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船引怜美 Text by Remi Funabiki 
[2004.10.10]

●コンテンポラリー・ダンス・フェスティバス「ダンス・アンブレラ2004」

 ロンドンの秋のイベント、ダンス・アンブレラ(DU)は毎年 10・11月に渡る約6週間ロンドン中の劇場(サドラーズ・ウェルズ、ザ・プレイス、サウスバンク・センター、バービカン・センターなど)で、ほぼ毎日繰 り広げられるダンス・フェスティバル。世界中のビッグ・カンパニーから“マークしておいたほうが…”注目カンパニーまで、DU芸術監督バル・ボーンがセレ クトしたカンパニーがロンドンに招かれます。これまでにアメリカのカンパニー(マース・カニングハム、トリシャ・ブラウン、ビル・T・ジョーンズ、マー ク・モリスなど)、イギリスのカンパニー(リチャード・アルストン、マイケル・クラーク、マシュー・ボーンなど)、その他ローザス、ウィリアム・フォーサ イスなどのヨーロッパのカンパニーなど、アメリカン・モダン・ダンスからコンテンポラリー・ダンス、タンツ・テアター、パントマイム、フィジカル・シア ター、舞踏…など幅広いダンスのジャンルが紹介されてきました。25周年を迎えた昨年はバースデー・ガラと題した記念ガラコンサートが行われたほか、振付 家それぞれのダンスに対する新たな挑戦が見られ、コンテンポラリー・ダンスの無限な可能性を肌で感じることができました。26年目を迎える今年、去年を上 回る興奮と感動が期待されています。

  注目される公演としてまず挙げられるのは、昨年テート・モダン入り口の巨大な空間で作品を発表したマース・カニングハム。DU2004の幕開きをバービカ ン・センターで飾ります。イギリス初公開となる新作『スプリット・サイド』ほか2作品を上演予定。毎年DUに参加しているマース・カニングハム、毎公演の カーテンコールで彼の姿を見ることが出来ることは非常に貴重な体験です。

イギリスのカンパニーは、ショバン・デイビス・ダンス・カンパニー。イギリスのコンテンポラリー・ダンスを代表するカンパニーの一つ。ヴィジュアル・ アーティストのデヴィット・ワードとのコラボーレーション作品『バード・ソング』はロイヤル・オペラ・ハウスの小劇場リンブリー・スタジオ・シアターで上 演予定です。

『スプリット・サイド』


DU2004 黒田育世/振付
BATIK『SIDE- B』
  そして個人的に期待しているのは、日本からの参加となるカンパニー、黒田育世のBATIK。「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2003」の《次世代を担う振付家賞》(グランプリ)と《オーディエンス賞》受賞など、今最も日本で注目される振付家の一人、黒田育世がDUで英国デ ビューします。代表作『SIDE-B』と『SHOKU』をザ・プレイスで上演予定。イギリスのコンテンポラリー・ダンスにどのような衝撃を与えるのでしょ うか。
昨年『ルミナス』でDUに参加した勅使河原三郎 / Karasは2年連続の参加になります。今年は1993年のDUで上演されたソロ作品『ボーンズ・イン・ペイジーズ』をリバイバル上演予定(サウスバン ク・センター、クイーン・エリザベス・ホールにて)。ヨーロッパの人々にとって魅惑的なイメージの強い日本のダンス。欧米のカンパニーでは決して味わうこ とのできない感性、魅力そして感動があるといわれます。日本人としてイギリスの劇場で彼らの作品を観ることは、とても興味深い体験です。同時に自分の日本 人としての感性や感覚を見つめなおす機会でもあります。

 そのほか独特の個性で注目されるフィリップ・デュクフレのイギリス初公開となる『ソロ』(ザ・プレイスにて)や数週間前にサドラーズ・ウェルズで公演を行ったばかりのレ・バレエ・C・ドゥ・ラ・Bは振付家シディ・ラルビ・シェルカウイの『Tempus Fugit』でサウスバンク、クイーン・エリザベス・ホール登場予定など、計16カンパニーが参加します。
DU2004の取りを務めるのは、マーク・モリス・ダンス・グループの『ハード・ナット』。9月からクリスマス準備ムードが漂い始めているロンドン、一気にクリスマスに向けて大いに盛り上がることでしょう。

DU2004 フィリップ・デュクフレ
 多くのロンドンのダンスファンをはじめ、ダンスを学んでいる私たちは、「これも!あの公演も…!」と1公演でも見逃すまいと、この2ヶ月間のダイアリーはほぼ毎晩どこかの劇場へという予定でいっぱいです。DU 2004開幕に期待が高まります。

(スケジュール、上演作品は変更される場合があります。
詳細はダンス・アンブレラ公式ウェブサイトwww.danceumbrella.co.uk/
および各劇場の最新情報をご参照ください。)