンド・フレンズ
◆最優秀クラシック振付賞
受賞：ウィリアム・フォーサイス『The Barre Project』（タイラー・ペック・アンド・フレンズ）
ノミネート：サラ・バラス『Alma』（フラメンコ・フェスティバル）デイヴィッド・ドーソン『Four Last Songs』（イングリッシュ・ナショナル・バレエ）ウェイン・マクレガー『Untitled, 2023』（英国ロイヤル・バレエ）シータ・パテル『春の祭典』（シータ・パテル・ダンス）
◆最優秀モダン振付賞
受賞：カイル・エイブラハム『Are you in Your Feelings?』（アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター）
ノミネート：ドリュー・マコニー『くるみ割り人形』（ドリュー・マコニー・カンパニー）クリステン・マクナリー『The Limit』（ロイヤル・オペラ・ハウス）クリスタル・パイト／サイモン・マクバーニー『Figures in Extinction （1.0）』（ネザーランド・ダンス・シアター）パム・タノヴィッツ『Song of Songs』パム・タノヴィッツ・ダンス
◆傑出したパフォーマンス賞（クラシック男性部門）
受賞：ブランドン・ローレンス『Liebestod』（バーミンガム・ロイヤル・バレエ）
ノミネート：ガレス・ホー Gareth Haw 『Four Last Songs』（イングリッシュ・ナショナル・バレエ）平野亮一『ドン・キホーテ』のエスパーダ役（英国ロイヤル・バレエ）スーラジ・スブラマニアムSooraj Subramaniam『春の祭典』（シータ・パテル・・ダンス）ジョゼフ・テイラー『The Great Gatsby（華麗なるギャツビー）』のギャツビー役（ノーザン・バレエ）
◆傑出したパフォーマンス賞（クラシック女性部門）
受賞：タイラー・ペック『Turn it Out』（タイラー・ペック・アンド・フレンズ）
ノミネート：サラ・バラス『Alma』（フラメンコ・フェスティバル）イザベラ・コラシー Isabela Coracy『Nina, By Whatever Means』のニーナ役（バレエ・ブラック）メルセデス・デ・コルドバMercedes de Cordoba『Si, Quiero』（フラメンコ・フェスティバル）金子扶生『眠れる森の美女』のオーロラ姫（英国ロイヤル・バレエ）
◆傑出したパフォーマンス（モダン男性部門）
受賞：パリス・フィッツパトリック『ロミオ+ジュリエット』のロミオ役（ニュー・アドヴェンチャーズ）
ノミネート：ハリー・アレクサンダー Harry Alexander『how did we get here?』ジュリー・カニングハム＆カンパニー、ヤニック・ルブランYannick Lebrun『Dancing Spirit』アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター、リアム・モウワー『エドワード・シザーハンズ』のタイトル・ロール（ニュー・アドヴェンチャーズ）、チャーリー・ステンプCharlie Stemp『クレイジー・フォー・ユー』のボビー・チャイルド役
◆傑出したパフォーマンス（モダン女性部門）
受賞：ジェミマ・ブラウンJemima Brown『Surge』（トム・デイル・カンパニー Tom Dale Company）
ノミネート：コーデリア・ブレイスウェイト『ロミオ+ジュリエット』のジュリエット役（ニュー・アドヴェンチャーズ）アディティ・マンガルダスAditi Mangaldas『Forbidden』（アディティ・マンガルダス・ダンス・カンパニー）ダダ・マシロDada Masilo『Chosen One』（ザ・サクリファイス・フォー・ダンス・コンソーシアムThe Sacrifice for Dance Consortium）コンスタンス・スタマティウConstance Stamatiou『Cry』（アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター）
◆新人賞
受賞：前田紗江（英国ロイヤル・バレエ ソリスト）
ノミネート：ニコル＝リリー・バイスデンNicole-Lily Baisden（ミュージカル俳優）、ジョーダン・ジェイムズ・ブリッジJordan James Bridge（ダンサー、振付家）、エリック・ピント・カタEric Pinto Cata（バーミンガム・ロイヤル・バレエ アーティスト）、ジョシュア・ジュンカーJoshua Junker（振付家、英国ロイヤル・バレエ ファースト・アーティスト）
◆傑出したクリエイティブ面の功績
受賞：カルロス・アコスタ『Black Sabbath - The Ballet ブラック・サバス‐ザ・バレエ』のコンセプト（バーミンガム・ロイヤル・バレエ）
ノミネート：コーマック・ベグリー Cormac Begley（音楽家／コンサーティーナ演奏）『MAM』（Teac Damsa）ラヴィ・ディープレスRavi Deepres（ビジュアル・アーティスト）『A Dark Crystal Odyssey』（スタジオ・ウェイン・マクレガー）キャシー・キノシCassie Kinoshi（作曲家）『くるみ割り人形』（ドリュー・マコニー・カンパニー）および『England on Fire』（バレエボーイズ）ケイト・シップウェイKate Shipway（ピアニスト）英国ロイヤル・バレエでの業績に対して
◆最優秀ダンス映画
受賞：ヨーク・ダンス・プロジェクト『Sea of Troubles』（ケネス・マクミラン振付、デイン・ジェレミー・ハースト、ロマニー・パジャック、ベンジャミン・ワービス、オクサーナ・パンチェンコ他出演）
◆最優秀短編ダンス映画
受賞：ハビエル・デ・フルトス『Whoever You Are』Javier De Frutos for Whoever You Are

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