ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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守屋光嗣 text by Koji Moriya  
[2006.06.10]

In Good Company~ヴァロナの意思はどう受け継がれたか

  ヴァロワは、イギリス国内だけでなく、世界中に彼女のバレエへの強い想いを送り続けた。ヴァロワの元から、Celia Franca はカナダに、Peggy van Praaghはオーストラリアに飛び、それぞれカナダ国立バレエ団、オーストラリア・バレエ団を設立に深く携わった。また、両者ともイギリスからの「バレ エ」文化の輸入に頼るだけでなく、人材発掘にも熱心に取り組んだとのこと。
75周年の記念の年、ロイヤル・バレエは、両バレエ団、及び、バーミンガム・ロイヤル・バレエからダンサーと振付家を招き、ヴァロワの意思が新しい世代にどう受け継がれているかを、リンベリー・シアター・スタジオで披露した。

各バレエ団の新作は、ロイヤル・バレエはカンパニーのコール・ドのダンサー、リアム・スカーレット(2作品)とジョナサン・ワトキンスが振付たもの。 バーミンガムは、キット・ホールダーによる『Conversation』。カナダ国立バレエはマチャシュ・ムロジェフスキー振付の『C.V』。オーストラ リア・バレエからはスティーヴン・バインズのUnspoken Dialogues。
全体の印象からいうと、アシュトンやマクミランはやはり天才だったのだな、と。ロイヤルの二人は、ともに二十歳そこそこ。これからということを考えて も、自身の振付で何を観客に見せたいのかが、語られないままだった。例えば、ワトキンスがセナイダ・ヤナウスキーに振付けた『Silent Vision』。無声映画をヒントにしたもので、着想は面白かったし、ヤナウスキーの確実な技術に裏打ちされたコミカルな踊りはクラシック・バレエ・ダン サーの魅力に溢れていた。が、長すぎた。スカーレットの2作品も、短すぎ、長すぎとバランスが悪かった。

作品として面白かったのは、ムロジェフスキーとホールダーのもの。会場にいたムロジェフスキーに尋ねたのだが、タイトルに深い意味はない、とのこと。単 に人生の中で起きることを連ねたそうだ。使われた音楽が振付からはずれることがなく、静かな作品ながらも、集中力がそがれなかった。ホールダーは、とくに パ・ド・ドゥの構成の仕方に個性が見て取れた。また、バーミンガムの若手ダンサーJoseph Caleyからは、ロイヤルのスティーヴン・マックレイ同様、目が離せない実力を感じた。

リンベリー・スタジオのプログラムは、ROH2としてかなり知られるようになってきている。時にオペラやジャズのコンサートも催されるが、メインは新作 のバレエやモダン・ダンスなど。来シーズンも、かなり意欲的なプログラムが予定されているので、バレエ・ファンだけでなく、パフォーミング・アートに興味 があるのであれば、かなり楽しめる演目が並んでいると思う。

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